『ダンプリン』
肥満体型の女性が主人公のコメディっていうことは、「自己肯定」の物語かなって検討を付けてしまうのが私の悪い癖なんですが、『Dumplin』(2018)は主人公がミスコン出場の経験で「自己肯定」する他に、「多様性」を肯定し認めることが加わった物語でした。
肥満体型というと1998年にWHO(世界保健機関)が内臓脂肪型肥満に高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上併発している症状を「メタボリック症候群」と呼び警鐘を鳴らしてきたわけですが、2000年代に入った昨今ではボディポジティブやボディシェイミングといった、どんな体型でも美しいとするプラスサイズを肯定する風潮が強まり、著名人がそれを後押ししています。
ボディポジティブの発端は1967年と古く、Steve Postが肥満体型に対する差別の抗議に"fat-in"というイベントをセントラルパークで開催したことから始まっているようです。
最近では、リアーナは自身のブランド「Savage × Fenty」でプラスサイズのランジェリーを発表し、バギースタイルを纏うビリー・アイリッシュは2020年の自身のフロリダ州マイアミで行ったライブでボディシェイミングに警鐘を鳴らすショートフィルムを公開しました。
肥満体型は良いことなのか。
そんなにボディポジティブやボディシェイミングが流行しているなら肥満体型は別に悪くないんじゃないって安直に思ってしまいそうですが、私個人的にはそんな簡単な問題ではなさそうだと思っていて・・・実際アメリカの2017-2018 National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES)によるとMore than 73% of American adults are overweight or obese アメリカの73%の成人が過体重(そのうち42%は肥満、10%は重症肥満)と発表されています(ググると出てきます)。
ということは、アメリカにとって肥満体型はマイノリティじゃなくてマジョリティと言っていいんじゃないかなと思うわけで・・・、むしろ見方を変えて美とされる範囲を広げてプラスサイズの衣類を売り込むことは金になるんだと思います。
加齢による代謝の低下とか、ホルモンバランスや精神疾患および薬の副作用など、細かった人でも太ることだってあるしそれで苦しんでいる人もいるわけだから、国も大きいけど体も大きいとか言っちゃダメだし、体型や容姿について言及することが侮辱にならないか気をつけましょうというようなオブラートで包んだ内側は意外と複雑な事情があるんだろうなと勘繰ってしまうわけです。
健康に良いか悪いかでいうと悪いわけですし。
しかも、この映画『Dumplin』の舞台のテキサス州はミスUSAに選ばれた回数が多い州でもあるようなんですね。
これだけ国全体が肥満傾向にあると、ミスコンの美の基準も多様化が求められるのかなぁどうなるのかなぁ『Dumplin』はプラスサイズの女優を多くキャスティングしていますし、現実に先行してそういった問題をやんわりと投げかけているようにも見えなくはないかもしれない気もします。
監督はアン・フレッチャー。映画にはドリー・パートンの曲がふんだんに使われ、主題歌「Girl in the Movies」を書き下ろしています。原作はジュリー・マーフィー「恋するぷにちゃん」(2015)とのこと。
ウィローディーン・ディクソンこと"ダンプリン"(ダニエル・マクドナルド)
レディバードにも出演していました。私には高校生のイメージが強いんですが1991年生まれらしくこの映画を撮ったときは27歳なんですね。
ルーシー・ディクソン(ヒラリー・ベグリー)
ルーシーはお洒落で笑顔が素敵な明るく前向きな女性で、大好きなドリー・パートンの歌詞を引用してウィルを励ましていました。ウィルには、この早逝した叔母ルーシーがミスコンの役員で忙しい母ロージーの代わりにウィルの世話をしてくれていました。
まだ出演作が少ないみたいだけど気になった女優さん。
ロージー・ディクソン(ジェニファー・アニストン)
適役だと思いました。
エレン(オデイア・ラッシュ)
レディバードにも出演してました。
ミリー・マイケルチャック(マディ・ベイリオ)
いつも幸せそうで、ミスコンも全力で楽しんでいて好感度高い役でした。自己肯定のお手本のような女の子。
出典 IMDB
出典 Dolly・Parton 9to5 /YouTube ドリー・パートンチャンネルより
出典 Dolly・Parton "DUMB BLONDE" /ドリー・パートンチャンネル