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『スペル』
舞台はアメリカ、主人公マーキスは妻とサムとタイの2人の子供がいる黒人家族でしたが、父の訃報をきっかけに自家用プロペラ機で祖父の住む黒人だらけのアメリカの集落へ向かうとこから物語が始まります。出演者はほぼ黒人で構成されており、物語は単純明快かつ、スプラッターでホラーであり、視聴者の痛覚に響くような痛みの描写とヤバい人達の集落に入り込んでしまった恐怖からの緊張感が物語を盛り上げています。
民間信仰の不気味な側面を強調
HooDoo(フードゥー)は17世紀から19世紀にかけての大西洋奴隷貿易頃の北アメリカに連れてこられたアフリカ人奴隷によって作り上げられた民間伝承(folklore)なので、西アフリカや中央アフリカやハイチやブードゥー教の文化的影響を受けているようです。おそらくは過酷な奴隷生活を改善するために、超自然的な力を頼る術なのだろうと思います。
(spell(2020)official trailer にHooDoo Horrorと書いてありまして、ブードゥ教とは違うんですね)
黒人による黒人のための民間伝承ですが、そのなかでも長寿のために生贄を求める呪術を行う異様な集落なので、主人公達は飛んで火に入る夏の虫なわけですね。
謎の民間伝承や信仰などがある集落やバカンス先の島で恐ろしい目に遭遇するよくあるパターンです。
人間を大雑把に模した呪術用の人形が、滑稽な外見ながら恐ろしい威力を発揮します。
私はこの人形やHooDooの文字を見るだけで、なんだか足が痛い気がしてきます。
途中で給油に寄った、ネットで見つからないような辺鄙な田舎の店で、その集落に行くにはお守り(呪いをかけられないための)を勧められるも、主人公は現代人で都会派のインテリ層だけあって非科学的な民間伝承の類を信じていないわけですね。
主人公家族と集落の人々を比べてみると、人種間だけではなく黒人間にも経済や教育の格差を感じられます。
ですが、民間伝承や信仰に縋って生きてきた奴隷時代から比べて、身分社会制度がなくなり職業選択の自由と人権を手に入れ、新しい時代が到来していることを感じさせる、なかなか根性のある主人公です。
猫ちゃんが儀式の生贄になったりする恐ろしいシーンがあるのでそこは要注意です。あと、釘が長い。
『スペル』はアメリカの映画で2020年8月に公開予定でしたが、covidのパンデミックで2020年10月にデジタルプラットホームで公開されました。2時間もない91分という短さで、単純明快かつ衝撃的なシーンもあり楽しめました。
監督:マーク・トンデライ
出演:オマリ・ハードウィック/ロレッタ・デヴァイン 他
出典:IMBD , Paramount Movies(YOUTUBE)