見出し画像

「鉄道旅行の歴史:19世紀における空間と時間の工業化」 ヴォルフガング・シヴェルブシュ

加藤二郎 訳  法政大学出版局

読みかけの棚から
読みかけポイント:第4、5章とその他?

1 原動力の機械化
2 機械のアンサンブル
3 鉄道の空間と鉄道の時間
(余談-ガラス建築の空間)
4 パノラマ風の旅行
5 仕切った車室
   旅行中の談笑の終焉
   孤絶
   密室劇
   車室の問題点
6 米国の鉄道
   鉄道以前の交通
   鉄道線路
   新型車輌
   米国の車輌のモデル、川蒸気と定期郵便船
   レールの上の船旅
   追記
7 鉄道旅行の病理学
(余談-工業性疲労)
8 事故
9 鉄道事故、鉄道性脊柱、外傷性ノイローゼ
(余談-ショックの歴史)
10 刺戟保護、または工業化した意識
11 都市への入口-駅
12 都市の中の鉄道線路
    百貨店
    流通
    追記
原註
訳者あとがき
人名解説
人名索引

 オスマンの作りだした街路は交通のためのものである。その点で、この街路が破壊した中世の道路とは違う。中世の道路の機能は、交通のためというよりは、むしろ近隣の生活を見るためのものであった。
 バロック時代の大通りの直線性と幅は、交通機能というよりは、むしろ権力を見せつける機能を果たしていた。
(p228)

 パリの住民たちの目には、交通のために整理されて変形されたパリは、抹殺されたと写るーそれも二倍の烈しさで。というのは、パリは空間的連続性と歴史的連続性とが、具体的に打ち砕かれ破壊されたからである。
(p229)


オスマンのパリ改造は、鉄道による旅行者の空間的・時間的連続性の破壊と同じ意味を持つ、という。この後、ゾラの「獲物の分け前」「百貨店」の記述を引用している。
(2018  11/25)

第4、5章から
鉄道の前身の馬車では、まだ人間的な速度ので流れていく風景をもとに、人と人とが向き合って座り、社交談笑をしていた。それが鉄道という速度とこれまでよりも多数の乗客という環境で変わってくる。この頃駅では書籍や新聞を売る専門店や専門文庫が現れたが、これは他人の視線を避ける意味もあったらしい。この頃からか、黙読という営みが主流になっていったのは。
(2018 12/02)

いいなと思ったら応援しよう!