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「科学史・科学哲学研究」 ジョルジュ・カンギレム

金森修 編訳  叢書・ウニベルシタス  法政大学出版局

読みかけの棚から
読みかけポイント:「コペルニクスの世界の中のヴェサリウスの人間」と序論のみ。

「コペルニクスの世界の中のヴェサリウスの人間」を読んだ。人間を他の動物とは違う固有のものとして捉え、ミクロコスモスとしての人間を解剖しようとしたヴェサリウスの人間概念を、カンギレムは評価している。それは人間としての全体性を常に意識していたカンギレムにも通じるところがあるのでは。

 「人間の知力は羽や翼を加えることが必要なのではなく、鉛の重さを加えることが必要である」
(p628  ベーコンの言葉)


カンギレムの論理の進め方や言葉の運びに、解説の金森氏はそれを感じているようだ。
(2019 01/16)

「序論-科学史の対象」から

 (科学史は)現時点での真理がその消失点であるような、すでに凌駕された諸段階からなる遠近法なのではない。科学史は、現在ではすでに乗り越えられた概念、態度、方法などが、それが通用していた時代には一体いかなる射程の下でひとつの〈乗り越え〉たりえていたのか、つまりいかなる意味において、凌駕された過去はそれに〈科学的〉という言葉を依然として用いるのが妥当な現在性の過去たりえているのかを、自ら探究しかつ他者に理解させる努力なのである。
(p10)


これで結構カンギレムのいう科学史の見通しがよくなった(気が…)。
(2023 09/18)

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