「ラテンアメリカ文学のブーム」 ホセ・ドノソ
内田吉彦 訳 東海大学出版会選書 東海大学出版会
ラテンアメリカ文学のブーム
つい先程、ドノソの「ラテンアメリカ文学のブーム」を読んだ。東海大学出版会選書で200ページ弱のこの本。ラテンアメリカ文学好きならその名は一度は聞いたことがあり、読んでも同時代の雰囲気が伝わってきて一気に読める本なのだが…あんまりみかけないのよねぇ。
ドノソという人自体が、「夜のみだらな鳥」でも、この「ラテンアメリカ文学のブーム」でも、ラテンアメリカ文学を総括したような仕事をした人だからなあ。「失われた足跡」・「空気の澄んだ土地」・「都会と犬っころ」そして「石蹴り遊び」と。
「飛脚」達(当時のこうした新しい小説は国を越えては流通せず旅人や中には作者本人から送ってきたりするのみ、であった)から新たな小説を受け取って読み、自分自身の小説にまだ残っている古いタブーを一つずつ取り払っていく、その姿が読み手にも迫ってくる。文庫か新書で再版希望。
(2009 03/02)