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「メキシコの美の巨星たち その多彩でユニークな世界」

野谷文昭 編  東京堂出版

読みかけの棚から
読みかけポイント:第9章と後はざっと。読むなら、エルドラードシリーズの「キャリントン」と併せて読みたい。

はじめに
第1章 メキシコ文化という謎
第2章 ルイス・バラガンの建築
第3章 アルバレス・ブラーボと写真
第4章 愛は抱擁する-フリーダ・カーロの芸術と生涯
第5章 メキシコの男優たち
第6章 メキシコのミューズ(女優)たち
第7章 ブニュエルのメキシコ、メキシコのブニュエル
第8章 ディエゴ・リベラの人生遍歴と美術モダニズムへの挑戦
第9章 亡命シュルレアリストの魔術的創造-レオノーラ・キャリントンとレメディオス・バロ
執筆者紹介

第9章

最後の章、まだ未知のレオノーラ・キャリントンとレメディオス・バロのところを読む(まだ途中だけど)。キャリントンはイギリス生まれでケルトの伝説にも親しみ、エルンストと恋仲になって田舎に二人で住居を作って住んでいたこともあるという。バロの方はスペイン出身。技師だった父の影響で自然観察に親しみ、また幼少の頃にはモロッコに渡っていたりもする。
そんなシュルレアリスムに傾倒した、読書大好き芸術家女性がメキシコで出会うと、二人で悪戯のような実験をし始め、そんな中から作品が生まれてくる。シュルレアリスムの女性芸術家については、現代のフェミニズム批評家からは男性主導でもあり、新たな女性の表現を摘んだともされているが、活躍の場を与えていたという評価もされる。

第2、3章

また、この本を借りた直接のきっかけでもある第2章と第3章もざっと眺める。ここでは、バラガン邸の写真の構図が建てられてからずっと変わっていないと聞いて出かけたという斎藤裕氏、ラテンアメリカで写真を始めたことから、日本ではあまり知られていないブラーボを紹介できて嬉しいという港千尋氏という書き手の熱意というのも感じる(他の章でもそうなのだろうけど)。
バラガンは個々の住宅のクライアントとの交渉から離れ、メキシコシティのどちらかというと下町の方に区画を購入し、そこに自邸を建てた(世界遺産にもなっている)。
ブラーボは珍しく?メキシコシティからほとんど動くことがなかったのだが、国外やメキシコでのモダニストとの交流を持っていた。ざっと写真を見てみると、個人的に好きなのは「四本の木と煉瓦」とか「戸口」とか。死を撮った「人間の魂」というのもやはり印象的。
メキシコ芸術というのは、構図力が高いのではないだろうか。
(2021 02/08)

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