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「文明化の過程(上) ヨーロッパ上流階層の風俗の変遷」 ノルベルト・エリアス

赤井慧爾・中村元保・吉田正勝 訳  叢書・ウニベルシタス  法政大学出版会

読みかけの棚から
読みかけポイント:興味のあるところをぱらぱらと

序論
序言
第一部「文明化」と「文化」という概念の社会発生について
 第一章 ドイツにおける「文化」と「文明化」の対立の社会発生について
 第二章 フランスにおける「文明化」の概念の社会発生について
第二部 人間の風俗の独特の変化としての「文明化」について
 第一章 「礼儀」という概念の歴史について
 第二章 中世の社交形式について
 第三章 ルネッサンスにおける人間の振舞いの変化の問題
 第四章 食事における振舞いについて
 第五章 生理的欲求に対する考え方の変遷
 第六章 洟をかむことについて
 第七章 つばを吐くことについて
 第八章 寝室における作法について
 第九章 男女関係についての考え方の変遷
 第十章 攻撃欲の変遷について
 第十一章 騎士の生活
訳注
訳者あとがき
引用文献一覧
人名索引

(あと、訳者の赤井氏の名前の「慧」、本表紙では真ん中は「ヨ」ではなく、「彗」になっている)

エリアスについて少し


エリアスってブレスラウ(ヴロツワフ)生まれらしい(1897-1990)。教え子にあの社会学者ギデンズがいるみたい。

少しだけ読んでみた。エリアスは初版は1939年。ナチスドイツを逃れイギリスで。文明化というのは羞恥などの範囲の移動に過ぎないのであって一方的な進化ではない、とする(んだよね?)考えはこの時代のドイツでは受けないのであろう。
(2013 03/10)

文明化と不安の逆行関係


「文明化の過程」をちら読みして上巻の最後の注にあったのが、この本のエッセンスの一つかな、と思って挙げてみた。それは文明化の過程が進むほど、外界からの危険は減少するが、文明化に適合するかどうかの不安は増大する、というもの。危険と不安は裏表のもの、というのは極論かもしれないが、反比例の関係ではあるよう。前に人類は歴史の進行とともに自分の周りに蟻塚のように人工的環境(言語など含む)を形成し、その中でものを考え悩んでいるのだ、ということを聞いたが、それともつながりがある。
(2013 03/11)

文明化は最終局面?


「フォークはなぜ4本歯なのか」という本に関連して、「ヨーロッパの中世の貴族は(今から見ると)全く上品ではない食事の仕方だった」という指摘あり、これ聞いて、「エリアスだ!」と思った次第。

というわけで小調査。
エラスムスは「食事にはフォークを使いなさい」と既に言っていた。

 「礼節」、「礼儀」、「文明化」は、ある社会的発展の三つの段階を表している。
(p235)


まだここも熟読してないけど、とりあえずこの段階を経るごとに、その行為の社会的価値は下がっていく。下流階層まで行き渡った時が「文明化」なのか。

ここを読んでみた限りだと「文明化」と言われた18世紀には、それが現す作法は「中流階層」くらいまでらしい。そして、以降その「文明化」というスローガン?は他の国民、そして自国の下層階層に向けてのものに切り替わる。
(2022 03/06)

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