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「ヴァルド派の谷へ ヨーロッパ近代を生きぬいた異端者たち」 西川杉子

ヒストリア  山川出版社


ヴァルド派の谷

昨日買ってきた「ヴァルド派の谷」。タイトルからして中世の話なのかと思いこんでいたら、近世の話。
トリノの西、アルプスの麓にあるヴァルド派の谷。そこに住むローマカトリックを拒否するヴァルド派の人々と、それを支援するイギリスなどプロテスタント諸国、迫害するフランスなどカトリック諸国。自分がヨーロッパ史の中でもよくわからない苦手意識を持っている時代なのだが、これで少しは馴染みになれたかも。イギリス人の大陸グランドツアーとの関係や、イタリア統一との関係なども面白かった。フランスとの関係はその後どうなったのだろう?
(2009 02/09)

おまけその1

放送大学大学院「地域文化研究Ⅲ」第12回に現地を訪れた映像有り。

おまけその2

あと、この辺りは(偶然にも)、鉄道旅行家宮脇俊三氏が「ヨーロッパ鉄道紀行」(トリノ-リヨン)で通っている。バルトなんとかって駅名もあったけど、関係あるのかな?
(駅名、バルドネッキア…らしいけど、関係あるの?)

おまけその3

ウンベルト・エーコ「前日島」より

続いて第19章「新世紀周航の旅」…のさわり。ここは、小説そのものというより、この時代(17世紀)の背景とかが興味ある。まずアムステルダムからの乗船客いろいろ。ブラジルにいる息子を訪れるガリシア人夫婦。東回りではなく西回りという長い行程を敢えて選んでエルサレムを巡礼しようとするユダヤの老人、モルッカ諸島で一旗揚げようとした若者たち。

そして自分的に一番目を引いたのが、イタリアのピエモンテ渓谷から来た「異教徒」の一行。これって、前に「ヴァルド派の谷へ」で読んだ人々のことか。ここでは、彼らは北アメリカのピューリタン(英国清教徒)と合流しようとしていたが、船は南西ブラジル方面へ向かっていた。レシフェがオランダ出てから最初の寄港地だったので、彼ら「異教徒」はポルトガル植民地のブラジルより、レシフェ(当時はオランダ領)で下船することになった(というか、レシフェってオランダ領だったんだ…)。
(以上、たぶん似たような事例は数多くあったのだろう。その史実をエーコが自分の物語にねじ込んだような)
(2022 07/02)

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