「ジンメル・つながりの哲学」 菅野仁
NHKブックス 日本放送出版協会
都賀のトルバ堂書店で購入。
(2014 09/06)
「社会学の根本問題」から
大きな社会形式としては国家・家族・組織など、小さなものとしては「限界現象」というすれちがいのような相互作用にまで至らないものまで。社会とは相互作用の織りなすネットワーク。
人間の認識は必要だから生まれた、というのもなかなか。
問題はこの葛藤は人間である以上避けられないものだと言っているところ。近代以前にも存在していたし、現時点でも解消されてはいない。「社会学の根本問題」はジンメルの死の前年に出版された、ジンメルにとっては久しぶりになる社会学の本。
(2014 09/07)
社会の成立と秘密
「ジンメル・つながりの哲学」から4・5章。なんか時々、引用しているジンメルの文章と著者菅野氏がつなげて書いている内容が微妙にずれていることがあるような。
それはともかく、第4章は社会的相互作用が成立する条件。3つあるのだが、3つ目が前のと重なって見える。
これは家族など親密な関係でも同じ。他者理解は対象の人をそのまま理解するのではなく(それは当の本人でも不可能)、その場の役割などの断片を理解する人の中で(再?)人格化するプロセスをとる。
なんか異様に面白そうな箇所なんですけど…ここの()書きにルーマンの社会システム論と共通しているところがあると書いてあるから余計に…
第5章は秘密。ジンメルの考えでは嘘や秘密は、勝手に他者に自己イメージを形成されてしまう個人の抵抗手段なのだという。嘘は積極的に他人の自己イメージ形成に働きかけ、秘密は消極的に働きかける。
これも意外な発想で「どうやって知るのだろうか」と思うけど(対面している様子などで自ずと伝わってくるのだろう)、ジンメルはこうした過程が人間交流をいきいきとさせると考えているみたい。さっきのp106の箇所もそうだったけど、この辺ジンメルの思想の核が見えてきそうで掘り下げてみたいところ。
(2014 09/08)
「ジンメル・つながりの哲学」読了
菅野氏の「ジンメル・つながりの哲学」を読み終わり。闘争論は反発も含めての統一体であるということ。貨幣論は貨幣の流通が人々の自由を加速したとともに、それ自体目的化し倦怠等が生じるということ。モダン文化論はジンメルの言葉で言う男性的→女性的(分化→統合)の遷移が始まっていること。など。
またもや微妙な味わいの文章。
(2014 09/10)