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スマートホームプレイヤーとしてのAppleは将来スマートホームにおいても勝者になってしまう予感

スマートホームプロ集団X-HEMISTRY代表の新貝です。
※ はじめに断っておくとApple信者ではない(mac + iPad + Android使い)

WWDC24を見て、ふと思ったことがあるので久々にnoteしてみたい。
ふと思ったこと自体は、ひと言で言うとタイトル通りなのだが、なぜそう思ったかを解説したい。

というか、年初に書いたこの記事通りになってきたね、というのがまずWWDC24を見ながら感じたところだ。

本題に入るが、AppleのスマートホームApple HomeはiPhoneにも標準で搭載されており、海外ではそれなりに人気があるものの、日本ではほとんど使っている人がいないどころか、その存在すら多くの日本人が認知していない。
にも関わらず、大逆転シナリオが頭に浮かんでしまった。

実際はWWDC24では、スマートホームについては、ほぼ全く言及されなかったと言っても過言ではないのだが、スマートホームエバンジェリストとしてここ数年のAppleの動きを踏まえて、Appleが実現していくであろうスマートホームの近未来についても想像が膨らみワクワクしてしまった。

まずは技術的な仕込みの観点から見ると、今後スマートホームの未来を形作っていくことは間違いないUWBやThreadをApple製品に着々と組み込んでいるところがポイントとなる。


UWB搭載

UWBは、Apple Airtagにも実装されている無線技術で正確な距離と位置を特定する用途での活用が期待されている。
Airtagにも実装されていることからわかるように、それと連携するiPhoneでもiPhone11以降の機種(※SEは除く)にUWBが搭載されていることは一般人にはほぼ認知されていない。

UWBの詳細についてはここでの解説を割愛するが、UWBはスマートホームにおいてスマホを取り出さなくてもハンズフリーによる入退室を実現することで期待されている。
巷ではMatterで知名度が高まっているConnectivity Standards Alliance(以下、CSA)でも、Aliroというスマートロックの標準化(厳密に言うとスマートロックよりも若干守備範囲が広いのだが)が進められており、AliroでもUWBの採用が目玉となっている。

Matterをご存じないかた、ちゃんと理解したいかたはこちらのnoteを参照ください↓

UWBはスマートホーム業界に留まらず、自動車業界でも注目を浴びており、CCC(Car Connectivity Consotium)でも自動車のハンズフリーをスマホを使って実現する技術としてど真ん中で採用されている。
既に欧米ではこれまでの鍵に加えて、スマホを使ってドアの施解錠やエンジンスタートができる車種が複数メーカーから販売されるが、UWBを活用することによりスマホを使ったハンズフリー利用というUXにまで高めてくれる。

自動車がスマホでハンズフリーになれば、当然住宅やオフィスなどの建物でもそうなるべきで、それを実現するべくCSAでAliroという業界標準仕様が策定されているというわけだ。

Thread搭載

iPhone15 ProにThreadが搭載されたことが発覚した際、思わず書いたnoteは僕が書いたものの中でもTop5に入っているが、最近それ以外のAppleプロダクトにThreadが搭載されていることが発覚した。
詳しくは、下記の記事を参考にしてもらいたいが、ThreadはMatterの中でもWiFiと並び中核に置かれている無線技術だ。

2024年6月の段階でThread搭載の機器はマーケットにそれほど多くないもの、Matterがジワジワと普及していく未来においては、Thread搭載のApple製品から直接Thread対応のスマート機器を動作させることができる未来が待っているに違いない。
例えば、macやiPhoneを使っているときにサクッと照明やエアコン、カーテンやスマートロックなどなどを操作できてしまうだろうし、WWDC24で発表された進化版Siriを使えば、より自然な音声コマンドでいろいろなものを操作できたり、そこにApple Intelligenceが加わればスマートホームの設定すらSiriに頼むだけでサクッと変更してくれる未来も確実だ。
Vision Proを通じた世界に没入しているときも指パッチン的なジェスチャーでいろんなものを操作する未来だって容易に想像できる。

で、なぜAppleが優位なのか

Appleが優位だと感じた理由としては、AppleはOSのみならずハードウェアまで提供している点だ。

日本でApple Homeの利用者が少ない背景は、対応商品がほとんど出回っていないことが大きな理由だと思っているが、これもMatterが徐々に浸透していくことによって解決に向かっていくと想定している。
Matter対応製品が増えていけば、iPhoneユーザーが多い日本ではApple Homeユーザーが徐々に増えていくはずだ。

Matter、Aliro、UWB、Threadという技術はオープンなものだし、どんなメーカーだって製品に実装はできるわけだが、今日現在Appleを除いていろいろな製品に着々と仕込んでいるメーカーは世の中に存在しない。

AndroidでもOSとしては、そう言った技術をサポートしていたり視野には入っているものの、実装は各スマホメーカーに任されており、UWBが搭載された機種は現時点でごく一部のモデルに留まっているし、Threadが搭載されたAndroidはまだ聞いたことがない(あるなら誰か教えてください)。

パソコンOS競争に目を移せば、今後はAIの機能強化を巡ってApple vs MicrosoftのAIを巡った競争が熾烈になることは間違いなく、そこは消費者としてワクワクするポイントなのだが、MicrosoftはCSAにすら加盟していないので、スマートホーム対応という観点においては勝負にすらならない(MSは現時点で勝負する気もないんだろうが、スマートホーム好きとしてはmacOS贔屓になってしまうだろう)。

さらにAppleが凄いと想像しているのは、UWBとかThreadとかMatterとかを利用者に意識させることはないであろうということだ。
Apple Airtagを使っている人にUWBって知っていますか?と聞くと、よほどのマニア出ない限り「なんですか、それ」となる。

Appleの凄いところは、WWDC24のApple Intelligenceの冒頭の説明でもあったように「Integrated(統合された)」と「Intuitive(直感的な)」なUXを提供する点で、スマートホームでもその思想を前提とした万人にわかりやすい使い勝手を提供してくれること必至、さらに「Personalize」されつつ「Private」にも配慮した世界観の提供にも期待できるということで、Appleがスマートホーム業界でも将来勝者になり得る理由の解説を締めくくりたい。


著者 : 新貝 文将
スマートホームに特化したコンサルティングサービスを提供するスマートホームのプロ集団X-HEMISTRY株式会社の代表取締役。

2013年から東急グループでスマートホームサービスIintelligent HOMEの事業立ち上げを牽引し、Connected Design株式会社の代表取締役に就任。

2018年には株式会社アクセルラボの取締役 COO/CPOとして、SpaceCoreサービスの立ち上げを牽引。

2019年秋にX-HEMISTRY株式会社を設立。スマートホーム事業に関連するノウハウを惜しみなく提供する形で、多くの日本企業向けにスマートホーム事業のノウハウを伝授しつつ、数々のスマートホーム事業企画/立ち上げにも寄与。
リビングテック協会発行「スマートホームカオスマップ」の製作にも深く関わり、スマートホームのエキスパートとして日本のスマートホーム業界で認知されている。
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