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ホームセキュリティは意味がない

割引あり

スマートホームプロ集団X-HEMISTRY代表の新貝です。
今回は日本で一般的なホームセキュリティについて書いてみたい。
まず結論からいうと、個人的には、日本で一般的に認知されているホームセキュリティサービス、つまり、住宅向け警備サービスにはお金を払う価値を見いだせない。この記事ではその持論を展開していきたい。

まず質問ですが、皆さん、ホームセキュリティに加入していますか?
加入しているという方は、ホームセキュリティを日常的に使っていますか?
もしくは入っていて本当に良かった、と思われた方はどれだけいるでしょうか(入っていて良かった、という思いをした人は大変なご経験をされたことと思います)。


仕事上、この問いかけをさせてもらうことは割と多いのだが、少なくとも僕の周りでは加入しているという人はあまり多くない。
マンション住まいだと標準でホームセキュリティがついていはいるケースは大半ではあるものの、日常的に使っているという人はまず聞いたことがない(それでも知ってか知らずか利用料は毎月引き落とされているのであるが)。

ホームセキュリティの恐怖体験


僕の場合、20年以上住んでいるマンションに標準でついてはいるものの、過去警備状態にしたのは、家族旅行に行ったときのみで、回数にすると数回程度である。当初使っていたのだが、あることをきっかけに使わなくなってしまった。

使わなくなった理由その1は、もううんざり、という経験からだ。そのときまでは、せっかく標準でついているものだしなんとなく念のため使って見よう、ということで家族旅行に行くときのみ自宅を警備状態にして使っていた。
ところが、旅行から帰宅したときに玄関ドアを開け、警備解除の暗証番号を何度か間違えてしまった瞬間「ジリジリジリジリ〜!」という爆音の警報ベルが自宅のみならず、マンションの共用部全体に響き渡ってしまった。利用頻度が低かったこともあり、暗証番号をうっかり勘違いしていたが原因である。どのくらい警報ベルが鳴っていたのかは正確には覚えていないものの、少なくとも数分間は鳴り続けていたと思う。帰宅が夜だったこともあり、自分のミスではあるけど、鳴り止むまでの時間が永遠に感じられるくらいの経験だった。それは恐怖体験としか言わざるをえなく、それ以降怖くなりめっきり利用を止めてしまった。

スマートホーム化によってホームセキュリティいらずに

使わなくなった理由その2は、スマートホーム事業に関わることになり、自宅にスマートロックとネットワークカメラをつけたことだ。
当時つけていたスマートロックもオートロックに対応していたため、まず鍵を閉め忘れるということがなくなった。
それに加え、玄関ドアに向けて設置したネットワークカメラのおかげで、玄関ドアが開閉されるたびに動画が自動撮影され、スマホに動画付きで通知が来るようになった。
スマートホームならではの機能だが、家の出入りが手に取るようにわかるようになり、格段に安心感が増した。子供の帰宅なども手に取るようにわかるようになり防犯性も高まると同時に、安心便利を手に入れることができたと感じた瞬間だった。
実は当時仕事してアサインされたスマートホーム事業に関わりながらも、スマートホームの事業性に対しては、若干懐疑的な気持ちを持っていたのが正直なところである。ところが、スマートロックの利便性や他のデバイスとの組み合わせによるユースケースの説得力を実体験して以降は、スマートホームの可能性にすっかり目覚めてしまい、今では起業し、会社まで経営しているから面白い。

スマートロックの魅力は、過去に書いたnoteでも触れているので、まだピンときていない方は是非見て頂きたい。

https://note.com/fumi_shingai/n/n14a51ae36ec1

https://note.com/fumi_shingai/n/n22e14d2ab28f

ホームセキュリティは本当に必要なのか?

人それぞれ価値感が異なるため、もちろん必要性を感じている人も一定数いることは承知だが、個人的には不要だと思っている。

万が一のときには警備員が駆けつけてくれるから安心、という人もいるが、警備員は実質的なメリットをもたらしてくれないと理解しているからだ。常に自宅周辺を警備をしてくれるわけでもない。

では、何をしてくれるのかを僕の理解の範疇で解説してみたい。

まず、自宅のホームセキュリティシステムを警備設定にしている間(のみ)に、侵入と思われるセンサーからの異常通知が24時間自宅を監視してくれているモニタリングセンターに飛んでいく。センターの監視要員はその情報をもとに、近辺にある待機施設から警備員を自宅まで派遣指示してくれる。警備員が自宅に駆けつけた際には、状況の確認と対処に加え契約者への報告を行ってくれる。
つまり留守中に何か異常と思われる事象が認められた場合(ちなみに、システムを警備状態にしていることが大前提)、代わりに現地に行ってくれ、報告を行ってくれるだけである。
仮に警備員が泥棒と鉢合わせになったときはどうなるのか。警備員の安全を第一に考える必要があるため、各警備会社のルール上、被疑者を威嚇するような過剰な対応、つまり応戦などはしてくれないのである。
実際に不法侵入等の被害にあった場合は、その後は警察対応となる。

しかも、繰り返し強調するがホームセキュリティシステムを「警備状態」にしているときだけ上記のサービスを提供してくれるのが、日本の典型的なホームセキュリティサービスだ。

ちなみに警備員が駆けつけにかかる平均時間は、いくつかのサイトを参考にすると5〜15分程度、と言われている。
一方、泥棒が侵入してから宅内を物色して盗みを終えるまでの平均所要時間は、5分以内と言われている。つまり、高い確率で警備員が駆けつけた段階で、泥棒は立ち去っているということになる。
サービスに加入すると警備会社から貸与されるステッカーが抑止力になるという人が良くいるが、この事実を踏まえると、むしろステッカーを貼ってある家は過信しているので仕事がしやすい、と考える泥棒もいるかもしれない(実際、泥棒に入られたことがあるというレアな人曰く、大手のセキュリティサービスに加入していたにも関わらず、ということだった)。

マンション住まいの場合は月額料金を自動徴収されているにもかからず、警備状態を活用しない場合には、全く無用の長物にお金を払っていることになる。もし拒否権があるのであれば自動徴収を拒否したいくらいだ。

たまに、万が一の時に鍵を預かってくれているから、鍵をなくしたときや和捨てたときには警備員が駆けつけてくれてスペアキーをを持ってきてくれるから助かる、という人がいる。なるほど、とは思うものの、スマートロックがつけているうちはそんな万が一のケースであっても警備員をありがたいと感じる場面が想定されない(実はそもそもうちはスペアキーの預かりを拒否している)。

冷静に考えると警備会社による「スペアキーの預かり」も安心はできない。何度かニュースで見たことがあると思うが、預かっている鍵で不正を働く警備員も極少数ではあるが存在するため、むしろ不安を感じた方が良いかもしれない。
僕の自宅の近くのアパートの屋外駐車場にとある警備会社の車両が停まっているのだが、後部座席にはいつも大量のバインダー(契約者情報とか報告書なのかなと想像)と大量のスペアキーが入ったケースが置かれている。どうやら警備員がそのアパートに住んでいるようで、警備用の車両を駐車しているようなのだが、毎度それを見るだけでずさんな管理にゾッとさせられている。

スマートホームセキュリティ

北米で誕生し、世界でジワジワと伸び続けているスマートホームとホームセキュリティを組み合わせた「スマートホームセキュリティ」は、これまでホームセキュリティはいらないかな、と思っていた幅広いユーザー層の心を掴み、グイグイとシェアを拡大しセキュリティ市場全体を成長させる強力な牽引力となっている。

それに対し、日本では海外で見られれる魅力的なスマートホームセキュリティサービスの認知度は著しく低く、特に日本における住宅向けのホームセキュリティ市場自体は低成長もしくは非成長市場と言っても過言ではない。

僕が東急グループ時代にスマートホームセキュリティ事業の立ち上げに関わった際、日本のホームセキュリティ普及率は2〜3%と言われていた。ところがそれから10年弱経った今でも日本のホームセキュリティ普及率は2〜3%と言われている。つまり全く成長しない非成長産業といっても過言ではない。つまりお金に余裕のある一定の富裕層は必要性を感じ、万が一のために加入するサービスではあるが、多くの人たちには必要性を感じてもらえにくいサービスであるのではないか、と推測できる。

冒頭で「ホームセキュリティは不要」との持論を展開させてもらったが、米国などで普及が進む「スマートホームセキュリティも不要か」と聞かれたら間違いなく「必要」と答える。

スマートホームセキュリティとはなんなのかは、我が社が提供しているコラムサイトスマートホームベースでも紹介しているが、違った切り口での解説をこの後の有料セクションで触れていきたい。

ちなみに、日本でもサービス展開されている米国型のスマートホームセキュリティは下記のようなものがある。

三井住友海上MS LifeConnect

イーデバ (※青森県弘前市周辺を拠点としたサービス)

キヅクモ (現時点では非住宅向けのサービス)

いずれもスマートホームセキュリティプラットフォームの最大手Alarm.com社の仕組みを活用したサービスだ。

「ホームセキュリティ」と「スマートホームセキュリティ」の違い

さて、ここからの有料セクションでは、ホームセキュリティとスマートホームセキュリティの違いを解説していきたい。

ホームセキュリティとスマートホームセキュリティの違いを図示してみた。
左側が日本で一般的なホームセキュリティ、右側が米国型のスマートホームセキュリティだ。

ホームセキュリティとスマートホームセキュリティの違い

まず左側の従来型ホームセキュリティサービスは、繋がるデバイスという観点で言うとセンサーが中心である。防犯カメラもオプションでつけることができるが、警備会社から購入すると一般的には非常に高価なため、警備会社営業も高額であることから希望者に対して市販製品を購入することを推奨してくれる、という話を何度か聞いたことがある(真偽を確かめるために知人が問い合わせをした際、実際にそのような対応を受けたそうだ)。

無料セクションにも書いたが、警備サービスが受けられるのは自宅のホームセキュリティシステムを「警備状態」にしているときだけである。警備状態になっていないときには、ただ家にセンサーがついているだけ、という状態になっている。

最近は、日本のホームセキュリティも一部スマホで管理できるものが徐々に出てきているが、契約者がスマホを使って操作できるタイプのサービスは一般化しておらず、日常的にサービスから得られるメリットを享受しにくいというのが実態だ。

それに対して右側のスマートホームセキュリティは、普段使いができるというのが大きな特長だ。まず一見して左のタイプのものよりも彩り豊かに見えると思う(色がついていることはさておき 笑)。
スマートホーム化もできることを前提としていることでスマートホームセキュリティと呼ばれているため、提供サービスによってはスマートロックや照明操作、空調操作など、防犯対策に加えてスマートホームで仕組みの拡張ができるような設計になっている。

加えて、スマホでの操作も当たり前のように提供されるため、普段使いをしている感覚も得やすい。
自宅への出入りがあればスマホに通知が来るし、スマートロックがついていれば、スマートロックの施解錠も通知や記録がされる。ネットワークカメラが玄関ドアにつけられていたら、鍵の開閉をきっかけにして映像の自動記録やスマホへの通知も簡単に行える。

つまり、スマホを使ったセルフモニタリングができるようなっていることに加え、追加で接続されるオプションデバイスによって、できることが拡がっていくのである。

一人暮らしであれば、防犯性が高まることに加え、特に女性などは帰宅前に自宅の電気をつけておけるので、ストーカー対策にも役立てることができる。夏は涼しい家、冬は暖かい家に帰ってくることができる。スマートロックがついていれば、恋人と別れた際にもスペアキーを渡していたら、物理的に回収をしなくてもよくなる。さらにスペアキーを作られているケースもあるので、ストーカーリスクも格段になくなる。
以上のことからスマートホームセキュリティがついている住宅に対する安心感は格段に高まるため、例えば娘を持つ親にとっては非常に魅力的な住宅設備になるはずだ。多少、家賃に差が出ていたとしても、設備の充実度と安心感から納得感も一定高まるはずだ。これが海外でサブスク事業としてうまくいっているスマートホームセキュリティの威力なのである。

家族がいれば、自宅にいなくても家族のことを身近に感じることができるし、子供がいれば尚更安心感と利便性が高まる。
繰り返しの過去記事引用にはなるが、詳しくは下記の記事を参照頂きたい。

日本ではまだ普及が進んでいないスマートビデオドアベルも海外ではスマートホームセキュリティにおけるキラーコンテンツ(キラーデバイス?)となっている。

こうしたスマートホームセキュリティは、クールで便利、かつ防犯対策もでき、生活に多様なメリットをもたらすものにうつる。そうなると従来型のホームセキュリティを必要としてこなかった層にも訴求ができるようになるため、海外ではどんどん普及を伸ばし、セキュリティ業界の発展に寄与しているのは納得がいく、というわけだ。


AIの活用も進む

最近はAIの導入も身近になってきている。

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