#メタルコンピ (メタルコンピ5)で曲を書いた話

今回も書きました。変な変化球を投げるやつだってストレートを投げるんだぜ、という曲です。

曲のイメージ

椿屋四重奏というバンドを知っていますか?syrup16gと同じDAIZAWA RECORDSに所属し、当時のオルタナロックの最先端を走ったバンドのひとつです(2010年に解散したんですが、今年20周年ライブを演っています。行きたかった)。

インディーズ時代の名曲に"プロローグ"っていう曲があるんですが、それはハ長調をベースにした明るいメロディと歌詞なのにどこか哀愁漂うかっけー曲なんです。そういうのが書きたくて書きました。

まぁ、それだけじゃあとてもじゃないけどメタルにはやっぱならないんですよね。
前々から思ってたんですが、どうやら自分の中にわりと"めっちゃメタルっぽい!"っていう引き出しがほぼないことに気付き始めたところです。これがメンタリズムなんですね(違います)。

じゃあそういう要素をどこから盛ってこようか…と思ってたんですが、この間じつはGLAYの新譜が出たんですよ。
GLAYって作詞作曲:TAKUROの曲が売れ過ぎてそのイメージが強い人が多いと思うんですが、JIROやHISASHIが書いた曲って激しいのが多いんですよ。AMERICAN INNOVATIONやWORLD'S ENDとか聞いてみてください。LOVE IS BEAUTIFULは青春の一部です。
クロムクロってアニメを観てた人なら、GLAYが主題歌を歌っていたのも覚えているでしょう……そう超音速デスティニーですね、これがメンタリズムです(違います)。

そこにメタルコンピに参加するとき色々個人的な縛りを入れ、いろんなのを捏ねくり回して作りました。プロローグのコード譜と見比べるのはなしだぞ!!

楽曲の構成

展開について

コンセプトはあくまでストレート、原点回帰なので変な小細工はしないようにしています。
強いて言えばブレイク?あれはちょっとやり過ぎたかもしれない…

歌詞

広い、この大空の 高い、雲の上
見上げた先にある夢の記憶

明かり目指す僕たちの、荒み枯れた心まで
微かな灯が照らし出した先へ

振りかざした腕の、小さな勇気に

さぁ、駆け出したら止まりはしない
先だけを見つめ進もう
追い駆けても、止まりはしない
弱気さえ置き去りに

夢から醒めた、遠い空に


重い足取りで闇を抜けた先にある
まだ誰もしらない夢の欠片

歩み、目指す道の先 遠く風が吹き抜けた
枯れることのない想い、掲げて

振り返ると、遠く遥かな足跡


いつか見た星空に、瞬いた希望(夢)の種
僅かさえ、届かない 祈りをただ、力にして

掠れる声、霞む指先 踏み出した先の未来に
追い続けて、駆け抜けてゆく 鮮やかな風になる

夢から醒めた、道の先で
希望に染まる、遠い空に

[Metal Compilation 5]  Bleed

人間って"届かないものを手に入れようと足掻く"姿や"憧れに身を焦がす"様子っていうのが一番輝いていると思うんです(突然の性癖暴露)(人の心案件)(教えはどうなってんだ)
その影響でどうしても空を見上げたり雲をつかむような話が多いんですが……そろそろ上を見すぎて首を痛めたりしないかな?足元見て歩かないと危ないよ?

それはそれとして、空に浮かぶ→上を見上げる≒先へ向かう心構えというのはわりと根源に関わる話だと思うんです。
星は瞬くものであるということは、その明るさは一定じゃないんですよね。強かったり弱かったりする…それは人の心と同じわけじゃないですか。
曲を書く人だって強い憧れを抱いて始める人もいるし、自分では抱え込めないような弱い想いを書き留めるように曲を書き始める人もいる。いま人の数は星のようにいますが、それぞれの人間は星のように輝きながら命を照らしていると思うんです。

なんかうまくまとまらずアレな感じですが、平たく言うと今回の歌詞はACIDMANに影響を受けたような…そんな感じです。

スロウレインの2番サビ終わりに8小節あるカッティングのトーン好き。リッケンバッカーのギター欲しくなる(弾けないしメンテ大変そうだけど)。

音作りについて


楽器の構成は左右のギターにベース・ドラムがメインのバンドアンサンブルです。そこにピアノが乗ったり、一瞬シンセセクションがあったり(⁈)と特に変なことはない…はずです。

1.ギターについて (音源: Acoustic Applied Sytem Strum-GS2 / Presonus PresenseXT)

ギターの音作りについては2点の縛りを用意しました。

  1. エフェクターは定番のものを使う(原点回帰なので)

  2. ファズは使わない(リードには不可欠だけどみんな初手ファズはないでしょ)

そのため足元はほぼ、

ゲート → ブースター → (ディレイ)→ OD →リード用歪み

の構成でできています。ファズなしの縛りはさすがにやりすぎだったかなって思いました。

左チャンネルのセッティング、リードのときはRAT(PROdrive)がオンになっていました。
隠れているけど最初段にゲートが入っています。
右チャンネルのセッティング、これも隠れているけど最初段にゲートが入っています。
Memoryman(ECHOMAN)は神。

これだけだとあんまり左右での違いは出ない気がするんですが、左はJC-120(JazzAmp 120 CFH)を使ってアンプ自体の歪みが少なめのスッキリした感じにしました。ここ最近ジャズコーラスの出番多い気がする。

キャビネットを重ねてるのはL/Rのパンを振った後のマイク違いを再現しようかなって感じです。

それにたいして右ではJoe Satorianiモデルのマーシャルアンプ(Satch VM)を使いました。今回始めてですね。
最初はいつも通りTriple Rectifierだったんですが、なんか違うなって…結果マーシャルに戻ってきました。ハイゲインで歪みの深いマーシャル使ったの初めてかも知れない。

キャビネットはRectifierの2発キャビです。左右でスピーカーの数は共通ということですね(JC-120で重ねてるのはノーカン。ノーカンということにしてください)

JVM410JHSが元になっているらしい。めっちゃ歪んで音が良い。
このキャビネット、たしか実機は9mm滝さんが愛用していたはず…

フレーズに関しては今回はじめから2通り用意して進めました。
パワーコードでコード感を支えるやつと、オープンコードのボイシングを使ったものの2つです。主に左がパワコードで右がオープンコードです。
この分かれ方は皆さん絶対一度は聴いたことがあるはず…そう、結束バンドです。三井律夫氏ありがとう、劇場版楽しみにしてる。

ちなみに今回は、
Red Plugin Suite: Red 3でダイナミクスを均す

Red Plugin Suite: Red 2で帯域を調整

CLA-76で最終的な味付け
みたいな感じでまとめています。そしてどうしても飛び出る部分はApogee SoftLimitで叩きました。今回の最頻出プラグインです。

2.ベースについて (音源: IK Multimedia MODO Bass 2)

プレベ偏愛おじさんなので今回も70'sプレベです。大きな違いといえば、メタルっぽい音色にするためにピエゾピックアップの音を軸にしたくらいです。ドロップDで作りました。

足元については 前回 と大きな違いはないのでそちらを…というかよっぽどじゃないとだいたい同じです。ちょっと音が違うな、と思ったらだいたいアンプを変えてると思ってください。キャビネットもだいたいAmpegの8発です。

今回はSVX Classic。音が太すぎないところが今回合ったんじゃないですかね

3.ドラムについて (音源: BFD3 - BFD Heavy & Zildjian Digital Vault Vol.1)

ドラムについても前回から大きくは変わらないですね。タムが10 / 12 /16 18 インチの2tom2floorセッティングに変わっただけでキックやスネア、シンバル類の変更はありません。詳細は動画で確認しよう。

変わったとしたら初段のチャンネルストリップがbx_ConsoleのAMEK9099から今回はFocusriteSCに変わったところくらいですかね…一番影響するところだと思いますが。

4.ドラムマシンについて (音源: BPB Casette Drum 909 / Studio One Sample Library)

またイントロとアウトロにドラムマシン入れてるよこの人…って思ったかも知れません。俺もそう思います。

今回は単純に上下の帯域を落としたフィルター込みのものじゃなくて、ちゃんと飽和した感じの歪みがほしくてBerserk Distortionを使いました。でもそれだけだと真ん中の一番欲しいところが薄くなっちゃったので、結果としてRedilightDistと混ぜています。
そして今回は歪みのあとにCLA-76を入れました。歪み✖️歪み≒最高だからです。

ブレイクのところのキックやクラップ、ハットはStudio Oneのサンプルライブラリから選んで使いました。即戦力なサンプルもループもあるのでなかなかおすすめです。

日本人みんな大好き1176の中でも特によく聞くCLA-76。

5.ピアノについて (音源: Black Metal Keys)

音源名からしてズバリそのままで最高ですね、涙が出ます。
元々は完全にシンフォニックなグランドピアノにしようと色々考えてたんですが、この間配布されてたコレがそのまま本番採用になりました。

プリセットとして色々すでに音作りが済んでいるので、そこから選んで微調整って感じですね。何挿してたっけ…と思って確認したらV-EQ4ひとつだけでした。

いかにもって感じのUIで潔い。

6.シンセについて (音源: Synth1 / Mai Tai)

シンセのあるセクションはアレンジとしても作業工程の一番最後だったので、もう負荷の軽くて派手なやつ…という基準で選びました。選んだ理由に面白みがなくてすまない。

左右のパッドはAmpireXTを通したものを薄く混ぜているので、音としてそこまで浮いていないと思いたい。でも発想は完全にイカれてると思う(どうしてこれを入れた?)。

そしてシンセリードは初心者御用達のSynth1。いろんな人が拡張ライブラリ作ってるので探してみるといいと思う。
MassiveやSynthMasterみたいな有償のやつも持ってるけど、こいつらはわりとできることが多い分やるべきことがわかり辛くて最初は難しいと思う。

7.ボーカルについて (音源: SynthesizerV 重音テト)

SynthesizerVって本当にすごいね。今回はMIDIをインポートしてから声質のパラメータだけ弄ってそのまま採用になりました。
声質?上に書いた通りACIDMANフォロワーなので大木氏リスペクトです。動画でエディタ画面出しているので要チェック。

SynthesizerVから出したものに軽いピッチ補正を通したらVocalRiderでレベル揃えて、Magma ChannelStripを通して終わり。
その後ステムにまとめて軽くSibilance通した後にCLA-3Aで均しただけで今回は終わりです。
……あ、今回ボーカルは重音テトですがリバーブを通った音は初音ミクです。"同じメロディだからエフェクト通す元が違ってもイケるやろ"、って思ってました…気付いたかな?

8.ステムトラックの処理

今回はKazrog Avalon VT-747SPが大活躍してた。シンセとボーカル以外にはこれが挿さってる。イントロセール終わるまでに買った方がいいよ。

https://kazrog.com/products/avalon-vt-747sp

あと、NLS Non-Linear Summing。
ステムトラックにまとめた後に一番音が変わったのはこれ。みんな騙されたと思って試してみて欲しい。たしか メタルコンピ3 のときにも使ってる。

https://wavesjapan.jp/plugins/nls-non-linear-summer

それ以外は大きく変わりはないかも知れません。ボーカルステムのコンプがCLA-3Aになったくらい。

参考音源

大半は文中にも登場しましたが。

プロローグ / 椿屋四重奏

FREE STAR / ACIDMAN

超音速デスティニー / GLAY

EGOISTIC HERO / 岸田教団&THE明星ロケッツ

(ひとこと)
なんというか………オルタナばっかり!!!!!!

追記

ステムデータをアップロードしました。期間限定。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?