#メタルコンピ (メタルコンピ4)で曲を書いた話
(そういえば前回はnoteに書いたんだったな……)と思ったので今回はnoteに書きました。
そろそろ本当にアメブロににログインしなくなったので乗り換えるタイミングはいましかないか?と思いはじめたところです。
1. 今回のコンセプト
前回( https://note.com/fumi_shikkoku/n/n5d01f73cf100 )作った曲はEDM+メタルという感じでした。
コンセプトを用意して作るところまでは良かったものの、ある程度時間を置いて聞き返すとそれなりに反省点もそこそこあるものです。2音下げを想定しているとは言え、はっきり言ってギターがモコモコしててよくわからん。
今回はギター音源を新たに用意していることもあるので、せっかくならそれに合わせてなんかやるか(まだ確定ではないけど)…となったのが2022年12月だったのですが、当時はとあるバンドがインターネットを席巻していました。
……そう、結束バンドです。下北沢を舞台にしたバンドアニメであり、それに合わせてゼロ年代下北系ギターロックをフィーチャーしたサウンド(三井律夫氏がメインアレンジャーなら外れないな、と思ってました)にSchool of Lock初期リスナーの過去を持つ自分を狙い撃ちされた気分だったのでした。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONやLOST IN TIME、Syrup 16gなど今も影響を受けているバンドはSOLで初めて聴いたので。
その中でも本放送直後に本PVと称してアップロードされたフラッシュバッカーは格別でした。リアルタイムで追いかけていた人ならわかってくれると信じますが、アレだけの盛り上がりを見せた締めとしてこんなものをお出しされたら狂います。
※4ヶ月後、ライブ動画が出たのでもう一度狂いました
まだ後遺症が抜けてないので前置きが長くなりましたが、こういう理由で年始からしばらく脳をフラッシュバッカーに支配されてしまっていたため、ド定番コードでハーフテンポで展開するリズムしかかけなくなっていました。
ただしメタルコンピではさすがにそれではイケないという理性も一応ありました。ぶっちゃけ前回でも参加者の中ではかなりスローテンポ(たしかBPM144のはず)だったので2回連続で同じ変化球はどうかなというのも配球論敵には微妙なところです。
なので当初は「脳のリソースを切り分けてこっちは早めのテンポでやろう。性癖をこじらせた曲は別に作ろう」としてたのですが、結局性癖には勝てずBPM168で作っています。
2. 楽曲の構成
a. 楽器構成
前回はEDMモチーフだったので、ギターとドラム以外はほぼシンセ音でした。図らずもテンポやリズム展開が近くなってしまったにも関わらず楽器構成まで寄せてしまうのはさすがに同じコースへ同じ変化球を続けるのと同じなのでリスキーです。
なので今回は素直にバンドアンサンブルを中心に据えた構成になりました。パッドやサブベースの鳴らし方とかは前回のものを踏襲しつつ、音源が変わっていることもありバンド部(特にギター)は聞こえ方も違うと思います。前回記事で話をしていたAccoustic Applied SystemのStrum GS-2、結局BFセールで買ったんですよね。アップグレードより拡張パック全部入り新規購入のほうが安かったです。
ただStrum GS-2はドロップチューニングができないので、ギターはレギュラーチューニング固定になりました。左chがテレキャスター、右ch及びソロがレスポールのモデリングです。拡張ライブラリにはジャズっぽいセミアコのモデリングもあったり、それぞれエフェクトを切って使うといい感じに使えそうな気がする。
その代わりではないですが、MODO BASS 2 SEでは5弦の設定で鳴らしてます。70年代Fenderプレベで5弦とかいう変態設定…
ドラムセットはBFD HeavyとZildjian A Customなので実質かみじょうちひろ (9mm Parabellum Bullet) です。スネアはCanopus Bronze Piccolo SnareとLudwig LM402 Hammered Supraphonicをレイヤーしていますが…
ピアノはNuma Playerを使用しました。グランドピアノの音色が欲しいものの、ガチガチのものよりはデフォルメされた音色のほうが合うと思ったので、今回はIK Multimedia Philharmonik 2ではなくてこちらです。
なぜこちらを選んだかというと、これまで使ったことがなかったので試してみたのが大きいのですが、即戦力級のピアノ音源を持っていないのも大きな理由の一つです。Pianoteq 8 が欲しい。
その他シンセ系は前回と同様にMai TaiとSynthMaster 2、ドラムマシンはBPB Casette Drum 909です。
SynthMaster 2の出番は今回はサブベースのみ、ほかはMai Taiになりました。歪みのあるシンセベースは帯域を分割して上の方だけAmplitubeを通してみました。なんだかんだでジャズコーラスの音が好きなので、モジュレーションやリバーブは切ってディストーションだけ使用しています
そして前回に引き続き登場したSample Oneは今回シンセドラムのキックを鳴らすサンプラーとして普通に使いました。前回がちょっと特殊だっただけです(ボーカルチョップはいうほど特殊か?
b. コード展開
コードは原則として"D-F-B♭-C"の展開が中心になっています。スケールがどうなっているかはわからないですが、おそらくGナチュラルマイナーとかそういう感じなんだと思います。
一番最初にピアノでイントロの"D-Gm-D-Csus4"ができたときにこれは勝ったなと思いました。あとはそれに合わせて展開を用意し、DメロだけせっかくだしJust the two of us進行やりたい!とねじ込みました。ここだけキー違う気がしますが、最終的に馴染んだ気がするので結果オーライです。
Intro
D Gm D Csus4
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
1-[A]
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
1-[B]
D G A F#sus4
D D#dim Em F#m7
1-[C]
Em C D Bm
Em Am Asus4 Bm
Em C D Bm
Em Am Asus4 Bm
2-[A]
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
Guitar Solo
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
2-[D]
GM7 F#m7 Bm D
GM7 A7 Bm
2-[C]
Em C D Bm
Em Am Asus4 Bm
Em C D Bm
Em Am Asus4 Bm
Outro
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
D F B♭ C
D F B♭ Csus4
D Gm D Csus4
※正直コード合ってるかわからないので「ここのコード違わない?」とか「こう書いたほうが良くない?」とかあったらおしえてください。
あと、「転回形省略しやがって○すぞ」以外の文句は聞きます。
3. 音作りについて
a-1. ギターの音作り(音源: Acoustic Applied Sytem Strum-GS2 / Presonus PresenseXT)メタルコンピ収録版
上に書いた通り、左chはテレキャスター、右chとソロはレスポールのモデリングを使用しています。
ジャキっとした感じを出すなら左chは普段ならストラトキャスターのモデリングになるはずですが、今回はなぜかテレキャスターを選択しました。
単音系のリフやソロの節回しはStrum GS-2だと調整しきれないところが出てきたので、そこについてはこれまで通りPresonus PresenseXTを使用することでいい感じになるように「いい感じになれー!」ってしています
アンプの設定はすべて同じで、ヘッドをMESA/Boogie Triple Rectifier、キャビネットはMetal V-1(Peavey 6505モデル)のドライバーを入れ替えています。アルニコのドライバってどのキャビネットに入れてもメタルって感じの音がしますね。
だいたいわかったかもしれないですが、ものぐさなので2種類の設定をひとつのプリセットの中に用意して、Stomp A/Bのどちらかをバイパスすることで切り替えられるようにしています。いつも忘れそうになっちゃう。
a-2. ギターの音作り(音源: Acoustic Applied Sytem Strum-GS2 / Presonus PresenseXT)Niconico/Youtube版
コンピ版がアンプの設定もあり歪みのあるハイゲインな内容になっていたのに対し、こちらでは左chはかなりクリーン寄りの設定になっています。当初はあまりにクリーン過ぎたので、アンプへ送る前にファズでゲインプッシュと歪みを加えているほどです。
今回はJC-120を使用していますが、普段このセッティングではAD30と合わせて使うことが多いですね…
右chは数年前にhayapi氏のペダルセットを参考に組みました。Twitterの写真なのでもうすでに探すのが難しいんですが、その時にこういうシグナルフローにしていたはず(たぶん今は違うでしょう、頻繁に組み替えているようなので)。
こちらはマーシャルヘッドとPeaveyキャビでハードロック感がありますね。Orangeキャビにしなかった理性を褒めて欲しい。
b. ベースの音作り(音源: IK Multimedia MODO Bass 2)
こちらは今回、特別なことはしませんでした。…といってもそれは自分の中でいつも使っているセッティングをそのまま持ってきたというだけであるので、見方によっては特別なのかもしれません。
ベースは普段、Bass DriverとPSA-1のエミュレーションプラグインを通った音をまとめています。ベースは歪んでいる方がかっこいいので。…これ一回Twitterにも書いたな?
c. ドラムスの音作り(音源: BFD3 - BFD Heavy & Zildjian Digital Vault Vol.1)
今回は疑似かみじょうちひろセットを用意しました。氏のフレージングは圧倒的な手数が有名ですが、その多くはルーディメンツに基づいています。なのでそれを利用してこのキットでやればちょっとした9mmごっこができます。
キットは24インチと22インチのキック、タムは8、10、12、14、16、18インチの6種類をアサインしています(14インチのmidタムだけ別セットからの移植です)。
バーチ材のシェルは重く柔らかめなので太い音が出ながらリリースがオーク材より短めになり、テンポの早いハードな曲に合うと思っています。オーク材は固くて重く、共振し辛い材質でありながら内部で綺麗に響いてくれるため、これもいい感じになります。BFD3ライブラリでは24インチであることが明記されているのがYAMAHA Recording Customのバーチもしくはオークしかないので、大口径のキックを使いたいときはだいたいこのどちらかを使っています。
シンバル等金物はいつもZildjianなのですが、今回はキット自体が重めの音色であることやリリースも綺麗に切れるものが欲しかったためAカスタムが中心です。BFD3ではSabianやStanton Mooreコレクションの拡張ライブラリが販売されてますが、Zildjianのはなんとかして再販できる段取りを組んだほうがいいと思う。
バストラックにまとめた後にEQやコンプで整えていきます。
今回は初段にWaves SSL Channelをインサートしました。自分で用意しているFXチェーンではbx_FocusriteConsoleが含まれていますが、曲調等に合わせてbx_AMEK9098だったりSSL G-Channelだったりします。
余談ですが、SSL Native Channel StripとWaves SSL 4000 Collectionはかなり方向性が違うと思っています。
Wavesはいわゆる"SSL4000シリーズ"の再現を主眼に置いているのに対し、SSL Native Channel StripはSSL XL9000Kのもののエミュレーションであるためかなりナチュラルでありながらしっかりエフェクトがかかります。ジャズやファンク系の音作りではゲートやエキスパンダーを含めしっかりかかるナチュラル系のエフェクトは重宝されると思いますが、今回は9000Kの気分ではなかったのでWavesのSSL4000Eのチャンネルストリップを選びました。
PAとの比較は、ライセンスを買ったらやると思います。でもWavesので満足しているので当分買わないと思います。
チャンネルストリップの後ろに、パーツによってその他エフェクトも挿してありますが、EQとコンプを使います。ここについては使うエフェクトがほぼ固定なので、大きく変わることはありません。
キック: bx_subsynth→Pro EQ 2→ T-RackS Black76
スネア: VEQ-4 or dbx160→CLA Echosphere→ Warm EQ1→Xtressor
その他: Pro EQ→T-RackS Precision Comp/Limiter
各チャンネルをまとめたドラムスの最終段には、チャンネルストリップの後にWarm EQ1→Shadowhills or SPL IRON→FerricTDSを挿しています。最近はSPL IRONを使っていることが多いです。
余談: 一瞬だけかみじょうちひろに神保彰が宿る瞬間が曲中にあります
d. ドラムマシンの音作り(音源: BPB Casette Drum 909 / Studio One Sample Library: Vengeance-Sound)
イントロやブレイク、アウトロで鳴っているドラムマシンは前回と同じくBPB Casette Drum 909を使っています。Bedroom Producer's BlogのCasette Drumシリーズは他に606、808がありますが、909が一番アタックが立っているように思います(実機はどうなんだろう?)
個別のパーツとして出力し、Lindell Audio 80 SeriesやPresonus FatChennelXT等で処理したものをバストラックにまとめてからPresonus RedlightDistを通しています。RedlightDistは真空管3種類やトランジスタ、オペアンプ、ファズから歪ませ方やドライブの仕方、原音MIX量を選べるのでわりと重宝しています
Sample Oneで鳴らしているキックは元はシンセ感のすごくあるものをアナログ機材のエミュレーションプラグインを使って多段がけして生音のように聞こえるよう処理しています。
Lindell Audio 80 Channel→RedlightDist→bx_subfilter→Lindell 50 Channel→ BBE Sonic Miximizer
おかげでキックだけ浮くことはなくなったのですが、ちょっと馴染み過ぎじゃない?と思うこともあります
e-1. ピアノの音作りについて(音源: StudioLogic Numa Player)
本来こういった曲調では硬めの音色が好まれると思います。
ただし"グランドピアノの響き"と"アップライトピアノの芯の硬さ"の両方が欲しかったので、Numa Playerでそういった音色を作りました。
後者だけであれば、普段はNo.53 Piano等を使っていたと思います。
これに加えて、音作りとしてSSL Channelを通した後にWaves Magma Tube Channel Stripを使用しました。
先日配布されていたLil tubeと同様のマイクプリエミュレーションが搭載されているのですが、ここの真空管エミュレーションが今回すごく合ったなと思いました。
あまり派手ではないですが、しっかりドライブさせたらきちんとサチュレーションが付与されるし、やりすぎたら歪みます。みんなも試してみてください(Creative Accessが始まってからWavesを軽率に進めやすくていいですね)。
e-2. ピアノグロッケンの音作りについて(音源: AlanViSTa BellsEbuth)
BellsEbuthはフリーVSTです。ボリュームとダイナミクス、あとサスティンレベルとリリースタイムしか調整できないのですがグロッケンはそもそもそういうものです。
フリーVSTのクオリティが云々という話は前から出ていますし、ぶっちゃけ軽いだけでペラい音が出るものもたくさんありますが、いいやつはフリーでもちゃんとあります(ただしほとんどがWindows専用ですが)。
このデベロッパーの音源は他にマリンバや鉄琴、ビブラフォン等も持っていますが、クロマチックパーカッションのクオリティは高いのでおすすめです(Windowsユーザーであれば)。
これにもMagma Tube Channel Stripを使用しています。グロッケンはそのままだと高域が非常に耳に痛い音になってしまうので、真空管のサチュレーションによって音を丸くするようにしています。
f-1. シンセベースの音作り(音源: KV331 SynthMaster 2 & Presonus Mai Tai)
環境によっては16小節程度しか聞こえなかったかもしれませんが、シンセベースは2つ用意しました。ひとつはMai Taiで作った歪みの強いもの、もうひとつはSynthMaster 2で作ったサブベースです。
両方ともサイドチェインを設定してあり、裏拍で持ち上がるように作っています
サブベースはローパスフィルターを通した後にコンプレッサーでレベルや聴感を揃えました。ただ基音が低い分環境によっては再生されず多少の倍音のみが聞こえていたかもしれません。イントロやアウトロの他、Dメロ等でも鳴っています。
もう一つのベースライン(便宜上"Acid Bass"と呼称しています)については、上記の通り帯域を分割してギターアンプを通すなど、サブベースと異なりわかりやすい音色になっています。1サビ終わりから2番Aメロ前半までの16小節しかなっていません。
ただしギターアンプを使用しているなど広い帯域に音色が影響する状態となっているため、前回と同様にPanorama 6を用いてどちらもバイノーラル化し下から聞こえるように処理を行っています。
f-2. シンセパッドの音作り(音源: Presonus Mai Tai)
パッドの音色としてはプリセットにある"Pad - Dard Pad"を選択、Characterパラメータ以外をほとんど操作することなく使っています。
前回に引き続きPanorama 6が空間設計に大きな役割を果たしていますが、シンセパッドにもPanorama 6がインサートされております。
シンセパッドについては角度60°距離5mと設定しているため、ほぼ真上から降ってくるようなイメージになっていると思います。
g. ルームリバーブの設定について
手法については前回ページも参照いただければ。
想定としては自分の前後左右にある上空のスピーカー(直線距離で最大10m)のから音が反響して戻ってくるイメージで設定しています。
ただ前回でも書いた通り背面については左右チャンネルが反転してしまうので、こちらを別途修正する必要があります(Studio OneであればMixtoolからチャンネルスワップができます)。
今回はリバーブにImpulseRecords ConvologyXTを使用しました。これはIRリバーブですが、IRデータの素材にハードウェアリバーブを使用した製品です(コアライブラリは無料で使用できます)。
もちろん、ConvologyXTは拡張ライブラリがある他、どうやら個人制作のIRデータも使えるそうです。読み込み方を見つけたらおしえてください。
4. 参考音源
結束バンド - フラッシュバッカー
THE SPELLBOUND - すべてがそこにありますように。
夢 - LOST IN TIME
岸田教団 - Hello World
Light and Darkness - BABYMETAL
Dreams - HIGH and MIGHTY COLOR
Morning Sun - 清竜人