大人も子供も魅了する!絵本『パンどろぼう』のお話
みーです。
先日、朝のラジオ番組で、絵本『パンどろぼう』の作者 柴田ケイコさんがゲスト出演されていました。
そこで今回は、今、沢山の人に愛されて止まない『パンどろぼう』という絵本の魅力について、書きたいと思います。
パンどろぼうとは?
あらすじ
以下、パンどろぼうの説明文の引用です。
シリーズ1作目 絵本『パンどろぼう』
作:柴田ケイコ
出版社:KADOKAWA
2020年刊行
パンどろぼうシリーズ 概要
2020年刊行の1作目『パンどろぼう』をはじめとした絵本シリーズ。
2024年10月時点で、『パンどろぼう』シリーズの累計部数は400万部を突破。
「リブロ絵本大賞」で大賞、「TSUTAYAえほん大賞」で1位など、数多くの賞を受賞。
「令和で一番売れている」絵本シリーズと言われている。
パンどろぼう 私から見た最初の印象
私はパンどろぼうシリーズを全部読んだわけではなく、なんとなく知っている程度のニワカ知識しかなかったので、恐縮なのですが・・・
1作目の『パンどろぼう』は、何年か前にテレビ番組「ヒルナンデス!」で注目の絵本として紹介されたときにあらすじを知って、興味を持っていました。
本屋の入り口付近に特設コーナーがあるのを見て、相当人気なんだなぁと思っていました。
ある日、3歳のお子さんのいる友達の家に、仲の良い友達と3人で遊びに行ったところ、
お家の本棚にパンどろぼうシリーズが揃っているのを見ました。
そのお子さんがパンどろぼうの絵本を持ってきて
「ママ、これ読んで!」と言いました。
ママは、「え~また?もう何回も読んでるじゃん~」と言いながら絵本を開きました。
私達も読み聞かせを一緒に聞きつつ、そのときに1作目のパンどろぼうを初めて全部読みました。
ストーリーに意外性があって面白く、
登場するキャラクターもシュールでなんとも言えない表情をしている感じが可愛いなと思いました。
そして出てくるパンがとっても美味しそう!
見ていてお腹が空いてしまいました。笑
絵本の展開に緩急もあって、その子は大きな豚が出てくるシーンがお気に入りらしく、
読んでいる途中にページを飛ばしてそのページを叩き、
「早く、ここ読んで!」
と嬉しそうにしていました。
その様子を見て、私もほっこりとしました。
将来、子供が産まれて成長したら、
私もシリーズを揃えて読み聞かせしたいな…と思っていました。
最近はグッズも沢山出ていて、持っている人をよく見ますね。
私の父も、何故かはわかりませんが、パンどろぼうの手帳を使っていました。
LINEスタンプを使う人もたまに見かけますし、カプセルトイの人気コーナーでも見かけます。
最近「パンどろぼう展」も開催されていて、その反響も大きかったようです。
私も行ってみたかった・・・!
ラジオの内容について
公式X、初めて見ましたが、絵本テイストで書かれていて癒やされますね。
先日の朝、TBSラジオ「パンサー向井の#ふらっと」という番組に生出演されていました。
私の母が、
「今からふらっとにパンどろぼうの作者さんが出るよ!」
と、わざわざ教えてくれたので、radikoで聴いてみることにしました。
作者・柴田ケイコさんの経歴
1973年、高知県生まれ。
奈良芸術短期大学 ビジュアルデザインコースを卒業。
広告・出版物全般の会社に勤め、
その後2002年からフリーのイラストレーターとして活動。
2016年、『めがねこ』で絵本デビュー。
2020年に『パンどろぼう』を出版。
プライベートでは2人のお子さんがいるとのこと。
パンどろぼうが出来るまで
柴田ケイコさんは、もともと勉強が嫌いで、小学生の頃からものづくりやイラストが好きだったそうです。
芸術の道に進もうと決意しましたが、現実を考え、収入になりそうな広告、出版系の会社に就職されました。
しかし、「絵を描きたい!」という思いが強くなり、デザイン事務所へ転職。
そこで4年間、カットイラストを描くようになりました。
その後、事務所が解散。
先輩に背中を押されたこともあり、フリーのイラストレーターとなりました。
絵本を始めたきっかけは、息子さんの存在でした。
読み聞かせを毎日しているうちに、絵本を描きたくなったとのこと。
息子さんが3歳のときに、弱視であることがわかり、
『めがねこ』を描くことになったそうです。
その絵本では、「めがねはネガティブではない」というメッセージを伝えたかったそうです。
その後、イラストをみた他の出版社の方からオファーがあり、
『おいしそうなしろくま』という絵本を出しました。
これは、作者の柴田ケイコさんが食べ物が好きということと、
おじさんっぽいシロクマのシュール感がいいと思って描いた絵本だそうです。
『パンどろぼう』は、KADOKAWAの編集者の方から「パンを題材にした絵本はどうか?」と提案されて描くことになったと仰っていました。
編集者の方が、わざわざ高知に来てくれて、「これは、逃げられないな・・・」と思った、と仰っていました。笑
ご自身の個展で描かれていた、パンを被ったシロクマのイラストが名刺に描いてあって、そのタイトルが「パンどろぼう」だったそうです。
『パンどろぼう』ヒットの秘訣とは?
番組MCの向井さんが「ズバリ、ヒットの秘訣はなんですか?」と質問したときに、
柴田ケイコさんは「わかりません・・・」と回答していました。
ですが、ラジオのインタビューを聴いていて、柴田さんが大切にされている価値観などがわかり、その中にヒットの理由がありそうな気がしました。
以下は私なりの解釈ではありますが、わかったことをいくつかピックアップしてみます。
1、シュールさ
柴田ケイコさんのイラストは、俗に言う、The・子供の好きそうな絵!というよりも、絶妙にかわいくない…と言ったら失礼かもしれないのですが、
なんというか、味のある、渋めのイラストですよね。
でも、その“味のある”シュールさの中にも、柴田さんのキャラクターに対する深い愛を感じます。
ラジオでも「シュールな絵が好き」と仰っていましたが、
そのシュール感というのは、ただ独創的で独り歩きしているようなシュール感ではなく、
柴田さんが愛をもって、そのキャラクターの個性として尊重しているものであり、
どのキャラクターも、なんとも愛嬌があって、癒やしを感じてしまいます。
うまくいえないのですが、一言で表すと、
「絶妙に可愛くないけど、どことなく愛嬌があって、可愛く見えちゃう」
という感じです。
・・・伝われ!!笑
多分、今の20代~40代くらいの人は、こういうシュールなものが好きな人が多いような気がします。
私も、小林健太郎さんの「鼻兎」のような、
「絶妙に可愛くないけど、なんか可愛く見えちゃう」シュールなキャラクターが大好きなので、勝手ながら柴田さんに親近感を感じてしまいました。
ちなみに、鼻兎というのはこの漫画のやつです↓
2、“子供に何かを伝える”ではなく“子供が笑ってくれる”
『パンどろぼう』では、『めがねこ』のように、何かを伝えたい、というような強いメッセージ性は意識していなかったそうです。
ただ、子供の反応を想像して、
「こうしたら面白そう」「子供が笑ってくれそう」という感じで描いていたそうです。
自分がこれを伝えたい、という、ある種の独りよがりな想いを軸にするのではなく、
相手に楽しんでほしい、笑ってほしい、という、相手を思いやった願いを軸にされているということですよね。
それってすごく素敵なことだし、愛がないとできないことだと思いました。
そうやって、読み手の反応を想像しながら描かれているからこそ、
これだけヒットしているし、多くの人に愛される作品になっているのではないかなと思いました。
3、親しみやすさ
シリーズ最新作の、『パンどろぼうとりんごかめん』のお話になり、
新たに登場するキャラクター「りんごかめん」はどのようにして生まれたのか、聞かれていました。
柴田さんが編集者の方と話をする中で、
「果物」をモチーフにすることになり、
色々と考えた結果、「りんごかめん」が誕生したそうです。
りんごの丸いフォルムと、赤い色が目に入りやすく、
皆が知っている果物で、馴染みやすい…などの理由を仰っていました。
これも、読み手のことを考えられているということになりますね。
ラジオ出演時、柴田さんは赤いカーディガンに黄色のパンツスタイルで、
りんごかめんを意識した服装だったそうです。
ラジオでは音声だけなので、聴いている私達にはわからなかったのですが、相手の反応を楽しんでいる感じが想像できて、素敵なお人柄だな、と思いました。
4、読みやすく、大人も楽しくなる言葉選び
出演者の横澤夏子さんが、「パンどろぼうは言葉も楽しい!」と仰っていました。
ズラリ、とかチラリ、とか、コロコロピッとか、
声に出して読むと可笑しくて笑ってしまいそうな言葉が沢山出てくるそうです。
絵もいいけれど、親も楽しめる言葉のチョイスがいいとのこと。
それについて柴田さんは、「文章は上手くないので、編集者の方と考えながら決めている」と言っていました。
絵本なので絵が中心にはなりますが、絵と文をバランス良く、
説明が少なくてもいいように工夫されているそうです。
絵で見てわかりやすいストーリーにしつつ、でもシンプルすぎず、読み手に面白いと感じてもらえる内容にするって、
なかなか難しそうですよね。
でも、読みやすいようによく考えて描かれているからこそ、小さいお子さんでも楽しめて、より広く親しまれているんだろうなと思いました。
実際、横澤さんのお子さんも、パンどろぼうが大好きで、
まだ読むには早い年齢なのに、熱心に読んでいると言っていました。
5、細部まで楽しい!遊び心
子供は、大人とは違うところにも目が行くので、
絵本の隅々まで見ることを考えて、いろいろなところに遊び心を入れているそうです。
例えば、絵本の見返しの部分に言葉が隠れていたり、
伏線のようなものを入れてみたり…と仰っていました。
『パンどろぼうとりんごかめん』でも、絵の中にりんごかめんが隠されていたりするそうです。
横澤さんが教わって大はしゃぎしていました。
MCの向井さんが、「これは、実際に手にとって確認してください!」と言っていました。
そう言われると、気になりますね!!!
ラジオを聴いた後、気になって本屋さんに行き、実際にりんごかめんの絵本を手にとって見てみました。
確かに、小さいりんごかめんが描いてあったりして、大人の私でも純粋に「楽しい!」と思いました。
そういえば自分も小さい頃、絵本の1ページをものすごい時間をかけて見つめたり、細かいところを見て想像を膨らませたりしていたような記憶があります。
そういう小さな発見があると、何度見ても楽しいですし、また繰り返し読みたくなりますよね。
何回行っても楽しめる、夢の国みたいな感じって言ったらいいのかな…
ラジオを聴いた感想
経歴を聞いて、「子供がいる中で、絵本作家になるってすごく大変そうだな」と思いました。
ですが、母親だからこそ、こうした価値観が生まれて、広く愛される絵本が描けたのかなと思いました。
ヒットの理由もなんとなく考えはしましたが、きっとこの柴田さんは相当なやり手なんでしょうね。
普通、絵本いいな、描いてみたいな~と思っても、実績とか人脈とか高いモチベーションとか行動力とかがないと、大手の出版社からオファーなんてなかなか来ないですよね…
これから母になる私は、仕事と子育ての両立に不安を感じているのですが、柴田さんのお話を聴いて、勇気を頂きました。
なんとなく勧められて聴いたラジオでしたが、聴いてよかったです!
あいみょん「愛の花」のMVが泣ける
パンどろぼうの話からは逸れるのですが、
作者の柴田さんがあいみょんさんからラブコールされて、
ミュージックビデオのイラストを描いたというお話をされていました。
「愛の花」という、NHKの朝ドラ「らんまん」の主題歌になっていた曲です。
あいみょんさんがひたすら自撮りをしている、「愛の花」の公式のMVなら観たことがあったのですが、
それはドアップのあいみょんさんの顔面が気になりすぎて、
「あいみょんさんのホクロかわいいな」
みたいな極めてどうでもいい雑念がどうしても湧いてしまい…
大変申し訳ないのですが、歌詞の内容が全然頭に入ってこなかったんですよね。笑
そんなこんなで、曲は知っていたのですが、
柴田さんのイラストのアニメーションビデオがあるというのは存じ上げませんでした。
気になったので、ラジオが終わった後に観てみました。
きっと可愛いイラストが挿入された、ほっこり癒される系の映像なんだろうな、と想像しながら…
そうしたら、思っていた以上に大感動してしまい、私は情緒不安定な子供のごとく、家で独りでむせび泣いてしまいましたよ。
こんなはずじゃなかったのに…笑
映像だけで、こんなに曲の印象が変わるんだなぁ…とびっくりしました。
私は人よりもかなり涙脆い人間なのですが、
まさかMVでこんなに泣くとは思いませんでした。
私のように大号泣する人はなかなかいないかもしれませんが、とてもジーンとします。
百聞は一見に如かず、、、もし、観たことなかったら、是非観てみてほしいです。
こちらは、柴田さんのイラストを何枚もつなげて、動画にしたとのことでした。
パラパラ漫画みたいですごいですよね!
そういえば、鉄拳さんのパラパラ漫画を観た時も、私は感動して泣いた記憶があります。笑
以下、「愛の花」の歌詞です。
神木隆之介さんが演じていた、朝ドラ「らんまん」の主人公・万太郎は植物学者でしたが、
この曲は、涙を花の種になぞらえているので、
らんまんのストーリーともリンクしていて、
元々の印象としては、少し切ない、けれど愛が溢れた、心あたたまる歌だなぁという感じでした。
柴田さんのイラストのアニメーションビデオでは、
この曲の中で大切な人との別れを連想するような、悲しい部分もしっかり描写しつつ、
最後に救いのある、悲しさの先に希望があるということがわかるような構成になっていました。
失敗しつつも精一杯頑張るうさぎと、
花の妖精とのイラストでつくられたストーリーを観て、
言葉がなくても伝わる愛を感じました。
「言葉足らずの愛をあなたへ」
というブレーズが個人的に好きなのですが、
それが柴田さんの絵本そのもののことを表しているようにも思えてきました。
曲の間奏のところで、
花の妖精さんから、花のような綿毛のような、不思議な白いモコモコが飛んでいって、
景色が色鮮やかな花でいっぱいになるシーンがとても印象的でした。
これは、その先の未来の希望を暗示しているようにも見えたし、
鮮やかな景色が、見ている私たちを温かい気持ちにさせてくれて、
きっと励ましてくれているんだなぁと感じました。
柴田さんは、イラストを物理的に手で描いているというより、心で描いているようだな、と思いました。
この曲を深いところまで理解して、共鳴して、柴田さんが心から愛を持って描いたんだろうなと想像出来ました。
そういうのが伝わってくるからこそ、
柴田さんの絵本はたくさんの人たちから愛されているんだろうな、と思います。
おわりに
結論、「パンどろぼう」はいろんな良さがあってすごいけど、
それ以上に作者の柴田さんのお人柄から、イラストや絵本は愛に溢れていて、とても素敵だ!ということがわかりました。
私は元々、パンどろぼうに関心はあったのですが、
ラジオを聴いて柴田さんのことを知ったら、
もはや柴田さんのことが大好きになりました。
これだけ、私たちに愛を与えてくれるのだから、
たくさんの人たちから作品が親しまれ、愛されるのも納得でした。
「人のためにすることは結局、巡り巡って自分のためにもなっているもの」
という、竈門炭治郎のセリフを思い出しました。
そういう者に、私もなりたい…
とても長くなってしまいました…
まだnoteを始めたばかりなのですが、1つの記事の文章量の加減がわからず毎回全力で書いてしまっています。読みにくかったら、すみません。。。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
それでは。
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