新しいお弟子さんに茶道入門時の初心をみる
その日は、朝から少しドキドキとワクワクがあり、いつもより1時間ほど早く目が覚めた。
前回の茶道稽古時に、「次回、新しい方が見学に来られます。よろしくお願いします。」と先生から、お話があった。
私が通う茶道教室は、表千家教授者である先生が、ご自宅に設けた茶室で行われているのだが、教室の案内を表立っては、出されていない。ホームページ等も作られていない。今後も、作るつもりはないとのこと。
このため、新しい方が入られるのは、稀なことで、
「どんな方なのかしら?」とドキドキ、ワクワク。
20代後半の女性で、茶道経験はない方、ということだけは、事前にうかがっていた。
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稽古場へ着き、先生にご挨拶をすると、見学に来られる方は、濃茶は召し上がったことがない、とのことで、薄茶の時間に合わせて、来られるとのこと。
この日は、私が薄茶の点前ということになっていた。
先生も、他のお仲間からも、普段にはないソワソワ感が、伝わってくる。私も内心ソワソワしていたけれど、できるだけ平常心を保とう、などと意識する。
見学の方が到着されて、ご紹介があり、薄茶点前の時間に。
点前を私が担当し、先生が半東(はんとう/菓子、茶碗などを運ぶ役)をしてくださることに。
見学の方がみていらっしゃる、という普段にない緊張感と、先生が半東役で普段と違う場所(後方、茶道口近く)にいらっしゃるのと、「旅箪笥(たびだんす)」で「吊釜(つりがま)」という4月限定の、扱い慣れない仕様なのと・・・。
毎度、点前のはじまりは、緊張感をもって臨むのだけれど。
今回は、緊張感倍増なのであった。
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無事に、皆さんにお茶を出したあたりで、ようやく落ち着きを取り戻し始める。
仕舞(しまい)をしながら、ふーーーっと、20代後半で、初めて茶道教室を訪れて、薄茶点前を拝見した日の記憶が、蘇る。
中でも、「湯返し」という所作(柄杓で釜の湯をすくい、傾けて釜に湯を戻し、その湯気で柄杓を乾かす)を初めてみたときの、強い印象を思い出す。
煮えた釜の湯、湯を柄杓から返すときのたちのぼる湯気に、緊張が解けてゆく心地がした。
もしかしたら初めて点前をみるのかもしれない、見学の方が、同じように所作を味わってくれたりするだろうかーーー。そんな意識がふっとわいて、一つ一つの所作が美しいものでありますようにと、改めて、意識をめぐらせたのだった。
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お稽古が終わった後。
見学の方と、少しお話することができた。
「お着物がとても素敵ですねー!ご自分で着られていると、先生から聞いたのですが、教室に通われたのですか?」
「着物は、かくかくしかじかです(←また別の機会に書きたいと思います)。点前は、みられたことはあったのですか?」
「点前をみるのは初めてです!とても美しいと思って、じーっとみてしまいました!」とお話してくださった。良かったー、とほっとする。
聞けば、日本の文化を学びたくて、かなり調べて、表千家茶道にたどりついた、とのこと。
20代後半で、「和の文化を学びたい」と茶道にたどりつき、教室を探し、初めて点前をみた自分自身の、あの日のおもいを、新しいお弟子さんに、みたのであった。
そして、彼女のキラキラと輝く瞳をみつめて、
茶道の門を叩いた日の自分と、そこから歩んできた道を、改めて、自分で深いところで肯定してあげたい気持ちが、わいてくるのであった。
来月から、早速教室に通われる、とのこと。
自分の入門当時と思いが重なる彼女と、和して敬する関係を、築いていきたい、と思う。素敵なご縁に感謝してーーー✨
一昨日4/21 7,701(+1,101)歩✨
昨日4/22 6,422(+422)歩✨