中小企業診断士 2次試験 平成30年 事例IV 第2問 設問3のモヤモヤ

この問題は何度解いても、いろんな解説を見ても毎回モヤモヤ感が残る問題です。
皆さんはどうでしょうか?

ようやく自分なりに納得出来そうな答えを見つけたのですが、他にこの解答をあげている人がいないので、皆様のご意見を頂きたいと思って公開してみる事にしました。

この問題の解答は1.27と1.3の両意見あります。
それぞれの解法を紹介します。

キャッシュフロー成長率をg、資本コストは3.3%です。

まず大多数の意見の1.27の方です。

こちらでは、1年後のキャッシュフローを3.8(1+g)として、定率成長モデルの式で企業価値を計算します。
190 = 3.8(1 + g) / (3.3% - g)
g = 0.01274 = 1.27%

次に1.30の方です。

190 = 3.8(1 -g + g) / (3.3% - g)
190 = 3.8 / (3.3% - g)
g = 0.013 =1.3%

1.27の解法と1.3の解法を比べるとB/SとP/Lの時系列の解釈の違いだという事が分かります。
問題を解いて解説を見るたびに両方の説ともそうだと思ったりなんか違うと思ったりしなが、4、5回は解いていると思います。その都度、解説を読んで理解したつもりになるのですが、次に解くと、また、なんかしっくり来ない感じが残りました。

設問を読んで時系列を整理したいと思います。
まず設問の冒頭に今期の実績から、吸収合併の効果を評価するとあるので、P/Lは今期の実績である事が分かります。
今期の実績なので、キャッシュフローは今期末に計上するのが良いと思います。これは1.27説の通りです。

設問1では吸収合併によって増加した資産に対して要求されるキャッシュフローを求めろ。とあるのでF社資産の190は合併時点で増加したと考えられます。そうすると1年前の企業価値とB/Sとなります。これは1.3説の前提になります。

どちらもその通りなのですが、
1.3説を取ると矛盾が起きます。
それは合併時点からキャッシュフローがg成長してしまっている事になります。
設問2で今期のキャッシュフローを求めてそれが要求収益率に満たない事が分かります。
さらに設問3を見ると将来にわたって成長すれば、となっているので、現在から来季にかけて成長すると考えられます。1.27説ではこの辺の矛盾を主張するのだと思います。

しかし1.27説では、1.3説のB/Sが1年前のだという疑問に答えていないと思います。
そこでB/SとP/Lの時系列が違うのでは、気がつきました。

B/Sを1年前、P/Lを今期の物とします。
そうすると今期の企業価値は今期のキャッシュフロー増加分増えて193.8となります。
これで、1.27説と同じように解くと、
193.8 = 3.8(1 + g) / (3.3% - g)
g = 0.01313 = 1.31%

どうでしょうか?
どちらの説も取り入れて、
設問にも矛盾しないと思います。
ただ、出題から6年経ってますが、
この解答をしている人はいないようです。

令和2年の事例IV 第4問 設問2 で、
キャッシュフロー分増えた資産価値を使って、
ROIを出す問題が出ているので、
キャッシュフロー増加分の資産が増加するという考え方は出題例がある事になります。

これについての意見や指摘を頂けたらと思いますので、よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?