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イタリアらしい守備(サンプドリアに見た、自陣でのブロック守備)
20/21 セリエA 第4節
サンプドリア vs ラツィオ
~サンプドリアに見た、イタリアのブロック守備~
現在サンプドリアは、あのレスターをプレミアリーグ優勝に導いたラニエリ監督が率いています。特にレスター時代にはその堅守に注目が集まったと思います。
そんなラニエリの率いるサンプドリアですが、ブロック守備時にはやはり伝統的なイタリアらしい守備を見せていました。
スタメン(home : サンプドリア)
(away : ラツィオ)
結果 : サンプドリア 3 - 0 ラツィオ
( 前半 2 - 0、後半 1 - 0 )
サンプドリアの守備
(ブロック守備)
① 陣形
サンプドリアは自陣でのブロック守備時、まずは下図のような「4-4-1」のブロックを形成する。
ブロックの縦の幅はおよそ10~15m、横の幅はペナルティエリアよりも狭く設定する。
このとき、FWのクアリャレッラは前線に残りカウンターの準備をする。
② 基準点
基準点はボールと敵。つまり、ブロックのコンパクトネスは保ちつつ、ラインの維持よりもボールホルダーにプレッシャーをかけることを優先し、ブロック内でマンマークを行う。
ここで、試合中に見られたシーンをいくつか示す。
(シーン1)
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(シーン2)
↓
(シーン3)
(シーン4)
③ サイド
ボールが大外に出たとき、左右で対応の仕方が少々異なっていた。
まず、左サイドでは下図のように大外のボールホルダーに対して基本的にSBのアウジェッロがアプローチしていた。
このとき、全体としてはブロックをコンパクトに保ちつつボールサイドにスライドし、ブロック内の危険なエリアではマンマークで対応する。
一方、右サイドでは大外のボールホルダーに対してSHのカンドレーヴァがアプローチすることが多かった。(下図)
このときも、左サイドと同様にブロックをコンパクトに保ちつつボールサイドにスライドし、ブロック内の危険なエリアでマンマークを行う。
④ ライン間
ライン間に縦パスが入った時、サンプドリアはブロック内でマンマークを行うため、マーカーがボールの受け手に対してアンティチポ(パスの受け手を背後からマークし、その足下に入って来る縦パスを身体を前に入れて、あるいは足を出して奪うプレー)を行っていた。
特にCBのトネッリはこのアンティチポが非常に上手かった。
↓
今回紹介したブロック守備の構造はイタリアの多くのチームで使われていると思います。先日のUEFAネーションズリーグではイタリア代表もボールと敵に基準点を置くような構造のブロック守備を行っていました。※詳しくは「現代のイタリアサッカーを象徴した守備とは?(イタリアに見た、プレッシングとブロック守備)」より
その中でも、CBの吉田麻也とトネッリのスペースの危機管理とマークの両立は素晴らしかったと思います。また、個人的にはボランチのトルスビーのカバーリング能力とボールへのアプローチの質が非常に高いと思いました。
今後も、ラニエリの率いるサンプドリアには注目していきたいです。