マンツーマンによるプレッシングと数的優位を活かしたビルドアップ
21/22 ラ・リーガ 第10節
アトレティコ vs レアル ソシエダ
アトレティコのマンツーマンによるプレッシングvs
ソシエダのポゼッションによるビルドアップ
今回は、先日に行われたラ・リーガ第10節のアトレティコ・マドリードvsレアル・ソシエダにて見られた、アトレティコのプレッシングとソシエダのビルドアップの攻防について分析する。
スタメン(home : アトレティコ)
(away : レアル ソシエダ)
結果 : アトレティコ 2 - 2 レアル ソシエダ
( 前半 0 - 1、後半 2 - 1 )
アトレティコの守備
(敵陣でのプレッシング)
① 開始点
アトレティコは敵陣でのハイプレス時、主に下図のエリア(黄色)がプレッシングの開始点となる「超攻撃的プレッシング」を行っていた。
尚、プレス回避される、ハイプレスができないなど、状況に応じてはミドルプレス(守備的プレッシング)を行っていた。
② 陣形
ハイプレス時の配置は下図のようになる。
具体的には、主に全体でマンツーマンとなるが、敵FW2枚に対し、最終ラインが数的優位となるよう3枚(CBのエルモソ、フェリペ、左SBのロディ)を配置していた。
その代わり、FWラインでは右WGのグリーズマンの立つエリアで数的不利となる。
③ スイッチと追い込み方
プレッシングのスイッチは、最前線に立つWGのグリーズマン、J・フェリックスまたはCFのスアレスで、相手GKにボールが渡ったところを各々がマークしている敵へのパスコースを消しながら敵GKへアプローチする。このとき、ボール周辺のエリアではそれぞれがマークの強度を高くする。
その後、敵GKからボールが配球されたところを全体で連続的にプレッシャーをかけていく。
・スイッチ : J フェリックス
↓
・スイッチ : グリーズマン
↓
↓
・スイッチ : スアレス
↓
↓
レアル・ソシエダの攻撃
(自陣からのビルドアップ)
① 陣形
ソシエダは自陣からのビルドアップ時、下図のような配置となっていた。
② プレー展開
プレー展開としては、後方からショートパスを繋ぎ、敵プレッシャーラインを回避する「ポゼッションによるビルドアップ」を優先として行っていた。
このとき、下図のように数的優位となるエリアから敵の第1プレッシャーラインを突破するというシーンが何度も見られた。
・シーン1
・シーン2
さらに、サイドのエリアへボールを運ぶことによって空いた中央のエリアでボランチのメリーノやA・ゲバラがボールを受け、攻撃の方向付けを行うというプレーも何度か見られた。
・シーン3
↓
一方、敵のプレッシャーの強度が高い場合などのときには、ロングボールを用いた「ダイレクトなビルドアップ」を行っていた。
このとき、ロングボールを送るのは主にGKのレミロであることがほとんどで、ボールを送るターゲットは前線に立つFWのイサク、セルロートや前線へ上がったボランチのメリーノであることが多かった。
今回、アトレティコは敵陣でのハイプレス時、マンツーマンをベースとしながらも、前線で数的不利となる代わりに最終ラインでは数的優位を保つことで、ロングボールやプレス回避された場合に上手く対応出来ていた。また、前線では敵GKまでプレッシャーをかけることで、敵のミスを誘発し、ボールを奪うというシーンが多々見られた。
一方、ソシエダはビルドアップ時、数的優位となるエリアから敵の第1プレッシャーラインを突破し、敵を後退させることが出来ていた。特に、ポゼッションによるビルドアップを行う場合、数的優位となるエリアはどこにあるのかという観点は非常に重要となる。
以上の攻防は非常にハイレベルで見応えのある局面だった。