ビルドアップの理想的な3バックの配置と高密度ミドルプレス(ブライトンに見た、ビルドアップとプレッシング)
20/21 プレミアリーグ 第3節
ブライトン vs マンチェスター U
~ブライトンに見た、ビルドアップの理想的な配置と密度の高い守備的プレッシング~
ビルドアップは、大きく2種類に分けることができると私は考えています。それは、ショートパスで前進する「ポゼッションによるビルドアップ」と、ロングボール/ロングパスによる「ダイレクトなビルドアップ」です。
今回は前者の「ポゼッションによるビルドアップ」に論点を置き、ビルドアップ時の理想的な配置やプレーの原則などを考察していきます。
そして、後半部分では、ブライトンの守備的プレッシング(ミドルプレス)が非常に効果的だと感じたので分析し、そこからミドルプレスの狙いを考察していきます。
スタメン(home : ブライトン)
(away : マンチェスター U)
結果 : ブライトン 2 - 3 マンチェスター U
( 前半 1 - 1、後半 1 - 2 )
ブライトンの攻撃
(自陣からのビルドアップ)
① 陣形
ブライトンは自陣からのビルドアップ時、下図のような配置となる。分かりやすく陣形を数字で表すならば「3-4-3」となる。
② プレー展開
プレー展開としては、原則として後方からショートパスによる「ポゼッションによるビルドアップ」を行う。
このとき、下図で示した後方の7枚で相手プレッシャーラインを越えようとする。このとき、ボールに最も多く触れるのはCBの3枚(ウェブスター、ダンク、ホワイト)で、敵のプレッシャーラインを超えるパスを出すのは主にサイドのCBのウェブスターとホワイトだった。
ここで、ビルドアップのルートは原則サイドで、下図のように、ボールサイドの下りてきたウイング、CB、SB、ボランチの4枚でダイヤモンドを作り、縦と斜めのパスコースを3つ確保する。
その後、相手がボールサイドにスライドしたところを相手の密度の低い逆サイドのウイングバックへ展開することによって、相手のプレッシングを回避していた。
(例)
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・考察
今回、ブライトンは「ポゼッションによるビルドアップ」における理想的な配置をとっていたと思います。その理想的な配置とは「3-4-3」です。
では、「3-4-3」の何が理想的な配置なのか?ポジショナルプレーの観点から説明していきます。
まず、ポジショナルプレーを行う時に大事なのは「5レーンを占有し、できるだけ同レーンに人が重ならないようにする」ことと「隣合うレーンに位置する選手は常に斜めの位置関係を取る」こと、そして「連続的な三角形を形成する」ことが非常に重要になります。これはポジショナルプレーのプレー原則にもなっています。
これを踏まえた上で、下図の「3-4-3」の配置をご覧ください。
図から、「3-4-3」システムの場合、基本ポジションですでに選手たちが互いに対して斜めの位置関係をとっているだけでなく、5 つのレーンを占有するという部分においても理想的な位置取りをしていることが分かります。
また、上図のように選手たちのポジションを直線で結んだ時、連続的な三角形が形成されているのが分かります。これは、出し手と受け手だけではなく、相手のプレスから自由な「第3の選手」を探すには、ボール保持者に対して三角形の形成は不可欠であり、「3-4-3」システムは、ピッチを横に見た場合でも縦に見た場合でも三角形を連続的に形成させるための条件を満たしているのです。
以上から、「3-4-3」システムがポゼッションによるビルドアップにおいて理想的な配置であると考えることができると思います。
ブライトンの守備
(プレッシング)
① 開始点
ブライトンはプレッシング時、主に下図の黄色のエリアでプレッシングを行う「守備的プレッシング」を行っていた。(状況や時間帯に応じてはハイプレスも行っていた)
② 陣形
陣形としては、ウイングバックのランプティ(右)とマーチ(左)がDFラインの外側まで下り、全体としてコンパクトな「5-2-3」となる。
③ スイッチと追い込み方
プレッシングのスイッチは、大外レーンに立つ相手ウイングバック(または相手SH)にボールが出たときで、ウイングバックのランプティ(右)、マーチ(左)がアプローチする。
このとき、ボール周辺のエリアをウイング、ボランチ、サイドのCBで密集してスペースとパスコースを消す。また、全体がボールサイドにスライドし、非常に高密度になる。
一般的にミドルプレス(守備的プレッシング)の狙いは、ファイナルサード(敵陣側1/3)は相手に明け渡すかわりに、最終ラインを押し上げて前線との間隔が詰まったコンパクトな陣形を取り、ボールをサイドに誘導してそこでアグレッシブなプレッシャーをかけてボールを奪うというものです。
ですが、そのほかに私の考えるミドルプレスの狙いは、インテンシティーの強度を保つためだと思います。これはどういうことかというと、例えば、すべてハイプレス(攻撃的プレッシング/超攻撃的プレッシング)をしようとすると明らかにプレーのインテンシティーが落ちてしまいます。ハイプレスをすべき時に必要な強度で行えるようにミドルプレスをする。そして、そのミドルプレスをすべき時に必要な強度で行えるようにブロック守備を形成する。これらのハイプレス、ミドルプレス、ブロック守備のバランスをチーム全体でうまくとることが出来れば、90分間高いインテンシティーを保つことが可能になると思います。現に、リバプールやアトレティコなどを見ると「ハイプレスとミドルプレスの使い分け」が非常に上手です。
これが、無失点という結果につながるものだと私は考えます。
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