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ライプツィヒ徹底分析 守備編①(アトレティコの有効な対策を考える)

19/20 UEFA チャンピオンズリーグ
ベスト8
アトレティコ マドリード vs 
ライプツィヒ
Preview

~ライプツィヒのプレッシングに対する有効な対策~

 前回のライプツィヒ徹底分析・攻撃編①ライプツィヒ徹底分析・攻撃編②から引き続き、今回はライプツィヒ徹底分析・守備編①です。
 守備編①はライプツィヒのプレッシングを分析し、それに対抗するためのアトレティコのビルドアップについて考察していきます。​

 今回もこれまでと同様に、19/20UEFAチャンピオンズリーグベスト16の1leg、トッテナムvsライプツィヒから分析しました。


スタメン(home : トッテナム)

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(away : ライプツィヒ)

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ライプツィヒの分析
(プレッシング)

① 陣形と開始点
 ライプツィヒはプレッシング時、下図のような陣形となる。このとき、右ウイングのエンクンクが中央のトップ下に位置していた。
 分かりやすく数字で表すなら、5-2-1-2と表現するのが妥当である。

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 また、プレッシングの開始点は基本的に下図の黄色のエリアが開始点となる攻撃的プレッシングを行う。

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② スイッチと追い込むエリア
 プレッシングのスイッチとなる選手は、ウイングバック(以下WB)で、相手SBにボールが入ったところをWBがアプローチし、これをプレッシングのスイッチとする。
 また、追い込むエリアはサイドで、全体がボールサイドにスライドし、マンマークとゾーンマークを両立させる。特に前の5枚(2ボランチと3FW)はボールサイドにかなり密集する。
※この試合トッテナムは左右のSBのポジショニングが異なっていたため、ライプツィヒのプレッシングは左右で少々異なっていたが、大まかなプレー原則は左右で同じと言える。

(左サイド)

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(右サイド)

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③ GKへのバックパス
 相手GKへのバックパスに対しては、全体を押し上げて、超攻撃的プレッシング(攻撃的プレッシングよりも1列前)に移行する。

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④ 守備的プレッシング
 ライプツィヒは時間帯や試合の状況に応じて守備的プレッシングを行う。大まかなメカニズムは先程の①、②と同様。

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アトレティコの有効な対策
(ビルドアップ)

① 陣形
 アトレティコは自陣からのビルドアップ時、ライプツィヒのプレッシングに対して下図のような陣形が良いと考えられる。
 これはSHの選手がトップ下の中央に絞った配置で、数字で表すと2-4-2-2となる。
 なぜこの陣形が良いのかはこれから記載する。

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② ビルドアップの方法1
 アトレティコは原則として、CBからターゲットとなるFWへのロングボールを入れるダイレクトなビルドアップを行うのが良いと考えられる。
 このとき、両SHが中央に絞ることによりFWが競ったボールに対してセカンドボールを拾えるようにする。これが①の陣形の理由の1つである。
 また仮にFWが競り合いに勝つ、あるいはセカンドボールをSHが拾えてボール保持に成功した際はSBも高い位置を取り、攻撃に参加する。
 ライプツィヒはWBが相手SBに寄せることでプレッシングが開始されると予想できるため、基本的にCBからSBへのパスは避ける。

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③ ビルドアップの方法2 
 しかし、すべてダイレクトなビルドアップだと攻撃が短調になってしまう。そこで、準原則としてショートパスで前進するポゼッションによるビルドアップも用意しておくべきだろう。
 この場合は、下図のように片方のボランチがCBの外側に下り、代わりにSBを高い位置にポジショニングさせることにより、ライプツィヒのプレッシングのスイッチとなるWBが前に出て行きづらくなる。

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 このとき、下図のようにボールサイドのSH、FWがビルドアップに関わるとこによりサイドのエリアで効果的に相手のプレッシャーラインの背後を取れることが期待できる。

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 これは特に、ライプツィヒが守備的プレッシングを行う際には非常に有効であると考えられる。


④ GKへのバックパス
 
GKへバックパスを行う際は、これを起点にGKからターゲットとなる前線の選手(FWやSH)へロングボールを送るダイレクトなビルドアップを行うべきである。
 このとき、下図のように前線ではFWの2枚、SHの2枚がどちらかのサイドに密集し、同時にボールサイドのSBも関わる。そして、GKはこの密集エリアをターゲットにロングボールを送るといった構造が最善であると考えられる。これにより、セカンドボールを拾える確率が高くなる。

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 今回は、ライプツィヒのプレッシングに対するアトレティコのビルドアップについて議論しました。
 次回は、ライプツィヒのブロック守備(自陣での組織的な守備)を分析し、それに対抗するためのアトレティコの攻撃(ポジショナルな攻撃)について議論したいと思います。

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