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一食分の用意

街中エコビレッジ いるかビレッジのElu-cafe。
ある日から近所のおばあちゃんが度々歩いて食事に来るようになった。

おばあちゃんは食が細くてあまり食べられない。

いるかビレッジには保育園もあって、おばあちゃんを子どもたちのいるところに呼んでみることにした。

はじめはすぐ帰ってしまったが、また来てくれた時に「ご飯を子どもたちと一緒に食べよう」と誘い一緒に食事をすることができた。

話を聞くと、戦前は教師で、低学年の子をみていたそう。当時の記憶は本当に鮮明だった。
今の暮らし方や、歳は90を超えている事も教えてくれた。

おばあちゃんは近頃は毎日くる。

私たちは、きっと来るだろうと思って、先におばあちゃん用の柔らかい食事を用意しておく。

2017年4月の入園式。おばあちゃんを真ん中に写真撮影。
「みんなで写真を撮りたい」と頼むと、少し考えて、少し照れて、真ん中まで来てくれた。
その瞬間、おばあちゃんを取り囲むおおきな家族に見えて私は泣きそうになった。

もし、おばあちゃんが寂しい気持ちや困ってる事があるなら、いるかビレッジが彼女をまるごとホールドしたい。

知らないおばあちゃんになぜそこまで?という理由はなぜだろう。ただ、私達はそれをする事がイキイキしている。

おばあちゃんの存在は、保育園にくるお母さんや子供たちにもつながりのきっかけを作ってくれる。
お年寄りの手を引くお母さんや大人の姿を、子どもに見せてあげられる。
歴史や文化の違いもおしえてくれる。
おばあちゃんのまなざしも優しい。
これからも私たちのところに来て教えてほしい。

地域で1人になっているお年寄り、若者、子ども。血の繋がりを超えて、家族になりたい。

誰もが立ち寄りやすいElu-cafeがあった事でおばあちゃんと出逢えて、おばあちゃんは私たちや子どもたちと出逢い、地域のサービスや福祉に繋げることが出来た。それは家族が抱える悩みも同時に解消できそうだ。

来るか来ないか分からない人のために、一食分用意しておく優しいエネルギーが、地域を優しく包む。

おばあちゃんの残りの人生が豊かなものになったらいいなぁ。

人の生涯に関わり、お互いに影響し合える場が出来ていることを確認できた。
今、その時間の豊かさを感じている。

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