水張月の水鏡

画像1 山の奥の奥。小さな小さな流れから始まり、木々から落ちる雫が集まり、豊かな豊かな流れになる。
画像2 橋の上流側から下流側へと目を転じれば、その流れは下へ下へと向かっていく。
画像3 時には、滝の様にドドドと音を立て、その飛沫が新緑から若緑へと色を深めた葉を広げる枝を濡らして揺らす。
画像4 いにしえの人々の知恵と努力を思う。扇状地の奥の奥のこの地は、石積みして作られた段々田んぼが、大地の成りに合わせる形で作られる。大きな田んぼ、小さな田んぼ、雫型の田んぼ、楕円の田んぼ…自然に沿うから様々なかたち。
画像5 朝には、空の蒼さを湛えて、静かに静かに水田は広がる。
画像6 夕暮れ時には、朱鷺色と藍色と言う人が作って混ぜたなら、不協和音の様な色になりそうなのに…自然は、いとも簡単に美しい景色にしてしまうのだから…不思議。
画像7 山奥から広がった扇状地は、平地に向かって徐々に緩やかな坂となり、きちんと整備された大きな長方形の田んぼが、伸びてゆく。
画像8 山の端に沈むお日様に染まる空と、それを映す水鏡。六月を『水無月』と呼ぶけれど、私は『水張月』と呼ぶ方が何だか好ましい。豊かに水が張られた田んぼの水鏡が、どこに目を転じても広がるから、万華鏡の中に立っている様な心持ち。「美しいなぁ」ってただただ心を奪われる。

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