新型コロナの影響と心境ーイギリス留学ー
私が在学するブラッドフォード大学は、3日前(3/17)からすべての授業やミーティングなどを取りやめ、オンラインに移行している最中である。
ジムも閉館。本来は24時間空いている図書館も短縮営業となり、明日以降は完全に閉館となる。
オンラインに切り替えと言ってもそんなにすんなりいくわけもなく、social distancingで思うように人にも会えず、スーパーから物が消え、ソーシャルメディアではコロナの話ばかり。ただただ焦燥感ばかりが募る。
看護科の病院実習へ行っている友人が教えてくれたのは、イギリス医療の闇だった。「いま看護師は1日18時間勤務で週7働いている。私の姉も看護師で、先月出産して産休中なんだけど、病院から応援要請が来た。」
次々と国々が国境封鎖を発表し、生徒のほとんどが留学生のうちの学生は精神的なストレスでやられている。
私のフラットメートも2人、数日前に国へ帰っていった。一人は、家を出る2時間前に航空券がようやく手配出来て、誰にもまともにさよならを言えずに旅経った。誰も、こんな急な別れが訪れるなんて、10日前までは思いもしなかった。
大学寮付近に住んでいる私は毎日、大きなスーツケースを車に積み込む人たちを窓越しに見ながら、やるせない気持ちを募らせた。
「君は残る?帰る?」「Aちゃんは明日の朝経つんだって。」
「母国の国境が閉まっちゃった。帰りたかったのに、もう帰れない。」
こんな会話が続く。半年間、みんな一人でイギリスに来てから、ずっと支え合ってきた仲間にさよならも言えずに皆帰っていくこの苦しさ。この感情。
気持ちの整理なんて何一つついていない。
これに、どう向き合えばいいんだろう。この胸糞の悪さは何なんだろう。
何にも集中できず、ただただ、このむなしさに耐えている。
日本に帰るか、イギリスに残るか…
まだ2学期の授業も課題も終わっていなければ、修士論文も丸々残っている。日本に帰っても14日の自主隔離を求められるし、大学院の勉強をしながら「この先どうするの?」なんて日本の家族や友人の質問に心穏やかに答えられるほど私の気持ちは落ち着いていない。
このまま、こんな状況で、帰れない… まだまだ話したい人、ここで勉強したいことがあるのに…。イギリスで人に会えないことほど、辛いことはない。
同時に想いを馳せるのは、難民の友人たちのこと。「いろんな状況があって、1、2日で荷物をまとめて国を出た。」そういったストーリーを今まで何度も聞いてきた。本当に命の危機があって、二度と母国に帰れないかもしれないということもわかって、人生の選択をしてきた彼らが抱えた複雑な心境を私は完全に理解しきれはしない。ただ今回のことで、住んでた場所をすぐさま出なければいけない、その気持ちはすこし考えることができるかもしれない。
なにより、コロナの影響で仕事が休みになって、収入を失った人たちが多いと聞いている。中には難民の家族もいる。
一刻も早くこの混乱が収まりますように。混乱が収まってももう私の日常は、学生としての日常は元通りにはならないけど、なんとか皆でこのしんどい時期を病まずに乗り越えたいと思う。