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【防衛機制】具体例で解説!リハビリ専門職が知っておくべき、不安・ストレスから心を守るしくみ

人が病や障害を負った際には3つの「喪失」体験に代表される苦悩を味わいます。そのままでは心を病んでしまうことにもなります。

そこで苦悩から自分の心を守るはたらきとして「防衛機制(ぼうえいきせい)」が働きます。

「防衛機制」はフロイトが幼児心理学研究のなかで提唱。
欲求不満や不安で覆われそうなときに発動し、無意識のうちに心を適応させようとします

注意すべきは、防衛機制は患者だけに起こるのではないということ。
治療者自身にも起こりうる心のはたらきなのです。

リハビリテーションで患者に関わる際にはこの防衛機制がおきていることをふまえて、コミュニケーションをはかるようにしましょう。

【防衛機制の主な種類】

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抑圧

他者への攻撃感情、屈辱的な敗北、社会的に承認されない性的欲求などの感情を意識しないようにする。押さえつけるというよりも、意識のカヤの外においておくような状態。

否認

病気や障害という不安になる事態や、自分では認めたくないと感じている欲求、体験などは、「実際にはなかったのだ」と考えて行動すること。現実の拒絶。

取り入れ

自分が好ましいと感じる人やあこがれの人の特性を自分に取り入れることで、自我を強化しようとする。

例えば、好きなタレントの化粧やヘアスタイルをまねる。あたかも母親のように妹を叱るなど。

同一化

好きな人や理想とする人の話し方や動作を無意識に取り入れること。

投射(投影)

「取り入れ」とは逆の心理。自分の感情や欲求を他人や物へ向きかえる。
自分だけがそういう状態にあるのではないことを意識することによって心理的なバランスをとろうとする。

例えば、「わたしは先生が嫌いだ」が「先生はわたしのことを嫌っている」と思い込むこと。責任転嫁もその例。

退行

欲求不満が解消されないとき、過去の発達段階(精神的に未熟な状態)にもどり、満足(安定)を得ようとする。

例えば、急に大きな声で怒鳴り、手が出る。「赤ちゃんがえり」した話し方になる。閉じこもってひたすら眠るなど。

置き換え(転移)

本来の自分の欲求や感情が満たされないときに、別な目標(人、もの)に置きかえて満たそうとすること。 

例えば、子どもをもたない女性がペットをかわいがる、父親への憎しみの態度を学校の先生にぶつける。治療者から心理的に傷つけられたという思いから、看護者を非難する。

反動形成

欲求や感情をおさえこんできた心的エネルギーを反対のほうへ発散。「裏腹な態度」となって現れる。

例えば、好きな子をいじめる。治療者に憎しみをいだいている者が、その治療者に対して「バカ丁寧」、「慇懃無礼」な態度をとるなど。

分離(隔離)

欲求と情動、その表出が切り離されている。不安をもたらす事態を避けるために、予想される不安事態を前もって避けるはたらきがある。

例えば、あまり好きではない人とすれ違ったときに笑顔で挨拶をかわす。災害にあった当事者が、なんの感情も交えずに語るなど。

打ち消し(復元)

分離された情動をさらに打ち消そうとする働き。“埋めあわせ”や償い。

例えば、治療者が患者の治療を誤ってしまったと思ったときに、必要以上にあれこれと患者のことを心配し、過剰なほどの親切な言動で対応しようとする。

観念化

不安をおこす状況を克服しようとする知的過程。

例えば、重篤な病を患っている者が、自分の病に関する専門誌や書籍を読みあさり知識を得ようとする。病にどのような態度で向きあえばよいかを学ぶために哲学書を読みふけるなど。

合理化

本能的衝動や欲求が満たされないときに、それに理屈をつけて、自己を正当化しようとする。
例えば、大学入試に失敗したときに、「あの大学はつまらないから合格しなくてよかった」などといって、自分の失敗を正当化すること。

補償

自分の失敗や劣等感を克服するために、それとは別な方面の価値を実現したり、弱点を克服したりする。

例えば、病弱な人が学問で成績をあげる。プライベートでうまくいっていない人が仕事で成果をあげるなど。

昇華

攻撃本能、性的欲求など本能的な衝動を、スポーツや知的活動、芸術など社会的に価値のあるものに転化し、その欲求を満たすこと。

まとめ

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患者は「防衛機制」という無意識のはたらきによって、自分の心(自己)を守ろうとしています。

ここでとりあげた防衛機制は誰にも同じように発動するわけではありません。その人のパーソナリティや育った状況、家族関係、社会的背景などによって影響を受けます。

リハビリ専門職は、患者がこのような心理状況にあることを理解したうえで、また自分自身に防衛機制が働いていないかを内省しながらコミュニケーションやセラピーに向き合っていきましょう。

参考書籍

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