多所属で無所属でいたい話
「たくさん、知り合いいますよね……」
他人と話をしているとちょくちょく言われる。 正直なところ、知り合いが多いわけではないし、友達多いアピールをしているわけでもない。
ただ、どこかのコミュニティに首を突っ込んだり、何かの縁かわからないが、人との繋がりを大切にしている節がある。
小学生の時のこと。1クラス35人くらいだったと思う。とても小さなコミュニティの中でも派閥やグループは生まれる。その中で自分は、いつも居るグループとは違うところに無意識に首を突っ込んでいて、しれっと他のグループに入ったりして空気のように行き来していた。
「なんか、ずっとその場所に居てる雰囲気を醸し出してるよな……」と、
ただ、争うことや戦うことが好きではなく、なんなら丸く治め続けて、なおかつ楽しい気持ちで他人と交流し続ける関係性をずっと考えていた。
教室というグループの関係性だけでは満足したくなかったのだろう。
実は自分が知らないだけでもっと面白いものがあるのではないかという考え方も無意識にあったのかもしれない。
20代前半のとき、mixiが全盛期だった。招待制の登録だったこともあり従兄弟から招待してもらい登録だけはしていた。コミュニティという独自の機能があり、自分が気になったら気軽に入れるものだった。「おもしろすぎるオフ会……」そんな名前だった気がする。胡散くさいなという感情も抱かずに指定されている日程をみてすぐさま参加表明をした。
同じ時期、高校の知り合いからマルチ商法のお誘いが多々あった。異常なほどポジティブで、一緒にビジネスをしないか?と何度か誘われセミナーにも一度行ってみたこともあった。立ち止まって考えることが苦手だったのもあり、マルチ商法に引っかかりそうになった。クーリングオフという国の制度に助けられたのである。そのときの両親の呆れ顔を今でも忘れない。
その経験から、自分のバックグランドを知らないフラットな状態で気軽に遊べる友人が欲しかったのだ。
参加するたびに参加者が変わる。全くのはじめましての人もいれば、何度も参加をしている人もいた。それがアトラクションのように見えた。「知らない人もいれば知っている人もいる」そのコミュニティが出来上がる新鮮さが楽しかったのだと思う。何度も参加をしていると、イベントスタッフにも名前を覚えてもらった。何度も参加するには理由があった。
分け隔てなく立ち振る舞うスタッフの対応が心地よかったのである。
反対に職場では同じ部署にいる上司や同僚が同じ目標に向かって仕事をしているのだが、それぞれの思惑があったのか疲弊させられることが度々あった。お互いが当事者と話したくないという理由で自分に愚痴をこぼしていたこともあり否定はせずに、ただ受け止めることに特化していたこともあって、過度に人との距離感を詰めないようにしていた。相手に飲み込まれないように、自分を失わないように。とそういった経緯もあり、楽しいと思える居場所を増やすことで価値観や環境に捉われないことが出来るのではないかと思ったのである。
何度も参加をしていた自分はいつの間にかオフ会にて常連というカテゴリーに入っていた。
淀川の河川敷にて大規模なBBQをすることになった。
スタッフと仲良くなったこともあり、運営にまわって準備をしていた。気がついたら、いつの間にかそこに居たという経験だった。
そのオフ会で出会った人と仲良くなったこともあり、そのつながりから「よさこい」をはじめることになる。踊りが苦手だった自分が踊っている。仲良くなった人を知るためにはじめたことが想像すらできないコミュニティに足を踏み入れていた。それだけでは足らなかったのか。
クリスマスになったらサンタクロースの格好をしてサンタクロースを信じている子どもの家庭にプレゼントを渡す活動もしていた。
よさこいをやっていたとき、自分は大学生であった。ちょうどクリスマスに近い時期ということでチームメイトに「サンタクロースになってプレゼントを配ってくるねん」と、自分が様々なコミュニティに首を突っ込んでいたことに対してあまり印象が良くなかったのか。
「芯がない」と言われることもあった。自分の中では興味本位で嘘偽りなく答えたわけなのだが、側から見るとフラフラしている印象があったのかもしれない。「長い時間を同じ場所で共有することが全てではない」という言葉にするチカラがなかったため、ひたすら落ち込んだ。ちゃんとした答えをしっかり伝えられなかったのだ。
よさこいのときの自分、サンタクロースの自分、同じ自分なのだけど、どことなく一緒で何かが違っていた。コミュニティによって立ち位置が変わる。印象だってガラッと変わることが多所属することで得た経験だった。
面白そうだと思ったら、足を運んで時間の許す限り参加をしてみる。
期間も長くて数年、短くて半年以内ということもあり、考え方が染まりきらずに中立的な目線で考える思考回路ができたように思う。
所属しているのだけど、心ここに在らず。気持ちが無所属だからこそ、いろんなところに参加できる。今まで考えもしなかったことを発見するたび、気持ちがワクワクするのであった。
オンラインサロンでのつながり、文章講座でのつながり、noteでのつながり。
今でも細々と途切れず繋がっている関係性が、今の自分をつくる要素になっている。
人間関係に正解はない。
ただ、気持ちが前向きになれる場所が多いのであればそこは正解なのだと思う。