上海 CityWalkを楽しむ
上海は「CityWalk」が人気急上昇だ。「CityWalk」とは「街歩き」のことだ。
中国語では「城市漫歩」だが、「CityWalk」という言葉が定着しつつある。
これまでは外国人向けのツアーだったCityWalkは、旅行客だけでなく、地元の人も多く参加して、歴史や文化、建築に触れて街の再発見をしようという内容に変容している。
主催は、個人や、旅行会社、美術館まで様々だ。5月のCityWalkを見ると、チベット文化に親しむお寺巡り、上海で一番有名な武康大楼の建築巡り、90年代の上海を舞台としたドラマ(繁花)ロケ巡り、美術館が開催する有名アーティストの足跡をまわるコース等、多種多様である。スマホのアプリ簡単に検索して申し込めるのも手軽で、有料、無料とある。
私は個人主催の日本語ガイドで上海の歴史の街歩きに参加したことがある。
参加メンバーは10名で日本人が多いが、中国の人も数名いた。
コースは上海のど真ん中の人民広場が起点だ。人民広場近くの「大世界」から開始。競馬場は人民公園になっているが、1930年代の日本人旅館、映画館の建築物は今も使われている。一番驚いたのは、馬繋ぎが古いアパートの入り口にまだ残っていたことを発見したことだ。
夏の蒸し暑い夕方から開始し、涼みながら約2時間ほど歩く。当時の上海を思いはせてみるのも面白い。一人で参加しても問題なく、歩きながら参加者と一緒におしゃべりするのも楽しい。中国人の参加者は、日本語が堪能だ。聞くと、上海出身で歴史と写真に興味があるとのこと。「再開発が進み、懐かしい建物が取り壊される前に見ておきたい」「上海の地元の人より、日本人のほうが歴史に詳しいよ」と笑いながら話してくれた。
コロナを契機に、旅行のトレンドが変わりつつある。「リラックス」して「地元特有の未知の体験」を楽しみたい。距離が近く、費用が安く、混んでいない場所に行きたい。先行き不透明な経済の影響もあると思うが、若者世代を中心に身近な自分たちの街の宝物を探す人が増えたのかもしれない。