日本一の『底辺職業』はこれだ!日本人はこの仕事の従事者に甘えすぎている
先日、とある就活サイトに掲載された記事『底辺の仕事ランキング』が物議を醸している。
本業では物流業に携わってる私としては
『倉庫作業員』と『トラック運転手』といった、物流業として絶対にいなくては困る仕事が2つもランクインされてしまい、
権力はないが
「日本中の物流を一回止めてやろうか!」
と言いたくなった。
それ以外でも、ランクインされたすべての業務が必要不可欠なものであり、『エッセンシャルワーク』とありがたがられていたコロナ初期が懐かしく感じられる。
今ではすでに削除されたランキングの記事によると、底辺職業とは、
・肉体労働である
・誰でもできる仕事である
・同じことの繰り返しであることが多い
という職業を指しているらしい。
しかし、それを言うなら、このランキングにも入れられていない、あの職業が『日本一の底辺職業』なのではないかと思う。
誰でもできるとなめられ、どれだけ完璧にこなしても昇給はおろか、感謝の言葉もない、それどころか「過剰サービス」だと煙たがられることもある。
絶対に必要な職業、しかし報われない、それは『主婦(夫)業』だ。
(以下は主婦・主夫含めて『主婦業』と記載)
■「誰でもできる?」主婦業
今ではもう古い言い方になるのだろうか?
主婦業といえば『三食昼寝付き』と揶揄されることが、昔はよくあった。
好きな時に掃除洗濯料理を行い、昼間は横になりながらメロドラマを見る、会社員のように上からの圧力も、ノルマも、理不尽なことに頭を下げることもない、ストレスなく遂行できる業務である。
道端で近所の人に合えば、根拠のない噂話に花を咲かせる。
気楽で、責任もない、誰にでもできると思われている仕事、それが、『主婦業』だ。
■私が経験した主婦業
お気楽独身アラフォーと自称している私だが、30代のころ、少しの間だけ『主婦業』を経験した。
朝、夫と自分の弁当を作り、洗濯をし、夫を送り出した後に自分の準備をしてフルタイムのパートに出る。
夕方に会社を出ると、そのままスーパーに行き、足りない食材や調味料を買い足し、家に帰って晩御飯をつくる。夫の夕飯が終われば後片付け、洗濯ものをたたみ、翌日の準備、風呂掃除、風呂に入った後にやっと自分の時間ができる。
休みの日は、家じゅうの洗濯と掃除をこなし、一週間分の買い出しに少し遠出の安いスーパーに行く。
基本的に自分の時間はない。
すべて夫の時間に合わせており、夫の行動に合わせて自分の主婦の仕事が決まるので、頭の中は常に時間の逆算だ。
しかもどれだけ効率よく完ぺきにこなしても、会社員のような『評価』は一切ない。家計も小遣いも自分の『主婦業』としての業務とは一切関係ない。
私が離婚したのは、さまざまな理由があるが、『主婦業にやりがいを感じられない』が大きな要因の一つではある。
■主婦業の実態
三食と昼寝がついているが、それ以外に全くと言っていいほど自由がないのが主婦業だ。
上記の通り、時間軸は全て家族にあり、家族の生活の軸に合わせて動く。
昭和から平成にかけての価値観を面白おかしく投影されたこちらのコントでも、夫が仕事で早く起きることを伝えることで、妻も当然のように同じ時間に起きる展開になる。
朝は夫や子供の予定に合わせておき、食事や弁当の準備をし、送り出してから選択、掃除。また子供や夫が帰ってくるまでにすべてを終わらせ、ごはんまでできてる状態にする。
昼ご飯は、朝食や弁当の残り物。時間に追われているので、昼も過ぎて落ち着いてくると、疲れがどっと出て、うとうとと昼寝をしても仕方がない。
家族が休みの日も主婦業は休みにならない。ごはんづくりも洗濯も休みなく行われる。
しかし、家族にはそれは当たり前だととらえられるどころか、楽な仕事だと思われている。時にはせっかく作ったご飯も「いらない」と言われることもある。
仕事をしながらになると、もっとタイトな時間をやりくりしなければならなくなる。
私と同じ職場のパート業の方や同僚も「仕事しているほうがラク」と言っている。
■母が卒業した『主婦業』
母は、先日『主婦業』を卒業した。
50年連れ添った父が他界し、夫の時間軸に合わせる生活から解放されたようだ。人生で初めての一人暮らしを大いに満喫している。
「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」
ということわざがある。
「パートナーをなくした男は不精で不潔な環境にあるのに対し、女は身綺麗で華やかである。」という意味らしいが、「パートナーのいなくなった女性は、活き活きとしている」という意味でも使われることが多い。
人生初めての一人暮らしと趣味を満喫している母を見ていると、「女やもめに花が咲く」のは、パートナーがいなくなったことではなくて、『主婦業』から解放されたことに対して花を咲かせているように思う。
時代も令和になり、家事のあり方や主婦のあり方も変わってきている。時短家電も増え、主婦代行サービスもあり、昔ほど主婦業が大変なものではなくなっている。
しかし、自分たちが当たり前に生活できているのは『主婦(夫)』として、支えてくれる人がいること、いたことを忘れてはならないし、感謝しなければならない。
そして、日本一の底辺職業としてではなく「憧れの職業」として、いつか紹介をしたい。
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