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【CIX考察】Save me, Kill me MV② ('I’m OK' Story Film Episode 10)



前回の考察はこちら↓


お待たせいたしました..!
前回の続きになります..!




Save me, Kill me MV


'I'm OK' Story Film

Episode.10 Puro e disposto a salire a le stelle



Episode 06でヨンヒの幻覚を見たジニョンでしたが、Episode 10では、ジニョンの目に映ったヨンヒの姿はどこにもありませんでした。


いじめの主犯格と、彼を殴ろうとしている自分だけが残り、ジニョンは我に返ります。


この話はEpisode 06の続きです。しかし、少し気になる点がありました。

ジニョンが胸ぐらを掴むシーンで終わったEpisode 06と、ジニョンが拳を振り上げるシーンで始まるEpisode 10。

Episode 06の終わり
Episode 10の始まり

この2つは続きの話であるにも関わらず、終わりと始まりが繋がりません。

Episode 10の始まりに繋がるのは、Episode 06でジニョンがいじめの主犯格に拳を振り上げたタイミングです。

おそらく、Episode 10に繋がらないヨンヒの胸ぐらを掴むシーンは、ジニョンの中だけで起こった出来事だと思います。周りの野次馬には胸ぐらを掴む行為は見えていません。

言い換えると、ヨンヒの幻覚が見えたことで生まれた、ジニョンの深層心理を表した場面です。

前回の考察でお話ししたヨンヒに対するジニョンのやり場のない気持ちは、"胸ぐらを掴みたくなる"ような気持ちだったのかもしれません。


殴るのをやめて、その場を去ろうとしたジニョンは、ふと腕時計に視線を落とします。

この腕時計はEpilogue 01でジニョンが手に取ったヨンヒの腕時計です。

文字盤のガラスは破損し、時計の針は1時20分ごろで止まっています。

Epilogue 01の時点で腕時計は割れていたので、割れるきっかけはヨンヒが飛び降りる前にあったと推測できます。


ジニョンがヨンヒを突き放したEpisode 01が11時ごろの出来事でした。

Episode 01

時間的に考えて、腕時計はその後のEpisode 02で、ヨンヒがいじめられていた時に壊れてしまったのだと思います。

※Episode 01と02は同じ日の話です。(Story Film Episode01〜05の考察参照)


ヨンヒにとって腕時計は、壊れたとしても手放したくない物であると同時に、自分が生きた世界に残しておきたい物でもあったようです。


そして、ヨンヒが残した腕時計はジニョンの元に。

ジニョンはこの腕時計を、Episode 06でヨンヒが入院する病院に行った時もつけていました。

Episode 06

きっとジニョンは、屋上で涙した日からずっと、時が止まった腕時計を身につけているのでしょう。


まるで腕時計が、途切れそうなヨンヒとジニョンの関係を繋いでいるようです。


病院を後にしたスンフンは、横断歩道で信号待ちをしていました。

信号が青に変わり、スンフンは歩き始めます。

このシーンは、信号が青に変わっても歩き出せなかったEpilogue 03から、今回の話で前に進み出せるようになったスンフンの心の変化を表していると思われます。


ただし、Epilogue 03とEpisode 10の横断歩道は同じ場所ではありません。


Epilogue 03のガラス越しに、事故が起きたEpisode 04と同じ店が映っているので、Epilogue 03でスンフンが信号待ちをしていた場所は、スンフンの母親の事故があった場所だとわかります。

Epilogue 03
Episode 04

また、Episode 10には店がないので、Epilogue 03とは違う場所であることも断定できます。


では、Episode 10の横断歩道はどこにあるのでしょうか。


スンフンの母親が事故にあった時、後ろに道路看板が映っていました。

Episode 04

看板に書かれた「23 구름마을길 98」は、この看板がある場所から左に行くと23番の建物、右に行くと98番の建物があることを示しています。(구름마을길は直訳すると雲の村の道になるので、"天国の道"のような感じでしょうか)


"23"という数字は、これまでのCIXの作品にも出てきました。

"T Castle Road 7-23"
CIX Town Scene #1のイラストのタイトルに、"23"が使われています。

さらに、制服姿と思われる男の子が横断歩道で信号待ちをしている様子が、Episode 10のシーンと一致します。

つまり、事故が起きた場所から23番の方向に進んだ場所に、Episode 10の横断歩道があることになります。


CIX Townは5人にとって楽園のような空間です。
Episode 10でCIX Townと共通した場所に変わり、そこで歩みを進めている様子は、スンフンが天国に近づいていることを表しているのだと思います。


コンビニを飛び出した後、父親にメッセージを送るヒョンソク。

『父さん、どこにいても元気でいてください。
僕は今日も幸せに過ごしていますよ。』

メッセージは、父親に対する気持ちとの決別ともとれる内容でした。

ヒョンソクの前に現れたヨンヒや、「友達を見かけないのはどうしてだ」という言葉が、父親という存在に囚われていたヒョンソクの心を動かしたのでしょう。

さらに、決別という決断と同時に、ヒョンソクは"自分が今すべきこと"にも気づいたのではないでしょうか。

メッセージを送った後、ヒョンソクは空に上がる黒煙を目にします。


この黒煙の下にいたのがビョンゴンでした。Episode 09の続きですね。

ビョンゴンの元にやってきたヒョンソクは、ビョンゴンの手を取り、走り出します。

前述したヒョンソクの"自分が今すべきこと"とは、"5人の関係の修復"です。
ヒョンソクは苦悩するビョンゴンを救い出し、関係の修復を始めます。


ところで、ビョンゴンは今回のStory Filmで一度も制服を着ていなかったので、自責の念で制服を燃やした時から学校に行っていないか、辞めてしまった可能性がありますね…


2人が向かったのは映画サークル「Credit」の部室でした。

ヒョンソクとビョンゴンが部室に入ってしばらくすると、スンフンとジニョンもやってきます。

そして、スンフンがヨンヒの母親から預かったヨンヒの手紙により、今回のStory Filmで初めてヨンヒ視点の話が始まります。


『久しぶり、Creditの部室。
恋しいと思うほど戻ってくるのが辛かった。
それでも最後はどうしてもこの場所がよかった。
可笑しいことに、心を動かした思い出は
ここで作った僕らの映画だけで、
Stellaが僕の全てだったみたいだ。
僕がいなくなっても、あの頃の僕らの時間、
僕らの星は輝き続けると信じるよ。
あの頃の僕らの眼差しが、
少しの間、今の僕を思い止まらせたんだ。
幸せだったし、感謝してる。そしてごめん。』


手紙から、"みんなで作ったStella"がヨンヒにとってどれほど大きな存在だったかがうかがえます。
しかし、その存在が大きすぎたがゆえに、5人がバラバラになってしまったことへの喪失感も、人一倍強く感じていたのかもしれません。

ヨンヒはCreditの部室で手紙を書き終えた後、5人で作った「Stella」を鑑賞します。


Stellaを見るために使ったレコーダーは、ヒョンソクとビョンゴンが部室に入った時には、既に机の上に置かれていました。


2人が来る前に部室を訪れたのがヨンヒです。

ヨンヒが部室に入った時はまだ机にレコーダーがなかったので、このレコーダーはStellaを見るためにヨンヒが出したものだとわかります。

レコーダーだけでなく、ヒョンソクが触っていたビデオカメラも元々机の上になかったので、ヨンヒが出したようです。
このビデオカメラで5人の他愛ない思い出を記録していたのでしょうか。


ヒョンソクがビデオカメラを触った時に埃を払っていたので、ヨンヒが部室に来てから4人がここに集まるまで時間がかかってしまったことも読み取れます。

4人はヨンヒの手紙を読み終えた後、ヨンヒにとって、そしてきっと4人にとっても大切な作品であるStellaを鑑賞するのでした。


4人で見たStellaをヨンヒは1人で見ていたという対比がなんとも切ないです…



以上がEpisode 10の考察になります。

下記の記事にて'I’m OK' Story Film全体を通しての考察が続くので、よかったらこのままお進みください。



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