【CIX考察】WAVE MV
前回の考察はこちら↓
毎度のことですが、今回の考察も長すぎるのでお時間ある時に……
WAVE MV
WAVEはJungleの続きであり、地獄を出てから煉獄山に向かう5人の様子を描いています。(煉獄は山の形をしているので煉獄山と言われています)
地球内部の地獄から地上の煉獄山に行くには、洞窟を抜けて地上に出た後、海を渡って煉獄山の麓まで行く必要があります。
この地獄の出口から煉獄山の麓までの道のりをWAVEのMVでは、
地上に出るために通る洞窟(地球の内部)=建物の中
地上=青空が広がる所
煉獄山までの海=船
上記の3つの場所で表しています。
以上をおさえた上で、冒頭からMVを見ていきましょう。
宇宙からやって来た宇宙飛行士。
その後に倒れているビョンゴンが映ります。
これより、宇宙から落ちてきたのはビョンゴンだと推測できます。
Cinemaで宇宙にいたビョンゴンが落ちてきたとも考えられますね。
ではなぜビョンゴンは宇宙から落ちてきたのでしょうか。
ここでポイントになるのが地獄への入り方です。
本来は地獄の門をくぐって地獄に入ることになるのですが、神曲の世界ではただ一人、地上に抜けるための穴から洞窟を通って地獄に入った人物がいました。
それがオデュッセウスです。
オデュッセウスは通常のルートを逆走して地獄に堕ちてきたのです。
ビョンゴンは宇宙からやって来て、地球の内部を表す建物の中で倒れていました。
つまり、オデュッセウスと同じように逆ルートで地球の内部に入ったことになります。
さらに、オデュッセウスが堕ちた地獄は第八層にある第八の嚢、ビョンゴンと同じ場所でした。
オデュッセウスには家族がいたのですが、大海原に出たいという自分の強い欲望を優先し、愛する家族を置いて船の旅に出ます。
しかし、航海中に竜巻に巻き込まれ、船は転覆し海に沈没。オデュッセウスは死んでしまいます。
その後、愛する家族よりも自分の欲望を優先したことが彼の罪だと判断され、オデュッセウスは地獄に堕ちることになりました。
2人には共通した点が多いので、もしかしたらオデュッセウスの罪がビョンゴンの罪に関係しているかもしれません。
WAVEではすでに地獄から脱出しています。
そのためJungleで受けたような罰に関する描写がないのですが、唯一ビョンゴンだけ、火を連想させる赤色の缶と映っているシーンがありました。
これも、ビョンゴンだけはまだ、WAVEの中に地獄の内容が関わっているという示唆ではないかと考えられます。
赤い缶のシーンは他にもありました。
冷蔵庫に入った赤い缶を見つめるビョンゴン。
これまでも何度か出てきた火を見つめる描写を表しているのでしょう。
後ろには、
Fa che lavi, quando se’ dentro, queste piaghe
訳) 中に入ったら、この傷を洗い流しなさい
「煉獄で罪を償いなさい」という意味を持つ煉獄篇の一節が記されています。
煉獄に向かっている5人に向けての言葉を示しているようです。
ビョンゴン以外のシーンも見ていきましょう。
まず、ヒョンソクは船を修理したり、引っ張ったりして"船を動かそう"としていました。
Jungleの考察で、ヒョンソクはみんなを地獄から脱出させる役割があると話しましたが、WAVEでもその役割を担っているように見えます。
スンフンは船のおもちゃで遊んでいました。
ここで注目するのは船ではなく、指輪です。スンフンがつけている指輪、十字架のマークがついています。
Jungleの考察で十字に杭打ちされた人について話しましたが、十字架といえば、他にもすごく有名な話がありますよね。
そうです、イエス・キリストです。
神であるイエスは人類の罪を背負い、生贄として十字架にかかります。さらに、罪を犯していないにも関わらず、地獄にいる人の魂を救うために地獄に行きました。
このことから、イエスは苦しむ人に寄り添ってくれる存在として崇められているそうです。
Jungleのコンセプトフォトで一人だけ服の柄が違ったり、カムバスケジュールの画像でヨンヒと向かい合っていたことから、スンフンは"他の4人とは違う"イエス的な要素も含んでいる可能性があります。
MV中盤では、スンフンが丸い穴から出てくるシーンが映ります。
洞窟を抜け、地上に出てきたことを表しています。
そして、地上に出たスンフンは「le stelle」を見つけます。
「le stella」は「stella(星)」の複数形で、星々という意味です。
神曲における地獄篇の終盤で、ダンテは洞窟を抜ける時に夜空に輝く星を目にします。
E quindi uscimmo a riveder le stelle.
訳) そして我々は再び星を見ようと外に出た。
長い長い地中旅の先で、久しぶりに見た星空に感動したダンテは、上記の一文で地獄篇を締めくくりました。
つまり、WAVEのMVも地獄篇の終わりを表していることになります。
神曲は地獄篇、煉獄篇、天国篇の3章の終わりが全て「stelle」で締め括られています。
死後の世界という異世界を旅するダンテにとって、星は希望のような存在だったそうです。
CIXの物語でも、ターニングポイントや重要な場面で"星"が出てきます。
スンフンが遊んでいた船は、まるで難破したかのように水浸しになります。
(スンフンの物が壊れる=母親が死んでしまうということでしょうか……)
この様子を見ていたのがビョンゴン。
それをさらに見ていたのがジニョンでした。
船の難破といえば、前述したオデュッセウスの船です。
ビョンゴンが難破した船を見ていたのは、オデュッセウスと関わりがあるためでしょう。
これらの様子を全て見ていたのがジニョンだったのは、ジニョンが"異変に気づく存在"だからだと思います。
ジニョンはNumbやCinemaなど、これまでの物語でも何かに気づくような描写が多いので、今後のストーリーに関わるのか気になるところです。
さあ、いよいよ大海に乗り出します。
5人が乗った船の先端には
esser dien sempre li tuoi raggi duci
訳) 常にあなたの導きの光となるように
煉獄篇の一節が刻まれています。
また、この船はJungleで既にスポされていました。
地獄が煉獄までの海の下に存在することを表しているようにも見えます。
海はびっくりするほど大荒れでしたが、
なんとか煉獄山が見える場所までやってきました。
5人のセーラー服の襟に記された文章は、
che l’uno a l’altro raggio non ingombra.
訳) 一方の天球が他方の天球の光線を遮断することはない
言い換えると「肉体のない魂は太陽の光をすり抜けるため、影ができない」となります。
Jungle(地獄)の時のヨンヒには影がありませんでした。
しかし死んでしまったわけではないので、影がないのは生死を彷徨っているという意味合いだと思います。
船に乗っている途中で、ヨンヒが触れたイルカが消えてしまうシーンがありましたが、これもヨンヒがまだ幸せ(イルカ)を掴める状況ではないことを表しているのではないでしょうか。
そして、飛び降りた後のヨンヒで終わるという衝撃のラスト。
生死を彷徨っているヨンヒを直接的な描写で表したかったのか、WAVEまでがヨンヒの夢だと言いたいのか分かりませんが、比較的明るいMVの最後にこのシーンをぶち込んでくるC9に改めて狂気を感じました。(褒めてます)
以上がWAVEの考察になります。
本当はこのまま黒猫のアニメーションの話もしたいところですが、長くなりすぎたので次に回します。
次回は458のMVの考察です。黒猫のアニメーションの解説です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次の考察でお会いしましょう~ あんにょん!