いつか
これから先、学校を出て就職して。
それでもいい出会いがなくて。
結婚も何もしていないまま、パートナーもいないまま33歳になったら。
郊外のお家を買って犬を飼うんだ。
普通の犬は私をおいて、老いて死んでしまうから、私と一緒に歳をとる犬にするの。
特別な犬。
そう言って笑う私は、君の目にどう映っていたのかな。
キラキラと瞳を輝かせながら、えっえっそれって……だって。
可愛いんだからさ、もうイヤになっちゃうくらい。
同年代の君とのプレイは、いつもむず痒いような気持ちでいっぱいになっちゃうけど。
君の反応で、私は胸がぎゅうってなって。
もっともっと鳴かせたいって。
もっともっと懇願させたいって。
もっともっと、って。
もっともっと、私だけのモノに……って。
そう願っちゃうんだよな。
お互いに嫉妬しいなのも、数年の付き合いで分かってるから。
もはや、それすらもいいスパイスになる。
いつか有り得るかもしれないありもしない夢物語を、口から出るままにお互い言い合って。
私だけが家を出る時は、ゲージに入れて危険がないように守っておくんだ。とか。
それに応えるように君が、おれ檻に入れられたいです。とかってね。
郊外は夜なら人が少なそうだから、首輪をつけて堂々と散歩できるね。とか。
仕事に行く時、社会活動を営む時、私の手から離れる時は、貞操帯が首輪代わりだよ。とか。
妄想を口にする度に、私の手中にある君自身が果てそうになってしまうのがわかって。
それすらも尚、愛おしいとさえ思う。
いつか、ほんとにやりたいな。
全部。
多頭飼いはしない。
終生飼育の1匹だけ。
生涯の伴侶と同じ。
私にいつか訪れるその時に、私の傍にいるのはどんな犬なんだろうね。