【乃木坂46】推しが座長のアンダラは格別だった【乃木坂34thSGアンダーライブ】
2024年1月25日からの3日間、横浜・ぴあアリーナMMにて、乃木坂46 34thSGアンダーライブが行われた。34thシングルに収録されているアンダー楽曲「思い出が止まらなくなる」に参加しているメンバーが参加し、5期生初のアンダーセンターとして中西アルノが座長を務めた今回のアンダラを、配信が行われた3日目とアフター配信で配信された各日のユニットコーナーを中心に振り返る。
OVERTUREの後の最初の一曲として選ばれたのがマシンガンレイン。初日は中西の煽りが無かったものの、Day2から入ったことにより、観客のボルテージが一気に上がった。そこからの小川彩がセンターの「自惚れビーチ」との緩急のエグさ。サビ後のカメラワークが絶品すぎた。「口ほどにもないKISS」では、前回のアンダーライブでも見られた、センターの阪口珠美を挟む佐藤璃果と奥田いろはというフォーメーションは健在。阪口が自らのリアイベで披露したと言われるコールも、僅かながらではあったが聞こえた。
ところで、「口ほどにもないKISS」といえば、ラスサビ前の阪口の投げキッスがお馴染みになりつつあるが、Day1では何故か披露されなかった。
ライブでは久々の披露となった「生まれたままで」では、清宮レイがセンターに立ち、たくさんの笑顔を会場中に振り撒いた。
そこから雰囲気は一変し、14人全員でのフラッグパフォーマンスへと繋がる。Day3では一体感のある動きだったが、不慣れな動きが多いパフォーマンスだけあって、今思うとDay1では動きが揃っていなかったと思う(中西にいたっては、最後の瞬間にフラッグが引っかかってしまっていた)。フラッグパフォーマンスの後には、アンダー楽曲では高い人気を誇る「錆びたコンパス」をフラッグ付きで披露。カッコよさに磨きがかかっていた。
続く「さざ波は戻らない」は、全体ライブを含めても32thSGアンダラ以来の披露。Wセンターの伊藤理々杏と林瑠奈は、その時以来のアンダラ参加ではあったが(理々杏は選抜入り、林は活動休止のため、前回のアンダラにはそれぞれ不参加)センターの存在感はあの時を彷彿とさせるものがあった。その後の「ここにいる理由」では、中西が現在のセンターとしての存在感を存分に見せつけた。
最初のMC後には、今回のアンダラの目玉企画「新春!おみくじユニット」が展開された。
Day1
トップバッターとして、小川、佐藤楓、中西、松尾美佑の4人からなる「なんでもやさん」が登場。披露したのは白石麻衣と秋元真夏の2人が歌う「まあいいか?」。楓と松尾がやり合っている中、小川と中西が天使に扮して仲裁するという設定だったが、小川と中西の天使姿があまりにも可愛すぎて、「これ、永遠に見てられるヤツや」と現地で思わずにいられなかった。
次に登場したのは、伊藤理々杏、岡本姫奈、阪口、清宮、中村麗乃の5人からなる「優柔不断なプリンセス」。披露したのは「ショパンの嘘つき」。アンダラでこの楽曲といえば、32ndSGアンダラでの林のソロ歌唱の記憶が強い人も多いが、今回は5人が扇子を片手に色気を漂わせながら華麗にパフォーマンスを見せる中、理々杏と中村の歌唱力が強すぎる3期の2人が歌唱をリードをする形で、引っ張っていたのが印象的だった。(特にラスサビ前)
この日の最後は、奥田いろは、璃果、林、矢久保美緒、吉田綾乃クリスティーの5人からなる「ぴんくちゃん」。披露したのは「心にもないこと」。センターに立っていたのは5期生の奥田。この日のために池田瑛紗のパフォーマンスを見ながら練習をしていたといい、当の池田からは「今度からいろはの今日のやつ見て練習するね」と返信が来たとのこと。実に池田らしい。
Day2
Day2のユニットコーナーは「ぴんくちゃん」からスタート。披露したのは「やさしさとは」。前日とは雰囲気がガラッと変わり、歌唱力が命の曲だけあって奥田、林、吉田がしっかりとリードしていくのが素晴らしかった。
次に登場したのは「なんでもやさん」。披露したのは「心のモノローグ」。白石と西野が当時着用していた白黒の衣装に身を包み、4人で披露することでこの曲の新たな一面を見たような気がした。
最後は「優柔不断なプリンセス」が登場。披露したのは「君に贈る花がない」。この楽曲は、北野日奈子、寺田蘭世、中田花奈、中元日芽香、堀未央奈の5人からなるユニット「サンクエトワール」の楽曲で、今でも古くから応援しているファンからの人気が高い。この楽曲を前回披露したのが、22年3月に行われた北野の卒業コンサート。その会場もここ、ぴあアリーナだった。北野の卒コンには私も参戦していたが、記憶の片隅に眠っていたあの日の記憶が少し蘇ってきたようだった。
ユニット後のMCの最後には、明日「ぴんくちゃん」がどんな楽曲を披露するか、矢久保が「あんまり披露していなくて、大好きな先輩がやっている楽曲」とヒントを出したが、この時誰もまさかとは思ってもいなかっただろう。
Day3
Day3は「優柔不断なプリンセス」からスタート。披露したのは「全部 夢のまま」。衣装やティーパーティーのような雰囲気の披露も素晴らしかったが、個人的には、理々杏の声質とこの曲の世界観がマッチしすぎていて、新たな発見だった。
続く「ぴんくちゃん」は、昨日の匂わせから何をやるかと思ったら、まさかの「大嫌いなはずだった。」を披露。この楽曲は、松村沙友理率いる「さゆりんご軍団」と、秋元真夏率いる「真夏さんリスペクト軍団」がグループ史上初めて、軍団の垣根を超えて歌唱した、HoneyWorksの楽曲。「ぴんくちゃん」の5人全員が当時のメンバーの衣装に身を包んだのだが、「口ほどにもないKISS」と同じような、戦術したフォーメーションのような考え方ではあるが、5人が着用した衣装にもこだわりが見える。
吉田はかねてからの秋元推し、璃果と鈴木は同じ東北出身、そして矢久保は加入前から松村推しと、何かと深い繋がりがある。そして、前日の矢久保の匂わせも相まって、この選曲には涙が止まらなかった。
3日間のアンダラのユニットコーナー、トリを飾るのが「なんでもやさん」が披露した「遠回りの愛情」。小川と中西が歌唱、楓と松尾がダンスという構図は、Day1の「まあいいか?」と真逆の構図。サビでは、小川のハモリが完璧すぎて、「本当に彼女は最年少の高校1年生で、この翌日にテストが控えているのか?」と思わずにはいられなかった。
(テストの件は、最初のMCで喋っていた)
ユニットコーナーの後は、全日共通で「ハウス!」で観客と共に盛り上がったのだが、各々がユニットコーナーで着用していた衣装のまま登場。Day1では「まあいいか?」では天使の衣装に身を包んだ小川と中西が、そのままハウスに参加するのを4階席から見ていて、ずっと目で追ってしまっていたのはここだけの話にしておこう。
MC後は、またまた雰囲気を変えて、バーのセットが登場。吉田がどう見てもママにしか見えないバーのマスターに扮し、メンバーの悩みを的確に解決し続けた。
お悩みを解決した後は、ジャズverにアレンジされた「三角の空き地」「涙がまだ悲しみだった頃」を、理々杏、小川、奥田、中西、中村、林、吉田がしっとりと歌い上げた。
店を閉め、吉田が去った後に、店の売上を盗み出そうとする怪盗団として、岡本、阪口、楓、璃果、清宮、松尾、矢久保の7人が登場。「My rule」ではコップを用いたパフォーマンス、「Hard to say」では、ステッキを用いたパフォーマンスで一体感を演出した。
その後は、炭ガスの奥からドラムセットが登場。そこには中西の姿があった。中西とドラムといえば、記憶にも新しい昨年の『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』の「5期生 おひとりさま天国」だろう。
5期生11人の大トリとして登場した中西は、ファンに向かってスピーチを始めた。
私は、この公演を映画館のパブリックビューイングで見ていたのだが、正直言って、中西×ドラムの方程式がどのような答えを生み出すのかがわからなかったが、私はある1人の女性を思い出した。
その女性は中西の憧れの人で、中西がセンターに立った時も隣で支え、日産スタジアムのバースデーライブでは出番前に中西を励まし、彼女に「センスは抜群、感度は平凡」と命名した。
そう、何を隠そう齋藤飛鳥である。
お互いにドラムが出来て、前回のアンダーライブでは飛鳥センターのRoute 246のセンターにも立った中西。彼女は確実に飛ぶ鳥の魂を受け継いだなという思いは、自信から確信に変わった。
そして、「表題楽曲とアンダー楽曲の双方でセンターに立ったことがある」という新たな共通点ができた。これは中西と飛鳥、それに2期生の堀未央奈の計3人しか成し得ていない、まさに偉業である。エースの足跡を辿りながら一歩ずつ成長しているのが、よくわかった。
話を今回のアンダーライブに戻そう。
中西が座るドラムを挟む形で、両サイドにもドラムセットが用意され、下手に小川、上手に松尾がいた。3人のドラムセッションからの流れで、披露されたのが「Under's Love」。ドラム用に多少のアレンジはされているものの、息のあったトリプルドラムはまさに圧巻の一言だった。そんな中、この3人の中では、ドラムの経験値が少なかった松尾は、楽譜が読めないために、「タカタン」というような擬音だらけの楽譜が置かれていたとDay2のMCで自ら告白していた。
ところで、先ほどの「My rule」の最後で怪盗団が盗んだ宝箱。ここのMCでその中身が明らかになった。
Day1はオーディション中に撮影された吉田の写真、Day2はオーディション中に撮影された阪口の写真が露わになり、Day3は誰のオーディション中の写真かなと思っていたら、白塗りの楓が写された写真。今から2018年放送の乃木坂工事中「強制ハロウィンパーティー」の罰ゲームで披露した時のコウメを披露した時。やっぱり首の塗りムラは激しかった。
そしてライブは終盤へ。このパートは「Actually…」からスタート。センターの中西と、英語セリフ担当の清宮が揃っての披露は実に久々。表題楽曲ではあるが、このコンビのこのシーンが見れただけでも、このアンダラに来た意味を感じた。ちなみに、今回のアンダーライブの全セトリの中で、シングル表題が披露されたのは、後にも先にもこの「Actually…」のみである。
続く、「届かなくたって…」は、このぴあアリーナに"凱旋"となった。というのも「届かなくたって…」を引っ提げて開催された2年前の29thSGアンダラが行われた会場こそが、今回の会場でもあるぴあアリーナMMであった。Day2の最後のMCで楓は、「(その時のアンダラのことは)実際覚えていない」と回顧するものの、「ペンライトで染まった真っ赤なスタンドを見て思い出した」という。個人的にも特に印象が残っているのがこの29thアンダラということもあって、当時の座長の口からその言葉を聞けたことが何よりも感慨深かった。
続く「踏んでしまった」では、前回の史上最大のアンダーライブの記憶が蘇り、「悪い成分」では、22年12月の31thSGアンダラの記憶が蘇ったかと思えば、最後に小川センターでアンダーの代表曲「日常」を披露。小川のセンターはそれこそ昨年12月の『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』で一度だけ披露していたが、その時よりも力強いパフォーマンスで観客を魅了した。
そして、中西のスピーチが始まった。
中西はアンダラ前の日刊スポーツ「坂道の火曜日」の取材でこんなことを言っていた。
センターが発表される前から、今回の楽曲は明るい感じだと聞いていただけに、中西推しの私でも、今回のセンター抜擢には驚いたのは事実ではあったが、アンダラの頃には、すでに自分のものにしてしまっているこの安心感は、彼女の存在感やファンからの期待に応えた結果と言っていいだろう。
そんな「思い出が止まらなくなる」を最後に本編が終わった。
アンコールは、14人のメッセージからスタート。1曲目の「誰よりもそばにいたい」のイントロに乗せて流れる直筆のメッセージには、グッとくるものがあった。歌唱後、センターにいる中西の元に集まる13人の光景に、アンダーライブの全てが詰まっていると思った。
そこから一転、「ロマンスのスタート」「あらかじめ語られるロマンス」で、最後の盛り上がりを見せ、最後は「乃木坂の詩」で大合唱。惜しまれながらも今回のアンダーライブ3Daysの幕が降りた。
…そんなワケが今回もなかった。
今回も規制退場のアナウンスをかき消すボリュームで始まった「のーぎざーか!」「ふぉーてぃーしーっくす!!!」のアンコール。その声に応えてWアンコールとして「思い出が止まらなくなる」がスタート。「Wアンコール、ありがとうございます!」と感謝を伝え長い一礼をすると、声を震わせ、目には涙を浮かべながら歌い出した。
中西もWアンコールには想定外だったようで、「まさかダブルアンコールをしてくださると思わなくて…。もうしゃべり尽くしてしまったのですが」としながらも、「最後に1つやりたいことやってもいいですか?」とお願い。14人全員で手をつなぎ、マイクなしの地声で「ありがとうございました!」と感謝を伝え、白熱した3Daysアンダラが本当に幕を閉じた。
裏を返せば。
今回のアンダーライブで、私は気づかされたことがある。
それは、本編最後にした中西の挨拶の一文だった。
この一言に心奪われた。「選抜から漏れた14人」ではなく、「アンダーに選ばれた14人」だということに、今まで気づけなかったからだ。
私は、アンダーライブについての記事を何本も執筆しているが、その理由はただ一つ。「アンダーライブが大好きだから」。全体ライブよりも好きと言っても過言ではない。
前回のアンダラのDay2のMCで、向井葉月がこんなことを言っていた。
この一言で、アンダラを好きになって心から良かったと思えた。お茶の間でよく見るメンバーはアンダラには出演しない。アンダラの魂胆には「選抜に入れなかった悔しさ」という、メンバーにしかわからない感情があるはずだ。その思いはファンも抱いている。そのアツい感情が人数分集まったのがアンダーライブの「沼」そのものだと思う。
その最たる例が、池田瑛紗の32ndSGの選抜発表後に更新されたブログだと思う。
実際、選抜で活躍しているメンバーの多くは、アンダーライブを経験している。むしろ、アンダーを経験したことがないメンバーの方が少ない。(与田祐希、山下美月、遠藤さくら、賀喜遥香、田村真佑、筒井あやめ、五百城茉央、一ノ瀬美空、井上和、川崎桜、菅原咲月)
私は、常日頃から「アンダーを経験したメンバーは必ず強くなる」という持論を唱えている。それは身体もメンタルも強く逞しくなるアンダーライブという、大きな賜物が影響していることは言うまでもない。アンダーライブに立てるのは、アンダーに選ばれた数少ないメンバーにしか許されない特権とも言える。その答えが、先述した中西の魂のスピーチなのだろう。
さいごに
大熱狂のまま幕を閉じた今回のアンダラ3Days。私にとっては推しがセンターに立つというだけで楽しみだったし、彼女にとっても大きなターニングポイントになったのは間違いないだろう。
私は彼女のミーグリによく行く。「アンダーセンターおめでとう」と声をかけても、どこか不安げな表情を浮かべながら答えていたのを今でも覚えている。あれから数ヶ月。自身2度目のセンターは、誰よりもこの楽曲を自分のものにしており、あの時とは全く違う姿がそこにはあった。
アンダー全体を見回しても、今年はアンダーライブ10周年という節目の年を迎えた。それでも変わらないこの熱気とボルテージは、アンダーをそしてアンダーライブを好きになってよかったと、改めて心から思えた瞬間であった。
時が流れるのは早いもので、いよいよ35thシングルの活動に移ろうとしている。彼女たちの姿を、どこよりも明るいスポットライトで早く見たいものだ。
【追伸】
私の友人で、2日目のライブを連番させてもらった、うすぽての尺氏も記事を執筆しているのでこちらもぜひ。
あと、マジでチケット当ててくれてありがとう。