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秋の夜長にオススメ、大正ミステリー【#読書感想文】

秋の夜長にオススメ、大正ミステリー【#読書感想文】

これから涼しくなるであろう秋の夜長に、ぜひ読んでいただきたい作品と出会ったので紹介します!

永嶋恵美・著『檜垣澤家の炎上』です。

時代は、大正。物語の舞台は横濱である。

主人公・かな子は、幼くして母を亡くし、横濱の貿易商で大富豪の檜垣澤家に引き取られた。
亡き母は、当主・要吉の妾だったのである。

檜垣澤家では要吉の本妻・スヱが、経営手腕を発揮し、"大奥様"と恐れられ一族に君臨していた。

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介護は孤独だと感じているあなたに【#ミステリー小説が好き】

介護は孤独だと感じているあなたに【#ミステリー小説が好き】

「昔と雰囲気、変わったね~」
久々に再会したかつての同僚に、こう言われた。

彼女と知り合った頃、私は母がもう治らない病気だと知った。彼女が県外に嫁ぐことになって職場を去った時には、私は介護や病院通いに明け暮れていた。

その後、メールや年賀状のやりとりが細々続き、母が亡くなったことを知ると、「遅れてごめんね」と丁寧に書き添えた香典を送ってくれた。
ありがたい友である。

コロナ禍がようやくおさま

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"ゴッドハンド"に出会ってしまったかも知れない【#わたしの本棚】

"ゴッドハンド"に出会ってしまったかも知れない【#わたしの本棚】

最近、地味に腕が痛い。
腕というか、肘というか。

特段、ケガをしたワケではない。
ドアノブをひねる、バッグからスマホを取り出す、といったとっさの動きで「イタタタタ」となってしまう。
ある日突然、こんな風になってしまった。

どうやら、こういった症状を世間では、テニス肘というらしい。
ぐぬぬ。
テニスなんて、やったことないのに。

文字を入力することも億劫になってしまって、自然とnoteから離れて

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どうする、親知らず【#わたしの本棚】

どうする、親知らず【#わたしの本棚】

最近、歯科治療の動画ばかり見ている。
キーンと削ったり、流血したり。
けっこうグロテスクだ。きっと苦手な方も多いだろう。

で、なぜわざわざそんな動画ばかり見ているかというと…。
右下奥歯が若干気になっているのだ。
痛いわけじゃないけど、何か存在を主張しているような違和感。

子どもの頃からお世話になっている歯科医によると、私には亡き母と同じ厄介な親知らずが眠っているらしい。
「この親知らずが、こ

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映像化されてないイチオシ小説5選【#わたしの本棚】

映像化されてないイチオシ小説5選【#わたしの本棚】

ネット上で、あるアイドルの方がオススメしている小説・5選という記事を見つけた。

それに対するコメントが、
「誰もが知ってる作品じゃん」とか、
「どれも映像化された作品」とか、
結構辛辣で驚いた。
そこで紹介されていたのは、どれも名作ばかり。目新しさにはかけるけど、彼女が紹介したかったのだから、別にいーじゃんと思う。

いや、なかなかどうして、よっぽど新刊とかじゃなければ、映像化されてない作品を5

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あぁ、カンチガイ【#わたしの本棚】

あぁ、カンチガイ【#わたしの本棚】

「なんかスゴイ本を持っているそうね」
職場の先輩に、そう声をかけられたのは、ずいぶん昔の話である。

当時、後輩にあたる女子に、
「なにか本、貸して下さーい」
とおねだりされた私は、ある本を渡していた。
後輩ちゃんは、これまであまり読書をしてこなかったとかで、
「読みやすい作品がいいですぅ~」
とリクエストしてきた。

そんな彼女に選んだのは、当時文庫になったばかりだった、恩田陸・著『夜のピクニッ

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