憲法草案〜第4章 国会〜衆議院の解散
現行憲法の衆議院の解散
第五十四条
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
第五十四条2
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
第五十四条3
前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
解散権について、第六十九条衆議院による内閣不信任に基づく衆議院の解散は、明確に規定され運用されています。
第七条天皇の国事行為に基づく内閣による解散は、運用されていますが「衆議院の解散は内閣総理大臣の専権事項」と言われるような現状は、憲法上の疑義と言われています。
抽象的な言い方ですが、真に主権である国民に諮るための解散(政治的、民主主義的に大義のある解散)であれば問題ないのですが、政権与党に都合の悪い案件を隠すための解散がされていると思います。
独裁と言ってよいと思います。
自民党(2012年)草案の衆議院の解散
第五十四条
(衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別国会及び参議院の緊急集会)
衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。
第五十四条2
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、特別国会が召集されなければならない。
第五十四条3
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
第五十四条4
前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
1項に、「衆議院の解散は内閣総理大臣の専権事項」と言われている現状を肯定した条文です。
独自草案の衆議院の解散
第五十八条
内閣は、衆議院の解散を発議出来る。
衆議院で可決された場合は、衆議院は解散される。
衆議院で否決された場合は、参議院の三分の二以上の賛成により可決され、衆議院は解散される。
第五十八条2
参議院が衆議院の解散を発議し可決した場合は、内閣の同意後、衆議院は解散される。
内閣の同意が得られなかった場合、参議院は三分の二以上の賛成により再可決することができ、衆議院は解散される。
第五十八条3
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
第五十八条4
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
第五十八条5
前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
1項は、内閣はあくまでも衆議院の解散を発議出来ると規定しました。
衆議院の優越は適用されない内容としました。
2項は、参議院にも衆議院の解散権を与え、衆議院の優越に対し均衡を図りました。