憲法草案〜第3章 国民の権利〜生存権
現行憲法の生存権
第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第二十五条2
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
生存権は、ただ「食べて生きていければよい」という訳ではありません。
人間として「健康で文化的」というのが重要です。
どんな状況でも、毎日とは言いませんが、映画を観たり、本を読んだりすることは、「文化的」と言えると思います。
実際の生活保護費でそこまでの生活が出来ていないのが現状です。
また、生活保護に対し、利用率や補足率の低さも問題です。
よく言われるのが「働かざる者食うべからず」のような言い方により、傷病などにより働けない人や働きたくても仕事が無い人までも、申請をためらうような差別的な状況は、果たして先進国と言えるのでしょうか?
「生活保護費を受給した方が最低賃金より高いと言うことが問題で、給付額を下げるべきだ」という事を言われる方がいますが、論点ずらしです。
そうであるならば、賃金を上げるべきです。
自民党(2012年)草案の生存権
第二十五条(生存権等)
全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第二十五条2
国は、国民生活のあらゆる側面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第二十五条の二(環境保全の責務)
国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
第二十五条の三(在外国民の保護)
国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。
第二十五条の四(犯罪被害者等への配慮)
国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮しなければならない。
2項の言葉を変えています。
分かりやすくなりました?
二項から四項が追加されました。
一見良さそうな事が書かれています。
しかしながら、憲法に書かれていないから、国として出来ない、やらなくて良い事でしょうか?
もしそうだとしたら、すぐに政権を交代すべきです。
独自草案の生存権
第二十五条
何人も、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国会および内閣は、居住地の気候、独自文化等を考慮しなければならない。
また在留外国人に対しても考慮しなければならない。
第二十五条2
国会および内閣は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障、公衆衛生および労働安全衛生の向上及び増進に努めなければならない。
また、人種、信条、性別、身体的個性、社会的身分、経済的状況、門地または出身国により、公平でなければならない。
1項には、「国会および内閣は、居住地の気候、独自文化等を考慮しなければならない。また在留外国人に対しても考慮しなければならない。」と追加しました。
例えば、北海道で生活保護を受けている方に暖房器具の購入費が支給されないことがありました。
こんなこと考えられますか?
同様なことが東京で起こったら、真夏を越せますか?
ありえないです。
在留外国人に対しても、「生活できないのなら帰れ」みたいな論調があります。
帰るに帰れない方も居るわけで、生存権が保障できていないと思います。
2項には、まず「労働安全衛生」を追加しました。
戦後すぐに制定された現憲法ですので、時代背景的にも「労働安全衛生」は重きをおかれていませんでした。
労働安全衛生も生存権の一部と言われて来ましたが、企業の利潤追求とは反するものであり、印刷事業所の胆管がんを例に挙げるまでも無く、後手に回ってきたのが現状です。
命が守られていると言えるでしょうか?
明確にするべきと思います。
「また、人種、信条、性別、身体的個性、社会的身分、経済的状況、門地または出身国により、公平でなければならない。」を追加しました。
外国人や障害者への合理的配慮だけでなく、事業規模による差が生じないようにすることを求めています。