憲法草案〜第3章 国民の権利〜法の下の平等
現行憲法の法の下の平等
第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第十四条2
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
第十四条3
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
この条文の、最大のネックが「すべて国民」だと思います。
最たるものが、外国人の長期収容問題だと思います。
自民党(2012年)草案の法の下の平等
第十四条(法の下の平等)
全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第十四条2
華族その他の貴族の制度は、認めない。
第十四条3
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
「障害の有無」を追加したのは、自民党草案のなかで数少ない、プラスの変更点です。
それを帳消しにするのが、3項から削除された「いかなる特権も伴わない」です。
特権を与えるということで、法の下の平等を破る可能性があります。
独自草案の法の下の平等
第十四条
何人も、法の下に平等であって、人種、信条、性別、心身障害、社会的身分、経済的状況、門地または出身国により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。また、法令の周知等においては、公平でなければならない。
第十四条2
華族その他の貴族の制度、特権的階級等は、これを認めない。
第十四条3
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
また、栄典の授与は第七条に基づき、天皇が行う。
1項では、主語を「すべて国民」から「何人も」に変えました。
日本国内に居る全ての人が対象です。
心身障害(表現が相応しいか悩んでいます。)を追加しました。
本来「門地」に含まれると思ったのですが、あえて「出身国」を追加しました。
裏返せば、出身国により差別があると言える状況だということです。
「法令の周知等においては、公平でなければならい」とは、障害者への合理的配慮(点字や音声など)や日本語の認識の差に対して求めています。
(平等と公平については、このページが分かりやすいと思います。)
2項では、「特権的階級等」を追加しました。
記憶に新しいところでは、池袋交通事故の「上級国民」があります。
逮捕に対する議論は別にして、他の高齢者と対応が違うのではと話題になりました。
3項では、栄典の授与は象徴である天皇の国事行為のみとしました。
国政において、政治家が国民に栄典を授与する必要があるでしょうか?
現状の「国民栄誉賞」も、かなり恣意的、もっと直接的に言えば内閣支持率対策に行われていると言えないでしょうか。
そうは言っても、天皇の国事行為は内閣の助言の元に行われるのですけど。