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高層階キラキラオフィスの淡い夢 - 2024/02/12


もうすぐ、私が勤める会社オフィスの移転がある。

今はその準備に追われている、ということをダラダラとまとまりない長文で書いた日記。


引っ越し予定の新オフィスは床面積がとても広く、高層階で景色もとっても綺麗だ。

私たちが現在いるオフィスでは、渋谷の臭い道路沿いにある雑居ビルの一室に人間が詰め込まれている状態なので、これは栄転と言えるだろう。

しかし、新オフィスへの移転にあたって、ダンボール何百箱分にも及ぶ書類の保管場所に困ってしまった。

新オフィスはスタイリッシュすぎるがあまり、執務室内に収納が極端に少ない。

しかし図面をよく見ると、大量の書類を所有する部署のデスクの近くに、組み替え可能な大きな棚がたくさんあることが判明した。

なーんだよかった、と安心したのも束の間、なんとその棚には初期状態では棚板や引き出し等が全然ついておらず、ただの壁状態になっていた。このままでは棚としては使えない代物だ。

今は壁になっている部分に引き出しをつけることも可能と伺ったため、
私は社内の家具調達担当の社員さんに、壁部分の全てに引き出しをつけてもらえないかと社内チャットでお願いをした。

しかし、家具調達担当さんの返答は、

「この棚はとっても高価なもので、追加で引き出しをつけたら何百万円もかかるので安易にはつけられない。少し遠いけど、書類はなるべく倉庫に置いてください」

というものだった。

いつも弱気で「ダメ」と言われたら一瞬で引き下がる全力イエスマンな私も、
この返答には流石に少し納得がいかなかった。

なぜ、デスクのすぐ近くに棚として利用可能なポテンシャルがあるでかい置物がたくさんありながら、
そこをあえて使わずに倉庫まで書類を毎回しまいにいかなきゃならないのだろう?

使えない高価な置物はそれこそ倉庫に置いといてくれやとすら思った。


追加でお金がかかるから、高価だからダメと言われても、我々は高価で収納できない棚を置いてくれと要求した覚えはない。

我々としては、安くてちょっとダサくてもいいから大量の書類やファイルをしまえる棚がすぐ近くに欲しいと思っている。

しかしよく考えると、そのニーズを我々が家具調達担当に一切伝えられていなかったのも事実だ。

書類の物量は事前に伝えていたので、その分の収納は用意されるものだと当たり前のように思っていたことは本当に良くなかった。


実際に使用する私たちは自分たちの周りの使いやすさを重視する。
一方の家具調達担当は使いやすさももちろん考えてくれるけど、家具の質やスタイリッシュさ、コスト面、オフィスに取材が入れるような映え度合いなどの全体的な完成度も重視するようだ。

結局、家具調達担当の社員さんと実際に現場で使用する社員(我々)は別だから、
そこにスコープの差というひずみが生まれるのは仕方がないのかもしれない。悲しきすれ違い。


チャット上での話し合いは一度平行線に終わり、家具調達担当と家具屋さんと一緒に打ち合わせの場を設けてもらえることになった。




社内の家具を調達してくれる社員さんと、家具屋さんと一緒に新オフィスの下見に行った。
この社員さんとはチャットでは頻繁にやり取りしているけど、お会いするのは初めてだった。とても緊張した。

社長や家具調達担当は、新オフィスの家具や内装にかなりこだわって準備をしているようだった。ライトひとつとってもこだわりのもの、らしい。

家具屋さんが私にも少し内装の説明をしてくれた。

「やっぱり日本のメーカーはダメですね、これはベルギーのうんたらかんたら……値段はかなりしますがいいものですよ」と伝えてくれた家具屋さんに対して、
「はぇ〜、本当にいいものは違うんですね〜」みたいなことを言って話を合わせている自分が裸の王様になった気分でめちゃくちゃ恥ずかしかった。


家具調達担当の社員さんが、
「最近の若い子は、家具に金かけるくらいだったら給料とかボーナス上げろっていうんだけど、わかってないな〜と思う」
と言っていたのも印象的だった。

私は全然若くないけど、そんな私も家具にお金をかけるくらいだったらちょっとでも給料あげてくれた方がうれしいかも……と素直に思ってしまった。
私は未だに即物的な考えから足を洗えていない人間だ。

デスクワークの人間は腰を悪くしやすいので、椅子だけはいいものだったら嬉しい気持ちはあるけど、それ以外のオフィス家具には全然こだわりがなく、どうでもいいと思っている。

しかしそれをその場で言う勇気はさすがになかった。
むしろ「それを言わないくらいにはギリギリ分別ある自分でよかった」という変な自惚れをその場で察知してしまい、自分のことがちょっと嫌だなと思った。

収納の件は、多少粘って交渉した末に、
壁状態になっている棚に全て棚板と引き出しをつけてもらうという約束を取り付けることに成功して、
置物だった高級棚を全て本当に「棚」として機能させて使えるようになった。

倉庫の収納も増やしてもらって一件落着だ。要望を受け入れてもらえて本当にありがたい。これで使いやすいオフィスになるはずだ。

まあそれでも部署内からは「収納少ない」とか文句を言われるんだろうな。
結構交渉頑張ったのに……まあ仕方ないね。調整役ってそういうものだよね。

今回新オフィスを見学して、色々まだまだ足りなそうだなと感じる執務室内だったが、ゴミ箱だけは本当に大量にあった。
クリックで連打して置いたのかと思うくらいの大量さでちょっとウケた。

1フロアに何百人と集うことになるので、こんなにゴミ箱があっても結局すぐにいっぱいになるんだろうなとは思うが、
近くにゴミ箱があるのは普通にうれしい。


うちの社員はゴミを捨てるために10歩以上は歩けない人間が多い。

近くのゴミ箱が埋まっているなどの理由で、それ以上歩かなきゃゴミを捨てられない状況になると、
なんと床にゴミを置きはじめるというとんでもない社員も少なからずいる。

SimsのポンコツNPCじゃあるまいし、
ちゃんとその立派な脳みそで判断して空いてるゴミ箱にゴミを捨てに行けよと毎回思っていたので、ゴミ箱連打は助かるなあと思った。



この豪華なオフィスは「誰の為に」用意されているのか、と考える。

ビルの高層階からみる綺麗な景色や高級な棚も、一瞬は感動するけれどすぐに慣れる。
そりゃ汚いよりはもちろんいいけど、一定水準の品質が担保されていればそれ以上は特に大差ない気もする。

しかし、豪華なオフィスは既存社員にはそこまで効果を発揮しないかもしれないが、採用には一定の効果があるだろうと安易に予想できる。

新卒の若い時は特に、クソボロビルで働くよりも綺麗な高層階オフィスで働くキラキラ社員を夢見るものだから。そうやって意欲ある若者を釣るのも一つの手法なのだろう。
豪華なオフィスはそのためにあるのかもしれない。

だが、高層階のキラキラオフィスはいいことばかりじゃない。
得てして食料調達に苦労することが一番厄介だ。飯を食う場所はまわりにたくさんあるが、でかいビルを出るのに一苦労ということもある。

自分のデスクから立ち上がり、だだっ広い執務室とやたら長い廊下を歩いて、エレベーターが来るのを長い間待って下におりて、オフィスビルに入りがちなちっさいコンビニで飯を調達する毎日。
往復に20分くらいかかることもある。この不便さには慣れることがないだろう。

自分のデスクから、コンビニなどへの食料調達場所へのアクセスが早くできるかどうかや、
手軽にアクセスできる飲食店やコンビニの種類が豊富かどうかは個人的にはとても大切だよな、と思う。

今のオフィスはその面でとても優れていたから、多少名残惜しく感じる。


ビル高層階にあるキラキラオフィスで彷徨うランチ難民と収納難民はどうすれば良いのだろう。

さらに、複数の路線が通っているでかい駅直結のビルは、
使用する路線によってはホームからかなり通路を歩かないとビルに辿り着かないという通勤難民も追加で発生する。
かくいう私も、新オフィスと今使ってる路線の相性は悪い。

収納の件は解決したので、飯の調達の件と通勤の件も策を練らないといけない。

通勤の方はいっそ電車通勤を諦めて自転車通勤も検討している。その方が早く着いて歩かずに済む可能性もある。

しかし、朝の246号線を自転車で走ることに非常に恐怖を感じて及び腰になっているため、結局早起きするしか方法はないのかもしれない。

なんかもう全部めんどくさい。家で仕事をさせてほしい。





私がいる会社は何かと変化が多い会社だ。

人も大量に採用しているし、組織体制もすぐにコロコロ変わるし、全然安定しない会社だと思う。辞める人もそれなりにいる。

私は入社して2年しか経っていないのに、大規模な拠点の引越しも2回目だ。

1回目の引っ越しは自分の荷物を梱包して、持っていってもらうのを待つだけでよかったが、
2回目の引っ越しでは立場が変わり、引っ越しに向けて社内のいろいろな準備や調整をしないといけなくなってしまった。

大きな引っ越しは様々な変更が発生し、とても疲弊することがわかった。大規模オフィス移転がこんなに消耗するとは思っていなかった。
私はもうここ最近ずっとくたびれている。

この3連休の間も、洗濯や掃除といった家のタスクを全て放置して、
ベッドからほぼ動かずずっと無気力を続けているのに
やたら腹が減って飯ばかり食らう最悪の3連休を過ごしている。非常にもったいない。

私がこの会社にいるうちはもう二度と大規模な引っ越しをしないでほしいと、心より願っている。

それではさようなら。


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