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「親知らず」って名前、良すぎるね。 - 2023/11/18


初めて歯を抜きました。


歯医者通い、わりと順調に継続中だ。



矯正治療に向けて準備をしている。
その準備の一環として、「親知らずを抜く」という工程があった。

横向きに生えた下の歯の親知らずが虫歯になっていたので抜いてもらった。

歯医者で「我慢できないくらい痛い」なんて思ったことなかったけど、親知らずの抜歯はさすがに痛かった。「痛かったら左手をあげる」というカードを行使しようかと一瞬考えてしまうほど痛かった。
歯を食いしばれない代わりに瞼を食いしばって我慢した。

でっかい虫歯になってたから余計に痛かったのかもしれない。ほんの1分足らずで拷問は終わった。

抜いた後の歯をまじまじと見た。永久歯の亡骸を見るのは初めてだった。

歯の根っこが凄く立派で、まるで牙のようだった。
自分の乳歯が抜けたものは見たことがあるが、乳歯には根っこがなかったと思うので、今回見た歯の立派さに少し驚いた。

抜歯後、「抜いた歯を持って帰りますか」と聞かれたので、少し考えた末になんとなくもらうことにした。
私の家がさっぱり片付かないのは、こういう微妙なものをとりあえずもらっておくタイプだからかもしれない。

デフォルメされた歯の形をした、小さなかわいいケースに親知らずを入れてもらった。
将来私が行方不明になって野垂れ死んだときは、この歯のDNAと一致する死体を探してもらえばいいというわけだ。

真面目な話、抜いた歯の使い道ってあるのかなと思って調べると、どうやら「歯髄バンク」というものがあるらしい。

将来、再生医療が発達した際、脊髄や血管の再生等に歯が使えるようになる可能性があるとのこと。すごいなあ〜

歯髄バンクに預けられる歯の条件は虫歯のないきれいな歯。48時間以内に預ける必要がある。今回の歯は残念ながら使えないようだ。

虫歯のない親知らずを抜く予定が今後あるので、今度は歯髄バンクを利用してみようかなと思ったが、
初期費用に30万円かかるという文字を見た瞬間にやめた。さようなら。




歯医者に通えるのが土日祝しかないから、土曜日に営業している歯医者を選んで通っている。

でも、考えることは皆同じのようで、土曜日に予約が集中しているらしく、なかなか予約が取れない。

受付のお姉さんからは、平日の予約を執拗に勧められるので、
今回は「土曜日希望」という条件を妥協して、平日に仕事を早退して歯医者に行った。

最後にお会計をする際に、「12月の土曜日にあらかじめ予約していた治療を前倒ししたいから11月の平日に変えてくれないか」とまた言われた。
さすがにそんなに毎回仕事を早退して歯医者に来ることはできないので何度も断ったら、受付のお姉さんがちょっと拗ねちゃった気がする。ごめんって〜〜許してよおおお


いや、別に仕事は早退しますと言えばすぐ早退できるし、私が休んでも大したことにはならないが、
「あいつって仕事できない上にちょいちょい休むよな〜〜」と思われたくないという気持ちが大きいのかもしれない。

仕事上での体裁と自分の歯、どっちが大事なんだと言われたら間違いなく自分の歯なんだけど、そう簡単に割り切れないものだ。

そんな事情もあり、虫歯治療や矯正の準備がものすごくゆっくりになっているがしかたない。これでも月2回は通ってるし、私にしては頑張っているので許してほしい。





ちょっと不満を書いたけど、今通っている歯医者さんは基本的にいい歯医者さんだ。だから私でもちゃんと通えている。

学生時代にも別の歯医者に行って矯正の相談をしたことがあるが、その歯医者がとにかくひどかった記憶がある。

矯正相談のために歯を見てもらったまではよかったのだが、
矯正方法もろくに選ばせてもらえず、スケジュール等も教えてもらえず、次回からやります。とだけ言われた。

さらに会計時、次回の予約を取った際に受付で
「次回、矯正治療の料金100万円を現金一括で持ってきてください」と言われて耳を疑った。
100万の札束を持って街を歩くのはあまりにも怖い。

院内には「無断キャンセルが相次いでいます!!ご遠慮ください!!」みたいな張り紙が数箇所貼ってあったし、
なんならそういう注意書きの紙ももらったような気がするけど、
そりゃみんな無断キャンセルするよなあと思った。

かくいう私も無断キャンセルしてしまった。キャンセルの連絡をするのが怖かったから。
あまりにも酷い歯医者すぎて、もはやこれは私が見た夢で、存在しない記憶なのではないかと思ってしまうほどだ。

そんなヤバ歯医者に比べたら(比べるのも失礼だけど)今のところには本当によくしていただいて助かっている。勇気出して通い始めてよかったなと思う。最後まで頑張りたい。


中国語で親知らずは智歯、英語ではwisdom tooth……いずれも、ある程度分別がついてから生えることに着目している感じがする。

前から度々思ってたんだけど、やっぱり「親知らず」って日本語はとてもいいな。
個人的には諸行無常というか、なんとなく仏教のエッセンスを感じる。
仏教のことは全然知らないので、「私が個人的に思う仏教的ニュアンス」でしかないけど。

「世間知らず」や「身の程知らず」とは、
同じ「◯◯知らず」でもちょっと違う。侮蔑の意図を感じない。

この言葉が生まれた大昔は人間の寿命が短かったから、親知らずが生える年齢くらいになれば親が死んでしまうのが当たり前だったのだろうか。

現代の人間は寿命が長くなったのに、人生の醍醐味は若年期に集中している気がするし、
自分の身体を不自由なく自在に動かすことすらままならなくなってからの人生が長すぎると感じる。

中年以降になっても、なにかしらの主役になれるイベントがあってもいいのに、
葬式以外に全然ないんだもんね。かなしいね。



それではさようなら。

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