テラダ一家の宇宙旅行 その11◆木星への旅【ココロの救急箱】
さあ、来ました、ピカリィの独壇場タイム。
元気に、はち切れそうに踊りだします。
♪♪♪《ココロの救急箱》 4.One-I(我・イチ)
俺様モード、拡大・縮小!!
よっぽど恵まれた環境でなければ、
そしてちょっとでも周りの空気を読むことを覚えれば
むちゃくちゃなワガママは通用しないとわかる
だから人としての礼儀や、しつけを身につけ魂しめつけ
便利な人格を自分だと決めつける
でも、ずっと自我を解放しないままだと、
魂は悲鳴をあげて、委縮して、もとのカタチが不明なくらいに変形
それじゃ人が期待する人格として生きてるだけの典型
だから今こそ思い出せ、シンプルな自分、オンリーワンの性格の原型
そう、たまには魂に俺様モードのフリーダム・タイム
それはたいせつで不可欠なボーナス・タイム
窮屈な靴から足を出して指をうごかすみたいに、
理性をすてて、たてまえから離脱
犠牲をいとわずに、常識から解脱 解脱 get out, get out
たいていの人に嫌われるかもだけど、これがほんとの自分
そんな強い本音つきつめて煮つめて、原型の自我を探して見つめて
そうして情けなくて、でも強いたいせつな自分をハグして認めて
古い人格は成長と共に脱皮して廃棄
必要なペルソナはパワーダウンして手なづけてから復帰
もしも都合がイイだけで自分を苦しめるペルソナを識別したら
おもいきって決別、的確に自我に起こす変革
ふだん、俺様モードなんてとんでもない、
自分の原型なんてわからないという気弱なヒトこそ
ありったけ俺様モードを拡大して、革新!
ありのままの本音を慎重に尊重!
オンリーワンの貴重な自分をリファイン(洗練)してリスペクト
めげずに自己主張がんばらないと!
…………その逆に、ふだん俺様モードすぎ
まわりとぶつかりイライラしすぎ
なんでうまくいかないの?って強気なヒトは
あきらめて俺様サイズの限界を理解
俺様モードの限界値を縮小して成長!
今までの傲慢さは崩壊、つらいけど長い目で見ればきっと正解
あなたの魂の悲鳴は、そのワガママを今の時点で通すのは無理という証拠
しょうこりもなくせまい檻にぶつかり続ける、学習しない動物と同じ
檻になじむか、そこから出る方法を見つけるのが大事
かなえられそうなワガママを探していくしかない
ありのままがゆるされるギリギリをめざしていくしかない
それか、なんとかしてワガママがかなえられるレベルにまで自分を向上
努力して満足な俺様サイズを獲得できるまで成長
どっちにしろ、ココロのモードしあわせな方向に移行
ぶつかりあう自我と自我、
つりあう欲と欲、win winを延々と探していこう!】
テラダ一家の拍手のあと、一本の棒状だったピカリィは、ふくふくと四方にカラダを伸ばし、クリオネのような姿にもどりました。
くるりと回転しておじぎしたピカリィに、パパはぼやいてみせます。
「とほほ…………。たしかに、パパの自我、しびれちゃって感覚なくなっているのかもな。ひさびさに、昔のパパを知っている友達に連絡とってみるかなぁ。仕事関係じゃないヤツと過ごす時間、つくってみるよ」
『うん、パパさん。それがいいネ。昔の自分に出会うことで、魂がイキイキ若返ることもあるヨ。昔ハマっていた趣味や本、音楽とかもネ。それで、忙しさにかまけて忘れ切っている、自分の本音を思い出せるカモ』
ピカリィは応援するように羽ばたきました。
マコはちょっと首をかしげ、
「私、欲望のライトはいっぱいあるけど、自分の本音ってなんなのかいまいちだよ。どうしたらいいの?」
長い髪をいじりながら言います。
『それなら、それを探したまま、旅を続けて。そのうち、憧れや萌えのステップにいくヨ。そうしたら、ちぢこまってしまった自我に、憧れパワーでエネルギーをそそぐことができル。そのうちに、憧れのイメージからも独立した、たったひとつの我ができていくヨ』
ピカリィの言葉に、マコは顔をかがやかせました。
「そうなの? 私、自分のことはわからなくても、憧れのヒトならいっぱいいるよ。そういう人たちの真似っ子して、いろんな人格をつかいわけてる。キャラを使い分けるのって、いろんな可能性をためせて楽しいよ。でも、疲れるのも事実。それはホントの自分じゃなくて無理してるからだよね。バランスがとれればいいのにな」
マコは大きく伸びをしながら、窓の外の宇宙に目を走らせます。
『マコさんも、人格の成長期なんだネ。この先が楽しみだヨ』
そう言った時、ピカリィの光がウィンクしたようにマコには見えました。