「ゆる言語学ラジオ」に出演しました。1回目出演回の反響が大きくて驚いています。あたたかいコメントが本当に嬉しくて、とても励みになります。さて、私の出演回の2回目部分の参考文献を、ちょっとした解説(+訂正+言い訳等)を交えながら紹介します。 正直、今回の内容はちょっとミス多めで話の流れが把握しづらく、自分でもやっちまった感があります。最終回である次回はわりとわかりやすくまとまっているので、ぜひ最後までお付き合いください!
意識に浮かぶ内容 ↓助数詞・可算/不可算あたりの認識の研究は以下を参考に話しています。
Imai, M., & Gentner, D. (1997). A cross-linguistic study of early word meaning: Universal ontology and linguistic influence. Cognition, 62(2), 169-200.
Imai, M., & Mazuka, R. (2003). Re-evaluating linguistic relativity: Language-specific categories and the role of universal ontological knowledge in the construal of individuation. Language in mind: Advances in the study of language and thought, 429-464.
Saalbach, H., & Imai, M. (2007). Scope of linguistic influence: Does a classifier system alter object concepts?. Journal of Experimental Psychology: General, 136(3), 485.
↓mass/countに関する第二言語学習者のデータを示した実験。これ紹介するときに、"Which has more strings?"を"Which is more strings?"と言っているように聞こえますが、それはきっと聞き間違いです。ええ...。
Inagaki, S. (2014). Syntax–semantics mappings as a source of difficulty in Japanese speakers’ acquisition of the mass–count distinction in English. Bilingualism: Language and cognition, 17(3), 464-477.
ちなみに、1回目に"Open me a beer."って言ってるあたり、可算/不可算は結構認識によって変化するものだということがわかると思います。
その他、こういった内容に興味がある方は、拙著 以外では以下の書籍がおすすめです。
移動表現の研究 動詞枠付けと衛星枠付けどっちがどっちかぱっと出てこなかったのカッコ悪かったですね...。冷静になって見直すと何やってるんだと思いますが、結構長い時間、真面目な内容の収録聞いたり喋ったりしてたのでこのあたりからだんだん頭がふわふわしてきてます。雑談回なんて目が泳いできていると思います(まだ見ていませんが)。
ちなみに、ラジオ内では私から「swimの意味は『泳いでいく』」とか、他にも「英語ではswimの中に『行く』の意味が含まれているのかー!」というような発言がありますが、英語は動詞以外の要素を足して経路などを表すという意味で「衛星枠付け」言語なので、ここはちょっと正確ではないです。収録中は気づきませんでした。上の件も含めて動画収録は本当に難しいですね。 あと、動画内で不安を滲ませながら使われている"He went under the bridge swimming."ですが、その後確認すると、言えるっぽいという文献も見つけたのですが、同僚のネイティブの先生に尋ねてみたところ、「なんか同じこと2回言ってるみたいな感じがして、ちょっと違和感あるかな…」と言っていました。前の動画に上がっていた「水をコップに満たす」みたいな感じで、判断が揺れる表現なのかもしれません。 また、Swam under the bridgeのunderはgoalを表しているわけではないので、「橋の下(到達点)に泳いで行った」というより、橋の下を通って泳いで行ったという感覚の方が正しいかもしれません。
Slobin, D. I. (1996). From "thought and language" to "thinking for speaking." In J. J. Gumperz & S. C. Levinson (Eds.), Rethinking linguistic relativity (pp. 70–96). Cambridge University Press.
Slobin, D. I. (2004). The Many Ways to Search for a Frog: Linguistic Typology and the Expression of Motion Events. In S. Strömqvist & L. Verhoeven (Eds.), Relating events in narrative, Vol. 2. Typological and contextual perspectives (pp. 219–257). Lawrence Erlbaum Associates Publishers.
Inagaki, S. (2001). Motion verbs with goal PPs in the L2 acquisition of English and Japanese. Studies in second language acquisition, 23(2), 153-170.
Inagaki, S. (2002). Japanese learners’ acquisition of English manner-of-motion verbs with locational/directional PPs. Second Language Research, 18(1), 3-27.
↑こちらがデータを紹介した、"He swam under the bridge."の実験の原典。
Muñoz, M., & Cadierno, T. (2019). Mr Bean exits the garage driving or does he drive out of the garage? Bidirectional transfer in the expression of Path. International Review of Applied Linguistics in Language Teaching, 57(1), 45-69.
Housenstein, J., Eisenberg, A., & Naigles, L, (2006). Is he floating across or crossing float? Bilingualism: Language and Cognition, 9(3), 249-261.
↑これらは第一言語と第二言語の双方向の影響を示唆したもの。
ちなみに、一冊まるまる移動表現の第二言語習得を扱っている以下のような本もあります。
第一回目で水野さんが、モノの認識に関わるLucy (1994), 空間の認識に関わるLevinson (2003)の研究をあげていらっしゃったのでそれぞれモノと空間の認識について扱った次第ですが、私が水野さんほど筋書き書くのが上手くないので、繋がりを出すために水野さんと堀元さんがすごく頑張ってくださいました...。カットされている部分で、
堀元さん「すみません、この話がどこに向かうのかちょっと見えてないんですけど」
福田「あ、ここでこうで、こういう風に収束させようとおもってます」
水野さん「わかりました、じゃあ一旦まとめますね」
みたいなやりとりなどがあったりしました...(感謝…ッ!
Levinson, S. C. (2003). Space in language and cognition: Explorations in cognitive diversity. Cambridge University Press.
Lucy, J. A. (1994). The role of semantic value in lexical comparison: Motion and position roots in Yucatec Maya'. Linguistics 32, 623–656.
以下は文献と関係ないですが、Youtubeのコメントに「シャツはSOSHIOTSUKIですか?」というような質問がありました。が、今回着ていたシャツはVivienne Westwoodでした。SOSHIOTSUKIと同様、アシンメトリーの襟が特徴的ですよね!ちなみに画角の関係で見えませんがパンツはYohji Yamamotoのラップパンツを履いていたので、モードで全身真っ黒です。 3回目に続く。