見出し画像

田人町で咲かせる一凛の花。受け取った愛と自然への恩返し

「ふくしまおこしびとPlus」ではふくしまの地域づくりに関するキーパーソンや関係人口の方に、福島の魅力や想いをお話いただきます

◤紺野 琴水(こんの ことみ)さんプロフィール◢
1997年神奈川県川崎市生まれ。一凛の花株式会社代表取締役。専門学校卒業後、成田空港国際線のグランドスタッフとして勤務。2020年に福島県いわき市田人町(たびとまち)に移住し、2年半にわたり地域おこし協力隊として活動。卒隊と同時に田人町で会社を設立し、現在は古民家カフェ&ゲストハウス「HITO-TABI(ひとたび)」の運営を中心に事業を展開している。

HITO-TABI 外観

田人町へ。新たな使命を見つけた転機

もともと私は、枯れかけた一凛の花のように、自分の存在意義を見失いかけていました。成田空港国際線での仕事は楽しく、夢を叶えた充実感もありましたが、コロナ禍によって航空業界だけでなく、世の中全体が元気を失っていくのを目の当たりにし、私自身も漠然とした無力感を抱えるようになりました。「今の自分にできることは何か」と模索する中で、地方での新たな挑戦に可能性を感じ、祖父母が住む福島県いわき市へ移住を決意しました。
 
しかし、私が地域おこし協力隊として着任したのは、いわき市の中でも中山間地域に位置する田人町。人口わずか1200人のこの地域で、地域活性化を目的に情報発信やイベントの企画運営、清掃活動、そして古民家カフェHITO-TABIの運営補助などに取り組みました。最初は、これまでの都市生活とはまるで違う環境に戸惑うこともありましたが、地域の人たちはとても温かく、いつしか私も田人町の自然や人々の優しさに支えられながら、自分の心がほどけていくのを感じました。
 
地域の人たちとの関わりの中で、私は次第に「自分がここでできること」を考えるようになりました。田人町に根づき、地域とともに歩むために、ここでしかできないことを形にしたい―そんな想いから、「一凛の花株式会社」を設立しました。「一凛の花」という名前には、凛と力強く咲く花のように、人や地域が持つ唯一無二の魅力という名のきれいな種を大切にし、それを花開かせ、花畑のように温かく豊かな世の中を創りたいという願いを込めています。かつての私は、まるで枯れかけた一凛の花のようでした。しかし、田人町でたくさんの愛情や笑顔、自然の恵みを受け取る中で、自分の使命を見つけ、自分らしく生きることの大切さを知ることができました。田人町に救われたからこそ、今度は私がこの町に恩返しをする番。そして今、さらに深く田人町と関わりながら、次のステップへと歩みを進めています。

田人町での紺野さん

HITO-TABIが紡ぐ温もりと未来

HITO-TABIは、福島県いわき市田人町にある築150年の古民家を活用したカフェ&ゲストハウスです。カフェでは、レトロな店内や食器を採用し、日々の忙しさを忘れさせる、どこか懐かしさを感じる空間を提供しています。ゲストハウスのコンセプトは「心の自由」と「自分自身を生きる」こと。まるで「ただいま」と戸を開けたくなるような、田人町のありのままの魅力を体感できる場所を目指しています。

「HITO-TABI」カフェのようす
「HITO-TABI」ゲストハウスのようす

HITO-TABIのこだわりは、地元の食材を活かしたメニューです。野菜やお米、フルーツなど、ほとんどが田人町産。この季節に採れるものからメニューを開発するという地産地消の流れを大切にしています。特に、季節のベジカレープレートは、その時期ならではの新鮮な地元野菜をたっぷり使った人気メニュー。また、いちごフェアのように、旬の食材を活かしたスイーツフェアも季節ごとに開催し、訪れるたびに違った味わいを楽しめます。

田人町産の食材を使った季節のベジカレープレート
いちごフェアメニュー(期間限定)

HITO-TABIの運営において、私が最も大切にしているのは「田人町の未来を守ること」です。少子高齢化が進み、地域が消えてしまうのではないかという危機感があるからこそ、HITO-TABIを通じて関係人口を増やし、地域の活気を取り戻したいと考えています。
 
また、地元の農家さんが潤う仕組みづくりにも力を入れています。HITO-TABIは、ただの飲食店や宿泊施設ではなく、人と人とのつながりを育む場。訪れるお客様はもちろん、地域の方々とも支え合いながら、田人町ならではの温かさや一体感を感じられることが、何よりのやりがいです。
 
この地域の魅力をもっと多くの人に知ってもらい、田人町の未来に新たな花を咲かせるために、これからもHITO-TABIを通して挑戦を続けていきます。

夜の「HITO-TABI」のようす

田人町が持つ温かさと未来への展望

田人町の最大の魅力は、豊かな自然や美味しい食べ物だけでなく、人と人との助け合いの文化が根付いていることです。困っている人がいれば自然と手を差し伸べる、そんな温かな心の交流が、暮らしの中に当たり前のようにあります。草刈りや清掃活動などのボランティアにも積極的に取り組む人が多く、何気ない日常の中で支え合う習慣が生き続けている町です。
 
そんな田人町の未来を守り、さらに発展させていくために、現在の事業を深めることはもちろん、六次産業化や婚活支援、オンラインサロンなど、多様な取り組みを展開しながら、一人ひとりが輝ける町づくりを目指しています。田人町という土壌の中で、一凛の花がたくさん咲き誇るような未来を創るために、これからも歩み続けていきます。

田人町の人々と

古民家カフェHITO-TABI
(運営:一凛の花株式会社)
〒974-0152 福島県いわき市田人町黒田唐沢35
Tel.070-2437-9633
https://hitotabi-iwaki.com
https://www.instagram.com/hitotabi0515/


いいなと思ったら応援しよう!