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駅ナカより、パリより、「美しい村」にある店

その日は曇っていて、頂は見えませんでした。名峰・安達太良山のふもとに広がる、「大いなる田舎」と呼ぶ福島県大玉村。「日本で最も美しい村」連合に加盟しています。

ロードサイド店や工場が並ぶ幹線道路・国道4号を、郡山市から車で北に走り、大玉村に入ると突然、黄金色の心なごむ田園風景が左右に広がります。おいしそうな野菜が並ぶ直売所は、にぎわっています。

どうしても行きたかった店は、この隣にある、おしゃれな建物です。

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今月、突然の訃報がとびこんできました。

織田金也さん(株式会社向山製作所 社長)
9月1日死去。56歳

出会いは、7年前の2014年。
震災後に出会った福島の方々の中でも、印象的な、かつすばらしい取り組みを続ける方でした。当時、村の店舗も、郡山駅ナカの店も、名物・生バターサンドも存在しませんでした。

田んぼに囲まれた本社でお会いしたときも、いつも通り、熱く語りかけてきました。

朝日新聞の紙面:2011年3月5日(土)

朝日記事

牛乳をはじめ地元・福島県産の素材にこだわった手作り生キャラメルが、世界の空を飛んでいる。

「かっこいいですよね。冒頭だけで、すべてのことを表している」。
夢の扉だったが、わずかな時間でとじました」。
6日後、「あの日」がおきました。

注文は全てキャンセル。強烈な風評被害。
しかし、織田さんや社員は、動き続けました。
翌2012年から、パリで行われた世界最大級のスイーツの祭典「サロン・デュ・ショコラ パリ」に2015年まで出展。食の都・パリに、福島から挑戦し続けました。

もともと電子部品メーカーで、エンジニア社長。リーマンショックの需要激減を受け、工場の給湯室で、女性社員が手作りのスイーツ事業を始める。「ふくしまベンチャーアワード2014」金賞を受賞。2015年、郡山駅の駅ナカに続いて、東京駅のKITTEにもオープンし東京進出。生キャラメルと福島県産トウモロコシを使ったポップコーンを販売。次々と活躍する記事が、ネット上にも出てきます。

しかし私は、織田さんから、「大玉村」に対する強いこだわりを感じました。
福島にたくさんの人がきてくれるためには、何ができるか。ぼくはワンテーマです。ぼくらには、2000坪で工場立てて、おかしたべて、向山製作所のストーリーと大玉村を感じてもらう。そんなことをやっていきたい」。

「知って、買って、行く」
「復興デパートメント」というネット販売を通して福島への関わり方を続けていた自分にとって、まさに世界も視野に体現している経営者でした。

もう一つ、織田さんは、大きなテーマを持っていました。
「食文化を作りたい」。
「まだ学問では浅いが、食文化という新しい概念がいま日本でできつつある。『食の大学』を設立したい」。

この構想は、前回紹介した「食の都・郡山」に関わる別の方にも共通する思いです。いま、広がっています。自分もできることで、ぜひ関わりたい。

東北新幹線・郡山駅。福島県の交通の要所。
新幹線改札口をおりたすぐ下、駅ナカにある「郡山おみやげ館」。
「日本三大まんじゅう」の柏屋、定番お土産・ままどおるの三万石など、福島を代表する超有名店よりも、さらに目立つ入り口の絶好の場所に、「向山製作所cafe」はあります。

郡山に立ち寄ると、ここでいつもお土産を買います。「ばたこさん!!」と家族が喜ぶ生バターサンドか、テレワークのお供・キャラメルポップコーンが定番です。

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でも、ぜひぜひ、大玉村の店まで足を運んでほしい。

2014年時点。何もなかった「夢の店」予定地をご案内いただきました。

2014年織田さん

2014年向山製作所

今も続く、手作りへのこだわり。

「向山製作所 大玉ベース店」で、ピザとスイーツを注文しました。クアトロフォルマッヂは、4種類のチーズを使い、後かけの福島産山桜はちみつが、またすごいです。デザートは、キャラメルポップコーンとジェラート。

クアトロフォルマッヂ

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車があれば、郡山でも福島からでも近い、大玉村。
その利便性から、子どもが増えているようで、5年前に比べて人口増加率が福島県一高く、14歳以下の年少人口の比率も県内一といいます。

村には、A5ランクの福島牛を育てる名人もいます。自分が書いたページを紹介。

ゴルフ場「大玉カントリークラブ」もステキなコースでした。

いぐねの風景がある、「日本で最も美しい村」大玉村。
そして向山製作所「大玉ベース」。
これからも、福島が誇る「最も美しい村」と、おいしく楽しい店であってほしいと思います。

「ばたこ」さん、最高です。また伺います。

生バターサンド


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