5年前の第1回から参加して感じた、フードキャンプの「原点」
今年のFoodCampも後半戦。気候のよい秋は、毎週のようにツアーが予定されています。来週30日の白河・根田醤油さんも楽しみ。
実は、「ツアー一覧」にあるツアー以外にも、会津・中通り・浜通りで「隠れツアー」が実施されています。様々な主体がフードカートを活用した取り組みが、週末、そして平日も生まれてきました。
注目され始めたFoodCamp。
2016年の「第1回」から参加していますが、その「歴史」を振ってみます。
料理ができるフードカートを用意すれば、畑にみんなで集まって食べるという「機能」は誰でも真似できます。でも、おそらく、孫の手トラベルのFoodCampは、他とは違う印象になるはず。
なんでこんなことをやっているのか、始めたのか。
その「原点」を見つめます。
華々しいスタートの裏で…
華々しいスタートでした。
2016年7月2日。孫の手トラベルの主催として「第1回」のイベントが行われます。
300年続く有名な酒蔵・仁井田本家さんで、日本有数の農家の野菜に対して、世界的に有名な奥田政行シェフがレシピを考え、調理する。
日本酒を「ソース」に見立て、日本酒とペアリングすることで味が完成する、新しい「食」の世界。
写真にあるように、素敵な食のイベントでした。
ただツアーとして、最初から地元に受け入れたわけではなかったようです。
新規事業を担うスタッフにしてみれば、地方のバスタクシー会社に縁の薄いキッチンカーが、いきなり目の前に現れた形です。いすやテーブルや食器をかき集め、レンタル業者に調整をお願いして、集客のチラシを作って…
当初は、知名度ゼロで、なかなかお客も集まりませんでした。
翌2017年、「FoodCamp」という名称がつき、年間ツアーが始まります。
2018年にはツアー数も増え、その後は目覚ましい成長をとげますが、そこまで広がったのは、その前身からの「ネットワーク」があったからでしょう。
東日本大震災のおきた2011年、福島県唯一の調理専門学校・日本調理技術専門学校が中心となり、「食大学」というウエブ上の仮想大学構想が立ち上がり、福島の生産者の映像コンテンツなどが制作・蓄積されます。
また著名な奥田シェフとの縁から、2014年3月、復興レストラン「Fuku che cciano」が郡山にオープン。同年に「開成マルシェ」も始まり、福島の生産者が郡山に集まり始めます。
「今までの“待つ”飲食店から、自分たちを必要としているところへ移動していく。それがこれからのスタイルです」
今を見越した奥田シェフの言葉、深いですね。
「なんのためにやっているのか」
「FoodCamp」ツアーに戻ると、2017年、現在のスタッフの体制で取り組みはじめます。
ただ、実施できたのはわずか3回。
満点の星の名所・鮫川村での1泊2日ツアー(豪雨に見舞われます…)、猪苗代湖畔の伝説的なグランピングなどと多彩でしたが、「軸」が定まっていませんでした。
2017年のツアー後、社内で「なんのためにやっているのか」という話になったそうです。そこで出たのが、
「生産者をヒーローにしたい!」
開成マルシェも、復興レストランも、福島県内のすばらしい農家たちが主役。その原点にたちかえり、農家を軸とした、農家をヒーローにする「FoodCamp」がスタートしました。
その後の経緯は、トランベールにある通りです。
FoodCamp発足の2016年、私は、もう一つ「福島の食」を手がけていました。9月に生まれた「チームふくしまプライド。」
これもヒーロー生産者が集い、すばらしい生産物が買える、福島の食のファンクラブです。
結びつきを、太く、長く
原点は、農家・生産者。
そして、そのすばらしい畑、自然。
「本物の生産者が福島にはたくさんいるのに、本物が正当に評価されていないのでは」という課題意識から、正しく評価してもらうための手段として「FoodCamp」が始まりました。
とはいえ、まだまだつながっていないすばらしい農家も県内に多くいます。その結びつきを、農家同士も、生産者と消費者とも、太く長くすることが大切。
この「農家型」を軸に、それ以外の「グランピング型」や「農家にこだわらない型」も、FoodCampからは生まれていくことでしょう。運用体制も、現在は週末1回がせいぜいですが、今後は週末2チーム制、つまり土日も毎日できる体制を来年は目指しているとのこと。
今後が楽しみ!