自己啓発風?小説 龍神様の教え 第一話 変わるためには?
プロローグは↑ですが一応読みやすく要約しておきます。
プロローグ
職場でのストレスに押し潰されそうになり、心の中で退職を決意しつつも一歩踏み出せずにいた私は、日々の苦悩に向き合うため、ふらりと神社へと足を運んだ。拝殿に手を合わせ、心の奥底で龍神様に助けを求めるような思いを抱くと、不思議な夢に導かれた。
夢の中で私は、神々しい龍神様と彼の眷属である白虎に出会った。龍神様は優しくも威厳に満ちた存在であり、白虎は力強く厳しさを持つ守護者であった。二人は私が抱える悩みを見透かし、道を示してくれた。龍神様は「道を切り開くためには行動が大切」と説き、私に準備を整えつつ、焦らず次の一歩を考えるようにと助言を授けてくれた。
第一話 変わるためには?
龍神様と白虎様の教えを胸に刻みながら、数日間、私は職場で日々を過ごしていた。彼らの言葉を思い出しつつ、仕事に向き合いながらも、やはり次の道が見つからないまま心は揺れていた。龍神様は「小さな一歩でも前に進むことが重要」と教えてくれたが、今の環境から抜け出すべきなのか、それとももう少し我慢して続けるべきか、迷いは深まるばかりだった。
そうして三日が経ち、再び彼らに会いたいという気持ちが高まったその夜、ベッドに入って静かに目を閉じると、夢の中で神域へと誘われるような感覚があった。深い眠りに落ちると同時に、冷たくも心地よい風が肌を撫で、再びあの神社の境内が目の前に広がるのを感じた。
**神域に戻ってきたのだ。**目の前には夜の静寂が漂い、苔むした石段を踏みしめると、土と苔の匂いが鼻をくすぐる。あたりには青白い光が漂い、空気には神秘的な静けさが満ちている。私は深呼吸をしてその冷たい空気を胸に吸い込み、前に進むと、龍神様の姿が青い光の中からゆっくりと現れた。彼の長い尾が宙を舞い、空気が緩やかに揺れる。
「戻ってきたのう、汝よ。再び迷いが生じているようじゃな。」
龍神様の声は静かで穏やかだが、威厳に満ちている。彼の瞳が優しくも厳しく私を見つめ、私の心をまっすぐに貫くように響いてくる。私は深く頭を下げ、心に抱える迷いを正直に打ち明けた。
「はい、龍神様。日々を過ごしながら、職場に残るか、次の道へ進むか迷っています。努力はしていますが、やはりこのままでいいのか不安で…」
その言葉を聞いた途端、横から低く唸るような声が聞こえた。振り向くと、そこには白虎様が立っていた。彼の体は大きく、筋肉が盛り上がり、鋭い眼差しが私を見下ろしている。月光を受けた白い毛並みが光り、尾が力強く地面を叩くたびに、周囲の空気が震えるように感じた。
「ふん、また迷ってるのか?龍神様の言葉を受けたなら、さっさと決めればいいだろう。いつまでもぐずぐずしてるようじゃ、お前に未来なんてあるのか?」
白虎様の声は容赦なく、鼻先から冷たい息が吐き出されて私に当たる。その鋭い言葉に胸が痛むが、龍神様は尾を白虎様の肩に軽く置き、静かに宥めるように話し始めた。
「白虎よ、彼は己の道を探しておる。急かすことはない。道は、経験と実践を通して見出されるものじゃ。人の心にはそのための時間が必要なのじゃよ。」
白虎様は不服そうに鼻を鳴らし、眉をひそめながら私を見つめているが、龍神様の言葉を受けて小さく頷く。そして、龍神様が再び私に視線を戻し、優しく語りかけてきた。
「汝が再びここに来たのは、自らの道を探し続けている証じゃ。小さな一歩でも、確実に進むことで道は見えてくるものじゃよ。心の中で真に何を望んでいるか、今一度問い直しなさい。」
龍神様の言葉が胸に響き、心が少しずつ落ち着きを取り戻すのを感じた。道は、私が自分で決断し、踏み出すことで開かれるのだという確信が少しずつ芽生えてくる。自分の進むべき方向を見つけるためには、何かを恐れるのではなく、まず実践を通じて学び、探し続けることが大切だと気づかされる。
白虎様もようやく表情を緩め、少しだけ優しさを滲ませた声で言葉をかけてきた。
「まあ、龍神様がそこまで言うなら、俺もお前を見守ってやるとするか。ただし、いつまでも同じ場所で迷い続けるようなら、容赦はしない。覚悟しておけよ。」
白虎様の厳しい口調にも、どこか温かみが感じられ、彼なりの励ましが込められているのを感じた。私は龍神様と白虎様に深く頭を下げ、心の奥で新たな決意を強めるのを感じながら静かに言葉を口にした。
「ありがとうございます、龍神様。そして白虎様。私は自分の道を切り開いていくために、もう少し心を強く持ちます。自分で、進むべき道を見つけてみせます。」
そう告げると、龍神様は静かに頷いたが、その眼差しにはさらなる深い思慮が込められていた。しばしの沈黙が流れ、夜空に淡い光が揺らめく中、龍神様は低く静かながらも力強い声で口を開いた。
「よい心掛けじゃ。しかし、ただ決意を持つだけでは、次の一歩は見えてこん。心を強く持つのも大事じゃが、次の一歩のためには、汝が今持っている目標をもっと具体的に見つめねばならぬ。何をもって『進むべき道』と感じるのか、じっくりと自らに問いかけるがよい。」
「例えば、自分が何に喜びを感じるか、何をしている時に心が踊るか、そこに目を向けるのじゃ。どのような環境で働くことが、真に汝の魂を豊かにするのか…汝が自分に問いかけ、そして答えを見出した時、その道はようやく見え始めるのじゃよ。」
龍神様の言葉が私の胸に響く。確かに、私は次の道をただ漠然と探し、現実の苦しさから逃れることしか考えていなかったように思う。だが、真に求めるものが何であるのか、そこにしっかりと焦点を合わせていなかったのかもしれない。
「もしも、次の一歩が見えぬ時は、さらに周りを見渡し、己の手を動かしてみよ。すべての行動が、次の選択肢へと繋がっていくものじゃ。」
すると、白虎様が深くうなずき、少しばかり真剣な表情で私に向き直った。
「なあ、俺様だってな、最初から自分の役目がわかってたわけじゃない。龍神様に助けられた命、この場所で一体何をすればいいのか、ずっと考えてきたんだ。そうしていく中で、俺様は龍神様に尽くし、この神域を守るために生きるって決めたのさ。」
白虎様は、鋭くも温かい目で私を見据えている。
「お前も、ただ漠然と過ごすんじゃなくて、心の中で見つけた小さな光を掴んでみろ。それがどんなに小さくとも、そいつがいつか大きなものになるかもしれないからな。」
その言葉に、私はさらに深く考えさせられた。今の自分がただ流されるだけではなく、次に目指す方向や喜びをしっかりと見つけ、そこに向かって行動することの大切さを感じる。少しでも心に触れるものを大切にし、そして次のステップに活かしていくこと、それが道を見出すための鍵なのだと理解した。
龍神様もまた、私の目を見つめながら再び優しく微笑み、さらなる助言を授けてくださった。
「そして、もうひとつ…汝が心を決めたならば、必ずその決断を行動に移すがよい。その行動がまた新たな機会を呼び寄せ、汝の進むべき道をより一層明確にする。恐れずに前へ進むのじゃ。」
それでは、第2話へ続きます、楽しめていたらスキとかコメント下さいね。
個人的には、自己啓発で自分を変えたいのも書く目標ですが、なんだかんだ龍神様と白虎の組み合わせが好きなので その2人のやり取りを読めて自分は幸せです。