正思惟
正思惟とは正しい考えのことです。では、正しい考えとは一体なんでしょうか。それは、自分の心を晴れやかにしていくもので、完全に晴れやかになると覚りと呼ばれます。
心を曇らせるものに、怒り・憎しみ・欲望・後悔・不安などがあります。人間は誰しも自分が正しいと思うもので、人は自分の正しい思い通りに動くべきだという信念を持っています。それが叶えられないと、自分の存在価値が貶められたように感じて「怒り」がわき、思い通りに動かない存在によって自分の人生が悪く貶められたと感じると「憎しみ」が生じます。「欲望」は金銭、承認、健康など色々ありますが際限なく求めたくなるものです。変えられない過去に「後悔」したり、まだ来ぬ未来に「不安」を感じたり。これらの心を曇らせる想念からできるだけ離れたいものです。
もし怒りが湧いたら、怒りの第一波の7秒間をとりあえず凌ぎます。深呼吸をしたり、その場を一旦離れるのも有効です。波が収まったら自分を上空から見ているイメージで見つめ直し、「許す、許す、許す…」と何度も言うと少しは許せるようになります。相手だけでなく、自分への怒りも同様に許すと憎しみもやわらいでいくものです。そもそも怒りは相手を自分の思い通りに動かそうとして失敗するとわきあがるもので、思い通りにならないことがわかっていれば生じにくいのです。
失敗してしまうと後悔が生じますが、過去を悔やんでも過去を変えることは不可能です。「ああ、いい経験をさせていただいたな」と受け止めて今後同じ過ちを繰り返さないために何ができるかを考えます。
不安はほとんど未来を想像して起こっているのではないでしょうか。不安があるから用心して行動したり、食料を保存したりして生き延びることができたのですから、不安は悪いものではないのです。しかし、それにとらわれて身動きできなくなってしまっては元も子もありません。自分ができることを行動に移し、あとは天に委ねるようにします。わきあがった不安のほとんどは実際には起きませんし、不安が的中した場合でも、自分にできることをしていればさほど後悔も起こりません。
自分が変わるのが一番手っ取り早い世界の変え方です。
自分の心が晴れやかになるように考え方、捉え方を変える練習を続けていくと、それが習慣となってより良い観念体系を身につけられるでしょう。