諸行無常
諸行無常という言葉をご存知ですか。
平家物語の冒頭部の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色〜」で聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
栄えたものもいずれは衰えていくといった意味ではなく、「移り変わっていく」ものなんだよ、という主旨の言葉です。
植物に例えると、種が発芽し、芽が伸びて、葉が茂り、花を咲かせ、実をつけたら枯れていく。中には芽が出ずに終わる種もあるだろうし、虫や病気に負けてしまう株もあるでしょう。そこにはただ命の営みがあるだけです。
しかし、私たちは無意識のうちに「評価」する事が多いのではないでしょうか。先ほどの植物でいうと、成長は良いけれど枯れるのは悪い、といった具合です。人生の中で経験したこと、周りから聞いたこと、習ったことなどから自分の中に「常識」といわれる概念を作り、それに照らし合わせて良い悪いと思っているだけで、別の角度から見ると全く違う評価になるかもしれません。種の発芽を例にとると、収穫を目的とする人にとっては成長するのは良いことですが、そのタネを愛する人にとっては種がその形を失うから悲しいこととなります。
物事をありのままに受け止めるのは、なかなかに難しいものですが、ただあるがままを受け入れると、不思議と楽になれるものです。評価する癖は自縄自縛に繋がります。その縄から解き放たれる為にも、ありのままを見つめる練習をしてみませんか。
花が咲いている、風が冷たい、鳥が鳴いている、お腹が空いた、眠い、…
呼吸や体の感覚に集中してみるのも有効です。瞑想やストレッチもよいでしょう。まずはただ感じることを楽しみましょう。