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「ぼくらの未来をつくる仕事」を読んで その9  医療費高騰で一番不利益なのは保険者(国民)

著者の豊田氏がマッキンゼーで一年ほどコンサルティングの仕事を続け、その内容にも慣れてきたときに、ふと
「仕事は楽しいが、もともと感じていた医療の課題とマッキンゼーでのプロジェクトの間にはつながりがない。むしろ逆行している」事に気が付いたそうです。

それまでは製薬会社や医療メーカーのコンサルティングで素晴らしい薬や医療機器がより多くの人に届くように、と頑張ってきた。しかしその一方でジェネリック医薬品の普及に対して逆行しているそれは日本の医療費の高騰につながり、医療費という視点で考えれば悪影響である、と。

なぜ想いにつながるプロジェクトがないのか。


それは医療を変えるためにお金を出す企業がないから。


日本の医療費の内訳について、42兆円のうち約半分の20兆円は保険料で、約16兆円は税金などの公費でまかなわれています。

つまり医療費の高騰で一番不利益なのは保険者と政府です。


では保険者や政府がマッキンゼーにお金を支払い、「医療費高騰をなんとかしてくれ!医療費を抑えられるようなプロジェクトを!」と依頼するか。
答えはノーです。

まず日本では政府が外資のコンサルティング企業を活用することはまずないそうです。国によっては政府がクライアントとなり民間のコンサルティング企業が入り込むことは珍しくないそうですが日本ではそのような事例がほとんどないとのこと。

では保険者はどうか。
本来であれば保険者が一番医療費抑制に積極的になるべきプレーヤーです。
しかし日本の保険者も、民間の営利企業ではないこともあり、マッキンゼーに高額を支払い医療費の抑えようとはしません。

医療費を本気で下げようとする民間の力が日本には存在しないのです。

そんな様々な医療に関する課題に直面していくなかで、豊田氏は古くからの知り合いと偶然Facebookで再会します。
そして紆余曲折を経てその知り合いの滝口氏から、滝口氏の会社の共同代表に誘われます。

患者さんにダイレクトに届くようなサービスをしていくためには医師の力が必要。その中でも

「豊田が持っている医療に対する危機感と熱い想いを、立ち上がってしっかりと世の中に伝えるべきだと思う」
「豊田には自分の名前で勝負してほしい」

という言葉が強く胸に刺さったそうです。


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