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金融行政の情報収集、基本の「キ」~銀行の「マーケティング」と「営業企画」の教科書~

銀行の企画担当者は、金融行政がどんな方向に向かおうとしているのか、意識的に情報収集を行う必要があります。
本noteでは、企画初心者の方へ、情報収集の基本的な手法をご案内します。


7月に始まり、6月に終わる

以前、MOF担(銀行の金融庁担当者)として学んだことは、「金融庁の車は白い」ことだと書きました。

もう一つ思い出しました!

「金融行政は、7月に始まり、6月に終わる」

これ、不思議ですよね。通常、銀行は「4月に始まり、3月に終わる」のですが、なぜかお役所は7月にはじまるのです。

これにあわせて、全国銀行協会や全国地方銀行協会の役員も、7月に顔ぶれが変わります。

「2023事務年度」とは、2023年7月から2024年6月までのこと。
この点だけ、覚えておいてください。

金融行政の情報を収集する基本的手法

❶「金融行政方針」を読み込む

金融庁は、事務年度毎に「金融行政方針」を定め、金融行政における重点課題および金融行政に取り組む上での方針を公表しています。

先ほど、事務年度は7月にスタートすると申し上げました。行政方針は、8月末頃公表されるのが通例となっています。

ちなみに平成29年の公表日は、11月10日。どんな大人の事情があったのか、気になるところです(笑)

金融行政方針の解説は専門家にお譲りしますが、2023事務年度で個人的に気になった点は、次の2点です。

1)モニタリングの着眼点

金融庁・財務局は、 今後、地域銀行に対するモニタリングにおいて、各銀行のガバナンスと人的資本に着目したアプ ローチを重点的に活用していく。具体的には、地域銀行における株主や取締役会によるガバナン スの発揮状況や人的投資・人材育成への取組状況について、経営トップをはじめとする各層の役職員や社外取締役等と対話を行う。

これは、当局が「銀行の人材育成」について、口を出す、失礼、対話するので、しっかりやってねということです。

2)新NISAの普及・活用促進、金融経済教育の充実

新しい NISA 制度の普及・活用促進、金融経済教育の充実等を柱とする資産 所得倍増プラン(2022 年 11 月公表)を推進する

新NISAの普及については、並々ならぬ意欲を感じます。また、金融経済教育の普及で、若年層の投資のすそ野が拡がってくることでしょう。

2023事務年度 金融行政方針<主なポイント>

❷「金融庁との意見交換会」の資料をチェックする

さて、地方銀行協会では、毎月第3水曜日(8月を除く)に頭取級の会議「地銀協例会」が行われていることはご存じでしょうか?

その会議の後に、金融庁の幹部を招いて、「金融庁との意見交換会」が行われています。

「意見交換会」とは、やや名ばかりで、金融庁の幹部(時には長官)より、そのときどきのトピックスや課題認識について説明が行われます。

最後に1人だけ、事前に指名された頭取が質疑を行います。

話は逸れますが、ある大蔵省OBの頭取が、当時の畑中長官に対し、「『ゆうちょ銀行』及び『かんぽ生命』は構造改革のもとで縮小または消滅すべき筋合いのものだ」と発言したことがあり、度肝をぬかれました。

意見交換会の資料は、各行に提供されており、イントラ等に掲載されているのではないでしょうか。
金融庁自身も、ホームページで公表していますので、ざっと目を通す習慣をつけましょう。

思い起こせば、「仕組み債」も「外貨建て保険」も随分前から、問題提起が行われていました。
某金融機関が業務改善命令を受けるという残念なニュースがありましたが、金融庁の問題意識に真摯に向き合えていれば、あのようなことは起こらなかったかもしれません。

わからないときは、東京事務所の活用を!

一部を除き大半の地方銀行は、東京に事務所を置き、さまざまな情報収集活動を行っています。

金融行政について確認したいことや、調べてみたいことがあれば、まずは東京事務所に相談してみることをお勧めします。

東京事務所は、横のつながりを大事にしており、自分の銀行でわからないことも、周りの銀行に尋ねてみたり、地方銀行協会に問い合わせることで答えに辿り着くことができます。

また、各地方の財務局や財務支局に直接問い合わせてみるという方法もあります。金融庁といえば、半沢直樹の黒崎検査官のイメージがありますが、最近はどんなことにも大変親身に相談にのっていただけますので、安心してください(笑)。

おわりに

今回は、金融行政の情報を収集する方法についてご案内しました。
本部の企画担当者は、自分自身が任された分野について、銀行内で誰よりも詳しくなっておく必要があります。
そのためにも、金融行政の動向はしっかり把握しておかなければなりません。
「金融行政方針」と「金融庁との意見交換会」の資料は、ぜひチェックする習慣を身につけましょう!


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