「デジタル化で将来なくなる仕事(2013)」は、本当になくなったのか?
今から約10年前(2013年)、オックスフォード大学から発表されたある論文が話題となりました(THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION)。
https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf
この論文は、702個の職業を分析し、コンピューターに置き換わる可能性が高い(正確には低い順で)職業をランキングしたものでした。
金融機関に関係する職種が、上位(論文では下位)にたくさんランキングされており、大きな衝撃を受けました。
では、10年経過して、本当にデジタルに仕事を奪われたのでしょうか?
ランキング上位の職業を確認してみましょう。
第1位 テレマーケター(確率99%)
時代とともに、固定電話が携帯電話に置き換わり、電話セールスを受ける機会も減りましたね。
当社も以前は、コールセンターに「電話セールス訓練所」を作り、若手行員に話法を指導していました。
ある営業店では、「受話器を下ろすなー!」とのかけ声のもと、全行員がひたすらリストを上から順番に電話をかけまくるという手法で、伝説的な営業実績を挙げたことがありました。今なら、完全にパワハラです・・・。
しかし、テレマーケターの仕事がなくなったかというと、役割を変えて重要度は増しているようです。
BtoCでは、アウトバウンド(銀行からの電話)は減りましたが、インバウンド(お客さまからの電話)に誘導する施策は今でも残っていますね。また、チャットやリモートツールを通じた応対も増えてきました。
BtoBでは、デジタルのプロモーションで反応があったお客さまへ電話する手法(いわゆるインサイドセールス)は、拡大しています。
従って、この予想は「ハズレ」ではないでしょうか。
第2位 不動産調査人(確率99%)
欧米では、不動産に紐づいた登記や保険を調査する専門職があるようです。
日本で不動産登記簿謄本が必要なとき、以前は、司法書士に依頼したり、法務局に足を運ぶ必要がありましたね。今では、Webで簡単に取得できるようになりました。
また、お客さまに不動産担保を提供いただく場合、以前はあたりまえのように、銀行員が現地調査を行っていました。今では、Google Mapで確認するだけのケースも多くなっています。
従って、この予想は「当たり」かもしれません。
第17位 ローン担当者(確率98%)
5年前、カードローンのWeb申込みの割合は、2割程度でした。足元ではWebやアプリでのお申込みの割合は6割程度まで上昇しています(窓口や電話での申込みが約4割)。
カードローンやフリーローンなどは、人を介さずデジタルで完結したいとのニーズが高まってきたと言えます。
一方、住宅ローンではどうでしょうか。2023年に、当行のアプリ顧客を対象に実施したアンケート調査では、約6割のお客さまが、デジタルよりも窓口で相談や契約をしたいと回答しました。
やはり、住宅は一生の買い物ですし、住宅ローンもよく説明を聞きたいとのニーズは高そうです。
従って、この予想は「△」としておきます。
第18位 審判(アンパイア)・レフリー(確率98%)
金融とは離れますが、大リーグ傘下の3Aでは、機械が自動的にストライク・ボールを判定するシステム「ロボット審判」がすでに導入されているとのこと。判定は、すぐに人間の球審にイヤホンから伝えられるそうです。
これには、賛否あるようですが、いずれMLBにも導入されることでしょう。
しかし、これ以外のスポーツで審判がいなくなったという話は聞いたことがないですよね。
従って、この予想は「ハズレ」です。
第20位 テラー<銀行の窓口係>(確率98%)
みなさん、「花咲舞が黙ってない」見てますか?
残念ながら、今田美桜ちゃん、窓口にはいません・・・
銀行の来店顧客数は、この10年で激減しています。そして来店するお客さまの平均年齢も60代前半になってしまいました。
多くの銀行で、窓口のセルフ化が進められており、こんな古典的な銀行窓口も減ってしまいました。
また、窓口業務の担い手は、正行員からパート・アルバイトの方へ大きくシフトしています。
一方、相続や資産運用といったコンサルティングのニーズは高まっており、事務処理のスペースを減らし、コンサルティングのスペースを増やす銀行が多くなってきました。
従って、この予想は「当たり」と言えます。
おわりに
いかがでしたか?意外に多くの職種が10年経っても残っていそうですね。
一方、ここには出てきませんでしたが、スーパーの「レジ打ち」などは確実に減ってきました。
私の感想としては、イノベーションの予測は非常に難しいということ。
生成AIの普及で、デジタルに置き換わる業種も変わってくることでしょう。
いずれにせよ、AIに負けない「強み」を鍛えていかないといけないですね。
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