門司鉄道遺構問題 教育委員会議での陳情の議事をテキストで貼り付けてみよう

審議内容を読んでほしい、という目的により、本内容を現刻の公表状態で貼り付けておきます。(作成元での変更がある可能性があります)

(1)公開案件
議案第4号「北九州市文化財保護審議会への諮問に関する陳情書について」
田島教育長/議案第4号「北九州市文化財保護審議会への諮問に関する陳情書について」である
が、審議に入る前に、陳情者より口頭陳情の申し出があり、これを受ける。
あらかじめ陳情者に申し上げる。口頭陳情は5分以内で、要旨を簡潔、明瞭にお願
いする。なお、本日は進行の都合により、事務局による陳情書の朗読は省略する。
陳 情 者/陳情の前に事務的な確認である。今日の会議の会議録はいつホームページで公開さ
れるのか。昨年の11月以来公開されていないので、時期を知りたい。
田島教育長/会議録は準備ができ次第公開を予定しているが、時期を約束することはできない。
できるだけ早く公開する。
陳 情 者/承知した。
(口頭陳情)
陳 情 者/福島綾子と申す者である。九州大学芸術工学研究院の准教授、北九州市文化財保護
審議会委員で、専門は文化財学である。隣席の方は、九州大学比較社会文化研究院教
授、日本イコモス国内委員会副院長の溝口孝司先生で、専門は考古学である。
北九州市教育委員会事務専決規程では、文化財保護事務における局長、部長、課長
の専決事項として、文化財の調査、指定及び管理に係る事業(重要なものを除く)の
実施に関する事務を定めている。重要な埋蔵文化財の試掘・発掘範囲の特定、発掘方
法の計画は、文化財の調査、指定及び管理に係る事業のうち、特に重要なものと位置
づけられる。
専決規程に示すとおり、文化財の調査、指定及び管理に係る事業で、重要なものは
専決事項から除かれているため、局長、部長、課長は決裁ができず、教育委員会会議
で決定することになる。ただ、教育長、教育委員にこの専門的な判断を求めることは
酷である。そのため、議会の議決を経た付属機関として、文化財保護審議会が設置さ
れている。いわゆる諮問機関である。審議会は、考古学者をはじめ、文化財の専門家
で構成されており、委員の任命も教育委員会が行っている。専門家を集結した付属機
関として設置しているので、有効に活用していただきたい。ぜひとも、初代門司駅遺

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    構の試掘及び発掘調査の実施計画について、教育委員会は北九州市文化財保護審議会
    に諮問をしていただきたい。
    次に、初代門司駅遺構の試掘と立会調査の問題点について説明する。既に送付した
    資料のとおり、文化企画課による試掘の方法と試掘結果の評価は極めて不適切である。
    文化財保護審議会委員を含む専門家6名が意見書を提出し、なぜ不適切かを論理的に
    説明している。
    県の文化財保護課が試掘に立ち会っても、市が県職員と協議しても、不適切なもの
    は不適切である。考古学の専門家としても、文化庁のガイドライン平成10年通知に
    違反していると明確に言い切れる。全ての試掘・立会調査は、教育委員会の名前、責
    任において行われており、ガイドライン違反の最終責任は、教育長、教育委員が負う。
    これから実施予定の門司駅遺跡の新たな発掘調査計画にも、重大な問題がある。文
    化財保護の模範を示すべき自治体が、文化財の適切な調査と記録を率先して拒否する
    という内容になっている。
    文化財保護の専門家ではない教育長、教育委員が、試掘や立会調査の適切性を評価
    することはもちろんできない。そのために、文化財保護審議会が付属機関として、議
    会の議決を経て設置されている。繰り返すが、初代門司駅遺構の発掘調査実施計画に
    関し教育委員会から審議会への諮問を早急に行っていただきたい。
    最後に、北九州市文化財保護審議会の現状を紹介する。昨年10月に審議委員の任
    期が切れて以来、文化財保護審議会の会長が不在となっている。北九州市文化財保護
    審議会規則第7条によれば、審議会は、必要に応じて会長が招集することになってい
    るが、会長がいなければ招集することができない。会長が7ヶ月間不在である。会長
    を任命するための審議会、会合を早急に開催していただきたい。
    この陳情に対しての教育委員会の判断を含め、初代門司駅遺構の取り扱いに、日本
    全国の自治体の文化財担当職員、考古学・建築・歴史学等の関係学会、マスメディア
    が注目している。国際的には、ユネスコの諮問機関であるイコモスも注視している。
    地方教育行政の組織及び運営に関する法律によれば、教育委員には、人格が高潔で、
    教育、学術及び文化に関し識見を有する人物が任命される。そのような識見を有する
    教育委員の皆様は、現地で遺構を視察され、専門家の説明を受けるとともに、文化財
    保護事務に関連する法令及び文化庁ガイドラインを遵守するという正しい判断をされ
    ることを信じる。
    埋蔵文化財の発掘・保存で、専門的、技術的に分からないところがあれば、この場
    で詳しく説明するので、ぜひ質問していただきたい。以上で終わる。
    (口頭陳情)
    市の方針を文化企画課長、総務課長が説明。
    田島教育長/委員の皆様、意見や質問を伺いたい。よろしくお願いする。
    清 成 委 員/本市の文化財保護に関する事務については、都市ブランド創造局が補助執行を行っ
    ているとの説明であった。従前からこれらについて聞いているが、本日は傍聴人も同
    席しているので、きちんとさせておきたい。都市ブランド創造局に補助執行をさせて
    いる具体的な理由、根拠を説明していただきたい。
    総 務 課 長/地方自治法第180条の7において、普通地方公共団体の委員会又は委員は、その
    権限の一部を、普通地方公共団体の長の補助機関に委任し又は補助執行させることが

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    可能と規定されている。補助執行の目的は、組織機構や職員の配置の重複を避け、行
    政の能率的処理と一体性の寄与を目的としている。
    平成24年度から、文化財の保護に関する事務を補助執行させている理由は、発信
    力が高い芸術文化の振興を図るとともに、市民が芸術文化に接する機会を拡大し、市
    民による芸術文化活動を支援するなど、芸術文化の振興をより一層進めるため、教育
    委員会所管の美術館、博物館等を市長事務部局に移管し、市長事務部局所管の北九州
    芸術劇場、響ホール等の芸術文化施設と一体的に運営するためである。
    清 成 委 員/関連であるが、文化財保護に関する事務を補助執行させるとして、制度的にどの程
    度の範囲が認められているのか。
    総 務 課 長/補助執行によってどこまで業務を委ねるかは、地方自治の裁量の範囲で、各自治体
    に任されている。文化財の保護に関する事務については、教育委員会会議で決定する
    もの、つまり教育委員会の権限として残るのは、北九州市の場合、条例規則の制定・
    改廃と文化財保護審議会の委員の委嘱である。
    清 成 委 員/参考までに、政令指定都市の中で、文化財保護に関する事務を市長部局へ補助執行
    させている教育委員会の数値、割合は大体どれ程か。また、地方教育行政法では、「権
    限移譲」を認められているが、実際に「権限移譲」を行う政令市教育委員会の数値も
    分かれば教えていただきたい。
    総 務 課 長/令和6年4月現在で、政令市は20市ある。このうち、補助執行を行う市は9市、
    教育委員会が直接所管している市も9市、全て市長へ権限を委譲している市は2市で
    ある。
    清 成 委 員/文化行政の推進、あるいは行政組織の効率的な運営という目的で、文化財保護等に
    ついての事務を補助執行させていること、専決規程とすること自体に、特に違法性は
    なく、適法であると理解している。
    大 坪 委 員/平成24年度、教育委員会から当時の市民文化スポーツ局へ、文化財の保護に関す
    る事務業務を補助執行させているとのことであった。文化財の保護に関する業務を担
    当される方なので、専門的な知見を持っていると理解するが、その補助執行を依頼さ
    れた時期には、教育委員会に在籍されていた専門的知識を持つ事務の方が先方へ異動
    したり、あるいは先方で、従来より強力な体制をつくられたと想像するが、この理解
    で間違いないか。
    総 務 課 長/その通りである。平成24年度に、文化財保護に関する事務を当時の市民文化スポ
    ーツ局へ補助執行させることに併せ、教育委員会事務局内にあった文化財課と、金田
    にある埋蔵文化センターを市民文化スポーツ局へ移管し、補助執行させることにした。
    これに伴い、教育委員会事務局内に、文化財保護に関する知見・経験を有する職員は
    その時から現在まで不在である。
    大 坪 委 員/関連する質問である。平成24年度から、市民文化スポーツ局へ文化財に関する事
    務をお願いしているが、例外として2つの事柄が補助執行から外され、現在も教育委
    員会に残っているとの説明を受けた。
    なぜ、文化財保護審議委員の委嘱が補助執行の中に含まれず、教育委員会に残され
    たのか、その理由を教えていただきたい。
    総 務 課 長/委員もご承知のことと思うが、教育委員会制度そのものは教育行政の「政治的中立
    性、宗教からの中立性」、また、「継続性、安定性の観点からのレイマンコントロー
    ル」、「専門的な意見に偏ることなく、一般住民としての意見を教育行政に反映させ
    ること」が重視されている。このため、教育委員の選任は市長単独の選任ではなく、
    議会で議決を経た上で任命する。レイマンコントロールを重視する観点から、専門家

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    や市長の意見ではなく、一般住民の意見反映が可能な教育委員会、教育委員が文化財
    保護審議会の委員を選任する権限を持つことにより、政治的・宗教的な中立性、行政
    の継続性を担保できるためである。
    大 坪 委 員/文化財の保護・活用にあたり、どこの部局が専門的な知識を有し、総合的な見地か
    らその事務を執行しているかを確認できた。また、北九州市の文化財保護審議会委員
    の委嘱についても、事務の権限が教育委員会に残った理由を再認識した。改めて、教
    育委員としての務めを真摯に受け止め、努力していく。
    清 成 委 員/先ほど口頭陳情の中で、「専決規程の中に重要なものは除かれており、これは補助
    執行の対象になっていなくて教育委員会に残っている」との話であった。では、重要
    なものとは何かという解釈として、教育委員会では、「条例の改廃と制定」に関する
    事柄、「文化財保護審議会の委員専任と委嘱」などが残されているということか。そ
    して、なぜそれらが重要なのかは、レイマンコントロールなどの観点から重要性を見
    ている、という理解でよいか。
    総 務 課 長/その通りである。文化財の保護行政を進める上で、重要なものと捉えていただきた
    い。
    中 島 委 員/まず陳情者におかれては、貴重なご意見を賜り、感謝する。特に福島先生は、本市
    の文化財保護審議会でお力添えいただき、ありがたく思う。
    自身も文化的なものに関心があり、昨年来の報道も注視しているが、教育委員に就
    任してからこれまでに教育委員会の所掌事務について勉強した部分と、報道情報との
    間に少々ズレがあると感じ、ネットでも検索を行ったり、一般にどのような意見があ
    るのかというのを見ていた。
    その際に感じたこととして、失礼な意見かもしれないが、本市のホームページから
    必要な知識に飛ぶことが、非常に分かりづらく、手間がかかり難しい。規則を含め、
    文化財保護についての仕組や手順なども分かりづらい。そういった情報発信を適切に
    行う必要があると思うが、事務局ではどのように考えているのか伺いたい。
    文化企画課長/委員の言われる通り、文化財指定の仕組や、関連情報の発信は大切だと受け止めて
    いる。門司の遺構についても、複合公共施設の整備のホームページに立ち上げたが、
    今後、発信の効果的な策を検討したい。
    中 島 委 員/ユーザーにとって分かりやすい情報発信を心掛けていただきたい。我々教育委員で
    あっても「これはどういうことだ」というようなものが散見されるので、文化財保護
    の審議に関するプロセスも発信が不十分であったのではないかと思うところがある。
    事務局の考えを伺いたい。
    文化企画課長/先ほど申し上げた通り、分かりやすく伝えることは非常に大切だと認識しており、
    引き続き検討していく。
    中 島 委 員/繰り返しになるが、今回私が気になっているのは、一市民として情報が得にくいこ
    ともあるし、文化財保護審議会の委員に対しても十分な説明ができていなかったとい
    うことがわかっているのであるから、審議会の委員など専門家の方々にも、市民にも、
    本市の構造や事務のプロセス等をしっかりと説明することが必要なのではないか。そ
    ういう意味で、説明が不十分だったのではと先ほど申し上げたのだが、いかがか。
    文化企画課長/文化財保護審議会の委員は任期があり、交代することがある。今後は、新規委員へ
    就任依頼の際、もしくは初回の際に、プロセスや補助執行の建付け等をしっかりと説
    明したいと考えている。
    中 島 委 員/ぜひ、よろしくお願いする。常に開かれていて透明性があること、そして情報発信
    の分かりやすさ、アクセスのしやすさは重要である。

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    また、先ほどの清成委員や大坪委員の質問から、私は、本市の事務手続きについて
    は規則どおりだったと受け止めている。
    香 月 委 員/今回の陳情の内容からは少し逸れるかもしれないが、今後に向け、初代門司駅の遺
    構の取扱と複合施設の建設について、市の見解をお伺いしたい。
    文化企画課長/複合施設の整備にあたっては、やはりこの施設の完成を待ち望んでおられる地元の
    市民の方々と、老朽化した施設を利用されている方々の安全性、利便性の向上といっ
    た点もあるが、遺構を大切に保存してほしいと願う方々、それぞれいろいろな意見・
    要望がある。
    総合的な判断として、開発部局で複合公共施設の整備を進め、我々も協議した中で、
    2月議会では「遺構は移築保存する」ということを考えていたが、修正可決という結
    果になっている。
    今後は我々が記録し、保存することで、きちんと次世代に残していきたいと考えて
    いる。
    香 月 委 員/遺構の保存は大事なことである。ただ、門司区は37%の高齢化率で、役所はかな
    り高台に位置し、様々な公共施設も点在している。また、平地の少ない半島であるの
    で、ワンストップでの行政機関があることはとても必要であると感じている。
    また、5月29日には市民向けの事業説明会が開催されると聞いているが、複合公
    共施設の整備事業については、多数の市民から様々な意見、指摘が出ることと思う。
    賛否両論あるだろう。市民からどのような意見が出されたかはとても重要なので、教
    育委員会会議においても、適宜ご報告いただきたい。よろしくお願いする。
    郷 田 委 員/2月議会で市が提案したものが、市民の民意を代表する議会から「修正・見直しが
    必要」だという意見を受けた。この状況について、都市ブランド創造局としてどのよ
    うに捉えているか伺いたい。
    文化企画課長/2月議会で、そういった意見をいただいている。修正の理由として、「重要な遺構
    であるとの指摘が相次いでいる現状に鑑み、市民や議会への説明責任を果たした上で、
    発掘調査を行っていない部分のうち、重要な箇所で遺構の存在が確認された場合は、
    適切な埋蔵文化財発掘調査と厳密な記録保存を行うとともに、速やかに複合公共施設
    の建設を進めるべき」という意見を承った。
    我々はこれを受け、今度全体の説明会を行うが、そういった丁寧な市民説明である
    とか、追加の発掘調査を行い、複合公共施設の速やかな建設を進める予定である。
    文化財保護行政の執行機関である我々であるが、記録保存について最大限の努力を
    行っていることは、ご理解賜りたいと考えている。
    郷 田 委 員/「総合的な判断」ということがここまでも出てきたが、香月委員の話にもあったよ
    うに、一市民としては、日々の暮らしや安全という面と、歴史的な遺構などの文化財
    を大事にすることの、両方のバランスを取るのは非常に難しく、様々な意見が持たれ
    ていて、実際に今、そういった様々な声が上がっているのだろうと思う。
    門司の建物に関しては、かなり年数が経っているものが多くあり、門司港エリアの
    魅力向上といったことも併せて、バランスとして考える必要がある。
    話を伺い、専門的、総合的な判断によって今回の結論に至っていると理解している。
    文化財を管理する部署ということは、もともとそれらに関心の高い方々がいて、そし
    ていろいろと悩みながら、移築の提案などを検討してくれたのでは、と認識した。そ
    ういった経緯を、丁寧に説明いただければよいのではないだろうか。
    田島教育長/委員の皆様は、ご発言は他にないか。それでは、意見が出尽くしたと思うので、質
    問・意見が他になければ、採決に入る。

  • 9 -
    今回の陳情の項目は、初代門司駅鉄道遺構の試掘及び発掘調査の実施計画について、
    教育委員会は北九州市文化財保護審議会に諮問をすること、という内容であった。こ
    の陳情の趣旨に賛成の方は、挙手をお願いする。
    いかがであるか。賛成の挙手はないということでよろしいか。では、賛成の方がい
    ないということで、この陳情については反対、不採択とする。
    原 案 否 決

引用元

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001104355.pdf

陳情内容

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/001091720.pdf

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