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真•勝負師 魚谷侑未

最速マーメイド

こう呼ばれている麻雀プロがいる。日本プロ麻雀連盟所属、魚谷侑未。Mリーグ2019シーズンでは、史上初1シーズンで2度役満和了という偉業を達成し、文句なしのシーズンMVPと最高スコアの二冠を手に入れた。彼女のスタイルは鳴きを使いこなして、上がりを目指すタイプだ。誰もが羨むタイトルを手にした彼女だが、なぜ、ここまで「かっこいい」という言葉が似合うのだろうか。そこには、魚谷侑未だからこその選択と覚悟がある。

卓上で闘志を漲らせる眼差し

彼女からは、とてつもない気迫を感じる。画面越しに見てても、その気迫は凄まじい。その熱き眼光は間違いなく「勝負師」という言葉が相応しいだろう。そして、絶対に勝つための打牌。時には、危ない橋を渡ってでも、大物手を作り上げるという選択をすることもある。「優勝シャーレという栄光を何が何でも掴み取る」その想いは、言葉にしなくても牌から伝わってくる。それほどまでに、己のために、チームのために戦っているのだろう。

座右の銘

彼女には、座右の銘がある。

           

「ファンより先に諦めない」


たとえ何点差離れていようと上がりに持って行くその執念は目を見張るものがある。トップを取るためなら、役満も射程圏内に持って行く。特に、その様子がうかがえるのは、2021-2022final第9試合の南3局だ。

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北と南を鳴き、なんと役満小四喜の聴牌が入った。しかし、親の寿人選手から立直がかかっている状況だ。小四喜を狙うのなら6sを切るしかない。
 しかし、その6sは寿人選手には通っていない。それでも果敢に攻めるのは、勝利という二文字を喉から手が出るほどに欲していたからなのであろう。チームにとって1番の状況だと信じて、6s切りを選択した。結果は2人聴牌で流局。
 結果は実らなかったものの、優勝シャーレを手繰り寄せるためにリスクを冒してでも役満を狙いに行ったその姿勢は、まさしく勝負師だった。
 これには、私を含めたセガサミーフェニックスのファンも魂を揺さぶられたに違いない。そんな勝負師の究極の選択は、こんなものではない。
以前、話題にもなった「九蓮宝燈」チャンスだ。

優勝へ導く伝説の役満

その出来事が起きたのは、2021-2022シーズンの2月14日の第一試合、南1局だった。

上がりやすさで言えば通常通り、メンツ手を狙いに行くのがベストな選択の手牌だった。ただ、当時の順位状況は、ハッキリ言って安定しているものとは言い難かった。他チームもそう簡単には勝たせてはくれない状況が続いていた。いわば、セミファイナル進出をかけた対局でもあった。危ない橋を渡って他家に放銃すれば、優勝シャーレへの道も断たれてしまう。しかし、もし、九蓮宝燈を成就させることができたなら、それは一気にチームを優勝へと導くことができる。そんな状況だった。
 だが、こんなところで諦める女魚谷侑未ではない。チームの勝利のために、執念を振り絞り役満を狙う選択をしたのだった。
 結果は、実らなかったものの松本選手から7700点を直撃することに成功した。役満とは大きくかけ離れていても、それでも、ファンは諦めていなかった。そして「魚谷さん素晴らしい」と称賛の声が飛び交っていた。こういう人を魅了する点においては、近藤誠一プロを髣髴とさせる印象があった。それが、セガサミーフェニックスの強みなのだろう。

Mリーグ史上初 1シーズンで2度役満和了

2019シーズンでの出来事だ。見出しにもあるように、セミファイナルとファイナルを除くシーズン戦においては、魚谷侑未ただ1人である。ファン目線からすると間違いなく無双状態だった。この快進撃は、麻雀界やMリーグの歴史においても名前を刻んだことであろう。それほどまでに、彼女の偉業ともいえる実績は目を見張るものがあった。

最速国士無双聴牌

2019シーズン 2/27の第1試合の東1局に最速マーメイドの本領を発揮した。鳴きだけでなく、この日は役満に向けても最速だった。

https://www.youtube.com/watch?v=z9tbXxF_YCw

こちらが彼女の配牌だ。10種という国士無双を狙うにはうってつけの好スタートだ。実況の日吉さんがいう「10種は悪すぎていい」とは、妙を得た非常にわかりやすい。私自身も、本当にその通りだと思う。
 そしてなんと、わずか6巡目にしていきなり国士無双聴牌が入った。待ちは1s単騎。誰からも期待できる絶好のチャンスだ。更には、待ち牌である1sは山に3枚いる状況だった。巡目が早すぎたおかげで、その分ツモ番もかなり多かった。

そして、11巡目にして1sを引き入れた。8000 16000のツモ上がりで、見事に役満国士無双を完成させて見せた。この半荘において、最終スコアは94400とシーズン最高スコアを更新し、2019シーズン最高スコア賞を獲得した。ただ、こんなところで終わる最速マーメイドではなかった。

2度目は四暗刻

2019シーズン 3/3の第2試合の南3局にまたしても偉業を成し遂げた。
ここでは、2度目の役満を成就させたときの様子を見ていきたいと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=Y5U5hKxSmSA

こちらが配牌である。暗刻はなけれど、対子が4つと七対子を狙うには十分ともいえるところだった。ただ、本当の勝負師は安い手で終わらせるつもりなんて微塵もなかっただろう。その後に發、1m、2pが暗刻になり、待ちは南と5sのシャンポン。どちらかをツモれば役満だ。そして、彼女の最後のツモ番が回ってきた。

最後のツモ番でなんと5sを引き入れた。これにより、8000 16000のシーズン2度目の役満ツモ上がりで一気にトップに立った。この役満で2019シーズンMVPを決定的にさせたのだった。

魚谷侑未はこれからも進化をし続ける

彼女は、間違いなくこれからも強くなっていくだろう。そう感じさせてくれる瞬間を何度見てきたことか。ファンより先に諦めないプロは必ず、来シーズンこそは優勝シャーレを手繰り寄せてくれるに違いない。優勝へたどり着くその時は、最速マーメイドではなく、最強マーメイドに変貌を遂げると信じている。その瞬間をどうか、セガサミーフェニックスのファンと共に見届けたい。

あとがき

前回の投稿は近藤誠一さんでしたが、今回は魚谷侑未さんに焦点を当てて書かせていただきました!前回から時間が空いてしまったこと、時系列が無茶苦茶なところ、本当に申し訳ないです。
 それにしても、魚谷さんもなかなかに人を魅了してくれますよね!見ていて本当に楽しめるっていうのも本当にすごいことだと思います。ただ、私は魚谷さんより先に諦めることはないかもしれないです!!!(笑)
 来季こそは、絶対にみんなで優勝しましょう!
頑張れ魚谷さん!
頑張れ茅森さん!
頑張れ近藤さん!
頑張れ東城さん!
頑張れセガサミーフェニックス!!

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